ジロ・デ・イタリア2018 第16ステージデニスが個人タイムトライアル優勝 イェーツはタイムを1分15秒失うも総合首位を堅守

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ジロ・デ・イタリアは5月22日、第16ステージがまでのトレントからロヴェレートまでの34.2kmの個人タイムトライアルで争われ、ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング チーム)が最速タイムを記録してステージ優勝を飾った。注目のサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)とトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)のマリアローザをめぐる攻防は、デュムランがステージ3位、イェーツがステージ22位だったものの、タイム差は1分15秒にとどまり、イェーツが56秒差で総合首位の座を守り抜いた。

最速タイムをマークしたローハン・デニスが今大会初勝利 Photo: Yuzuru SUNADA

TTスペシャリストたちによるデッドヒート

 最終週を迎えたジロ・デ・イタリア、休息日明けの一戦は個人タイムトライアル(以降、TT)。34.2kmのほぼ全てが平坦路となっており、如実にTTの実力差が反映されるコースだ。

 総合勢にとっては、この日の出来次第では総合優勝や表彰台争いに大きな変動が生まれる可能性がある。特に2分11秒差で総合2位のデュムランが、イェーツからどれだけタイムを奪うのか注目が集まっていた。

 タイムトライアルの出走順は、総合成績順位が低い順となっている。TTスペシャリストと呼ばれる独走力の高い選手たちは、平坦・山岳問わず序盤・中盤の集団コントロールの仕事を担うことが多く、最終的に大きく遅れてフィニッシュすることが多い。このため、本ステージでは前半の時間帯に多くのTTスペシャリストたちが集結していた。

 最初に好タイムを記録したのはマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)で、41分4秒だった(※後に前走者またはチームカーなどを風よけとして使ったとして、30秒のペナルティを受ける)。

 ペデルセンのチームメートでもあるアイルランドTTチャンピオンのライアン・ミューレンが12.9km地点の第1中間計測ポイント、25.9km地点の第2中間計測ポイントそれぞれでペデルセンの暫定タイムを上回りつつも、途中で太ももを叩いて脚がつったような仕草を見せた影響のためか後半に失速してタイムを更新できなかった。

 続いて欧州TTチャンピオンジャージを着用するヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・フィックスオール)が、ペデルセンとミューレンの中間計測タイムを更新する快走を見せていたが、ペデルセンのタイムにわずか3秒届かず。

 今度はアレックス・ドーセット(イギリス、カチューシャ・アルペシン)が好タイムをマーク。ペデルセンの記録を24秒更新する40分40秒で走り抜けた。

161人中54番目スタートのトニー・マルティンが好タイムを記録 Photo: Yuzuru SUNADA

 そのドーセットの中間計測タイムを、元TT世界チャンピオンのヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ)、昨年のジロ最終ステージの個人TTでデュムランを上回るタイムを記録して勝利したヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNL・ユンボ)、TT世界チャンピオンを4度獲得したトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)らが続々と更新。

 それぞれ好タイムが期待されるなか、キリエンカはドーセットに届かないものの、ファンエムデンが13秒更新、続いてマルティンがファンエムデンをさらに13秒更新する40分14秒をマークして暫定1位となった。

 マルティンは長時間、暫定1位の選手が待機するホットシートにしばらくの間座り続けることになる。

最速デニスは総合タイムを大きく挽回

 レース中盤には雨が降っている区域もあったものの、終盤の選手たちがスタートする頃までには降り止んでいた。そうしたなかで、第1ステージで2位に入ったオーストラリアTTチャンピオンのデニスを皮切りに、総合上位勢が登場した。

 総合11位につけているデニスは第1計測で最速タイムを12秒、第2計測でも6秒更新し、フィニッシュ地点では14秒もマルティンのタイムを上回り、暫定トップに立った。

TT巧者らしく総合勢ではデニス、デュムランに次ぐ好タイムをマークしたクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 TTを得意とするクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)は、第1計測でデニスから24秒遅れで通過。第2計測は31秒遅れのペースで走り、最終的に40分35秒を記録してフィニッシュした。

 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスターチーム)らTTがあまり得意ではない選手は、デニスから2分以上遅れてフィニッシュした。それぞれ総合順位を下げ、新人賞争いにおいては、ロペスはカラパスから10秒リードを拡大させた。

 前フランスTTチャンピオンのティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)もタイムは伸び悩んだ。3分19秒遅れでフィニッシュし、フルームに総合成績で逆転を許すほどの大失速だった。また、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)は2分20秒遅れでフィニッシュ。フルームに総合成績で39秒差まで一気に迫られる結果となった。

世界王者の証、マイヨ・アルカンシエルを着用して臨んだトム・デュムラン Photo: Yuzuru SUNADA

 いよいよ、現TT世界チャンピオンの証であるアルカンシエルジャージを身にまとったデュムランが登場した。しかし第1中間計測でデニスから17秒遅れの暫定4位、第2計測でも19秒遅れを喫し、フルームは上回ったものの、ラストは40分22秒でステージ3位に入った。

 そして最終走者となるのは総合首位のイェーツだ。第1中間計測でデュムランから20秒遅れの16位で通過。第2計測では48秒差。フィニッシュではデュムランから1分17秒遅れの41分37秒でゴールした。総合成績逆転もあり得ると見られたなかで、1分程度のリードを守ったイェーツの走りは快走といってよいだろう。

得意ではない個人TT。ある程度のタイムロスは覚悟して臨んだサイモン・イェーツは想定以上の善戦だった Photo: Yuzuru SUNADA

 この結果、ステージ優勝はデニスの手に。今季4勝は全て個人TTによる勝利だ。さらに総合成績でも6位まで一気に浮上して、ジロの個人TTで勝利して総合10位以内という目標の達成に向けて大きく前進した。

 レース後のデニスは「ステージを勝つためにここに来た。イスラエルも勝ちたかったけど、このステージも同じくらい大きな目標だった。だから、ここまでハードワークしてきたチームメートに恩返しができて良かったし、総合トップ10にも返り咲いて最高の一日になった!」と語った。

この日の勝利により総合6位に一気に浮上したローハン・デニス Photo: Yuzuru SUNADA

 マリアローザを守ったイェーツは「本当にうれしいよ。最初の区間で調子が良いと思ったし、良いリズムで走れていた。それほど多くのタイムを失わずに済んだし、これからも総合首位をキープし続けるよ。ただ、最後の10kmはキツすぎて死ぬかと思った。今日はもっとタイムを失うと思っていたが、どうにか守り抜くことができてうれしい」とコメントを残した。

 第17ステージは、平坦ステージに分類されるもののスタート直後から10kmの登坂区間が登場する。今大会は逃げ切り勝利がほとんど決まってないため、勝利を渇望するチームはとても多い。したがって逃げ切りを狙って多くの選手が逃げを試みることが予想されるため、単純なスプリントステージにはなりにくいだろう。総合上位勢にとっては、第18ステージからの山岳3連戦に向けて羽を休める一日となりそうだ。

ダイジェスト動画(期間限定公開)

第16ステージ結果
1 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 40分0秒
2 トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) +14秒
3 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +22秒
4 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNL・ユンボ) +27秒
5 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +35秒
6 アレックス・ドーセット(イギリス、カチューシャ・アルペシン) +40秒
7 チャド・ハガ(アメリカ、チーム サンウェブ) +47秒
8 ファビオ・アル(イタリア、UAEチーム・エミレーツ) +57秒
9 ダビ・デラクルス(スペイン、チーム スカイ) +1分1秒
10 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ) +1分4秒

個人総合(マリアローザ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 66時間39分14秒
2 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +56秒
3 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +3分11秒
4 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +3分50秒
5 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +4分19秒
6 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +5分4秒
7 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +5分37秒
8 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +6分2秒
9 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +6分7秒
10 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +7分1秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 237 pts
2 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 197 pts
3 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 113 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 91 pts
2 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 52 pts
3 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 47 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 66時間44分51秒
2 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +30秒
3 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) +1分56秒

チーム総合
1 チーム スカイ 200時間19分39秒
2 アスタナ プロチーム +8分36秒
3 ミッチェルトン・スコット +10分12秒

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