ツアー・オブ・ジャパン2018 第4ステージレイムが美濃の高速スプリントを制して優勝 個人総合リーダーはボーレが堅守

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 日本最大のステージレース、ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)の第4ステージとなる美濃ステージが5月23日、岐阜県美濃市の旧今井家住宅前〜横越〜美濃和紙の里会館前の特設コース139.4kmで行われ、大集団でのゴールスプリントを制したミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル・サイクリング・アカデミー)がステージ優勝を飾った。

チームメートの働きに結果で応えたミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル・サイクリング・アカデミー)がステージ優勝を飾った Photo: Nobumichi KOMORI

「うだつの上がる町並み」をスタート

 全8ステージで争われるTOJの折り返しとなる美濃ステージは、山岳ポイント(KOM)が設定される半道坂を除けばオールフラットな、1周21.3kmを6周回するレイアウト。この美濃ステージの後からは南信州、富士山、伊豆と個人総合を争う上で山場となるステージが続くため、総合系のエース陣は集団内でなりを潜めるのが通例となっていて、最終日の東京ステージと並ぶハイスピードなスプリントステージとして知られている。

パレードスタート地点となるうだつの上がる町並みには多くの観戦客が訪れる Photo: Nobumichi KOMORI
スタート前には地元キッズダンスグループの歓迎パフォーマンスも披露された Photo: Nobumichi KOMORI
ファンからの写真撮影の希望に快く応えるリーダーのグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) Photo: Nobumichi KOMORI

 どんよりとした曇り空の下、江戸時代初期に建てられた建造物が多く残り、観光スポットにもなっている「うだつの上がる町並み」をパレードスタート。4km走ってから横越で正式スタートが切られると、逃げ狙いのアタック合戦が繰り広げられる展開になった。その中から20kmを迎える段階で5人の逃げが形成された。スタートとほぼ同じくして降り始めた雨は、徐々に本降りとなっていった。

日本では最後のレースとなるダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)の周りには何重もの人だかりができる注目の高さ Photo: Nobumichi KOMORI
各賞ジャージを着用する選手が写真撮影に応じる Photo: Nobumichi KOMORI

 山岳賞争いのポイントランキングで首位につける小石祐馬(チームUKYO)、同2位の木村圭佑(シマノレーシングチーム)、3位の草場啓吾(日本ナショナルチーム)という3人に、新城雄大(キナンサイクリングチーム)と阿曽圭佑(愛三工業レーシングチーム)を加えた5人の逃げ集団は、個人総合争いに絡む選手がいないこともあってメイン集団も容認。リーダーチームのバーレーン・メリダがコントロールを始めたことで一気にタイム差が拡大していった。

コースの沿道には精一杯の声援を贈る子どもたちの姿が目立った Photo: Nobumichi KOMORI
メイン集団が半道坂をKOMへ向かって上る Photo: Nobumichi KOMORI

山岳賞ジャージは小石から草場へ

 この日1回目の山岳ポイントが設定される2周目に入ると、逃げ集団では山岳賞ジャージをかけた小石、木村、草場の3人の争いが始まった。半道坂に入ると3人はお互いの出方をうかがいながら、KOM手前からスプリントを開始。最後は小石と草場の争いとなり草場が先着し、合計ポイントで小石を抜いて首位に立つ。その後、レースは5人の逃げ集団とメイン集団という形のまま穏やかに進み、タイム差は最大で5分程度にまで拡大していった。

2周目の山岳ポイントは草場啓吾(日本ナショナルチーム)が先着してポイントを逆転する Photo: Nobumichi KOMORI
逃げを容認したメイン集団はバーレーン・メリダがコントロールして穏やかに進む Photo: Nobumichi KOMORI
新城雄大(キナンサイクリングチーム)、草場啓吾(日本ナショナルチーム)、阿曽圭佑(愛三工業レーシングチーム)、木村圭佑(シマノレーシングチーム)、小石祐馬(チームUKYO)の逃げが長良川沿いの平坦路を走る Photo: Nobumichi KOMORI

 大きな動きがないまま3周目を終え、2回目の山岳ポイントが設定される4周目に入った逃げ集団は、KOMを阿曽、新城、草場の順で通過。3番手で通過した草場がさらに1ポイント加算し、この日の山岳賞ジャージを確定させた。この日の山岳ポイントを全て終えたことで、山岳ポイント狙いの3人は明らかにペースダウン。この動きを嫌った阿曽と新城が3人を引き離して、2人で逃げ続ける展開となった。

残り距離を考慮してメイン集団が少しずつペースを上げ始める Photo: Nobumichi KOMORI

 時をほぼ同じくして、メイン集団もペースアップを開始。これまで集団をコントロールしていたバーレーン・メリダに代わって、ゴールスプリントでのステージ優勝を狙うベネロング・スイスウェルネスや、イスラエル サイクリングアカデミーが集団先頭に立ち、逃げ集団とのタイム差は少しずつ縮まっていく。そして、逃げ集団とメイン集団のタイム差が1分5秒にまで縮まった状態で、レースは最終周を迎えることになった。

新城雄大(キナンサイクリングチーム)と阿曽圭佑(愛三工業レーシングチーム)の2人が逃げ切りの少ない可能性を信じて逃げ続ける Photo: Nobumichi KOMORI
イスラエル・サイクリング・アカデミーとベネロング・スイスウェルネスがペースを上げるメイン集団が逃げに迫る Photo: Nobumichi KOMORI

 最終周に入ると、逃げ集団とメイン集団とのタイム差はさらに縮まっていき、メイン集団がいつ逃げを吸収するかうかがいながら泳がせる状態に。するとここで、チェン・キンロ(香港、HKSIプロサイクリングチーム)が単独で飛び出し、逃げ集団に合流して、なおも逃げる展開となった。しかし、この動きも最後の半道坂の上り口を前にメイン集団が吸収する。ひとつになった集団は半道坂の上りに入るとペースが上がりタテに伸びる展開に。下りに入るとさらに集団が伸びた状態になって、そのままフィニッシュへと続く1kmのホームストレートへと次々に選手がなだれ込んでいった。

 ホームストレートに入った集団前方では、スプリンターチームが中心となって激しい位置取り争いが繰り広げられる状況に。コース幅が広いこともあり、各チームが右から左から次々に被せながら、先頭を奪い合う状態のまま残り500mを通過した。250mを切ろうかという段階になると各チームのエースがスプリントを開始し、横一線の状態でゴールを目指す。最後はレイム、マルティン・ラース(エストニア、チーム イルミネート)、レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO)の三つ巴の争いとなったが、僅差で先着したレイムが優勝。2位にクレダー、3位にラースが入った。

横一線のゴールスプリント勝負からミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル・サイクリング・アカデミー)が僅差で抜け出す Photo: Nobumichi KOMORI

 ステージ優勝のレイムはレース後「今日は寒い日だったが、チームの戦略がうまくハマった。チームとしてもステージ優勝できたことをうれしく思う」とコメント。

 総合成績に目を移すと、総合時間とポイント賞はトップと同タイムでフィニッシュしたグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ)ががっちりキープ。山岳賞はこのステージで6ポイントを加算した草場が小石からジャージを奪い返す形に。また、新人賞ジャージはこのステージを優勝して、ボーナスタイムで総合3位に浮上したレイムに移っている。

 第5ステージは長野県・飯田で開催される。厳しい上りとテクニカルな下りのサバイバルコースとあり、個人総合争いに動きが出ることが予想される。

第4ステージ結果
1 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) 3時間23分59秒
2 レイモンド・クレダー(オランダ、チームUKYO) +0秒
3 マルティン・ラース(エストニア、チーム イルミネート)
4 大久保陣(チーム ブリヂストンサイクリング)
5 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)
6 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
7 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ)
8 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)
9 パク・サンホン(韓国、LXサイクリングチーム)
10 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)

個人総合時間
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 9時間28分23秒
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +5秒
3 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) +8秒
4 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール) +9秒
5 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +17秒
6 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
7 ロビー・ハッカー(オーストラリア、チームUKYO) +20秒
8 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +23秒
9 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +26秒
10 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)

ポイント賞
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 58 pts
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 55 pts
3 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) 50 pts

山岳賞
1 草場啓吾(日本ナショナルチーム) 15 pts
2 小石祐馬(チームUKYO) 13 pts
3 木村圭佑(シマノレーシングチーム) 10 pts

新人賞
1 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) 9時間28分31秒
2 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +9秒
3 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)

チーム総合
1 チームUKYO 28時間26分22秒
2 NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ +1秒
3 キナンサイクリングチーム +5秒

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