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御神火ライド2018

ツアー・オブ・ジャパン2018 第3ステージいなべの上りスプリントをボーレが制す 新城幸也が落車負傷を押しながら好アシスト

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ツアー・オブ・ジャパン2018は5月22日、第3ステージが三重県いなべ市で開催された。最大斜度17%の通称「イナベルグ」を含む難関コースは、上りスプリントをグレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ)が制した。新城幸也(バーレーン・メリダ)はスタート直後の落車に巻き込まれ、顔に打撲傷と裂傷を負いながらも、チームのために献身的な働きを見せていた。総合ジャージはボーレが引き続き着用する。

上りスプリントで勝利したグレガ・ボーレ。前年勝者のマルコ・カノラを下した Photo: Yuu AKISANE

スタート直後に新城が落車

 いなべステージは、三峡鉄道道北勢線の阿下喜駅をスタートし、パレード走行を経て1周14.8kmの梅林公園周回コースを8周するコースレイアウトとなっている。

 途中にはいなべステージ名物となっている、いなべの壁こと「イナベルグ」が登場。最大斜度17%の激坂が選手たちに襲いかかる。上りだけでなくダウンヒルは道幅が狭くテクニカルになっており、周回コースの全てが厳しくなっている。

落車してジャージの右肩部分が破け、左こめかみ付近を負傷した新城幸也 Photo: Yuu AKISANE

 レーススタート直後、集団から逃げに乗るためのアタックが頻発するなか、直線路で集団落車が発生した。新城が巻き込まれてしまい、ジャージの右肩部分が破け、左こめかみ付近に裂傷を負ってしまう。

 新城を含む複数人の選手が落車の影響で遅れていたが、1周目を終える頃には集団復帰を果たしていた。

逃げた小石が山岳賞を獲得

 最初に逃げを決めたのは小石祐馬(チームUKYO)とダミアン・モニエ(フランス、愛三工業レーシングチーム)の2人だった。

 2周目と5周目に設定されている山岳ポイント(KOM)を巡って、山岳賞ジャージを着用する草場啓吾を擁するが日本ナショナルチームが中心となって集団コントロールを行い、2周目に入った時点でタイム差は25秒だった。

集団コントロールを担う日本ナショナルチーム Photo: Yuu AKISANE
逃げる小石祐馬とダミアン・モニエ。最初のKOMは小石が獲得 Photo: Yuu AKISANE

 小石とモニエは集団に吸収されずに、最初のKOMを小石、モニエの順で通過。3位のポイントは草場と同ポイントで並んでいた木村圭佑(シマノレーシングチーム)が獲得。木村が暫定で山岳賞首位となった。山岳ポイントの争いが一段落したところで、集団はペースを落とし、2人の逃げを容認する格好となった。

集団で献身的な働きを見せる新城幸也は、レースの大半を先頭で引いていた Photo: Yuu AKISANE

 メイン集団はリーダージャージを持つバーレーン・メリダが集団コントロールを担い、その先頭を引いていたのが落車で負傷したはずの新城だった。新城はほとんどの時間を1人で集団をけん引。逃げとのタイム差を1分程度にとどめる働きを見せていた。

山岳賞を獲るために、イナベルグでアタックする小石祐馬 Photo: Yuu AKISANE

 続く山岳ポイントは5周目。ここも小石が先頭通過を果たした。3位には草場が入って1ポイント獲得したものの、10ポイントを獲得した小石が、この日を終えての山岳賞ジャージを確定させた。

 小石が目標を達成したことで逃げ集団はペースを落とし、6周目に新城がけん引するメイン集団に吸収された。

カノラに競り勝ったボーレがTOJ初勝利

 レースは終盤。残り2周となる7周回目に入った。

 逃げを吸収したメイン集団は引き続きバーレーン・メリダがコントロール。すると前日の京都ステージでも終盤に逃げを敢行したシモン・ペロー(スイス、チーム イルミネート)がこの日もアタックを仕掛けた。ペローはメイン集団から9秒ほどリードを築いて独走に持ち込んだ。しかし、この動きも長くは続かず、間もなくペースの上がるメイン集団に吸収された。

昨年のいなべステージを制している、総合2位につけるマルコ・カノラ Photo: Yuu AKISANE

 すると下りきった平坦区間でバーレーン・メリダはペースアップを敢行。集団が大きく分断された。先頭集団は20人前後に絞られ、ボーレや新人賞ジャージのオリバー・ウッド(イギリス、JLT・コンドール)らは残っていたものの、前年のいなべステージ勝者のマルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)が取り残されてしまう。

 しかし、追走集団はNIPPO・ヴィーニファンティーニの猛烈なけん引によって、カノラは最終周回を前に集団復帰を果たした。先頭集団ではアタックが頻発したが、どれも決定打には至らなかった。そうするなかで、徐々に集団復帰を果たす選手が増えて、再び大集団となる。

 上り区間に入っても大集団のまま、最後のスプリントを迎えた。

フィニッシュ寸前でマルコ・カノラを差し切ったグレガ・ボーレ Photo:Yuu AKISANE

 JLT・コンドールがペースアップを図っていた集団から、前年のいなべステージ勝者のカノラがロングスプリントを開始。フィニッシュ前の上りが厳しい区間を独走で駆け抜けていった。しかし、ボーレが残り50mでカノラに追いつく。サイドバイサイドで争われたゴールスプリントはボーレが先着した。

 リーダージャージを着るボーレがツアー・オブ・ジャパン初勝利を飾り、リーダージャージを守ると共に、ポイント賞ジャージも奪取した。2位はカノラ、3位には堺ステージで勝利したイアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール)が入った。日本人最高位は4位の窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)だった。

 最後は集団が割れたため、6位以下はタイム差がとられたため総合成績に入れ替わりが生じた。新人賞ジャージは総合4位につけていたウッドに代わって、ステージ5位に入ったサム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)の手に渡っている。

総合ジャージを守ったグレガ・ボーレはポイント賞ジャージも獲得 Photo:Yuu AKISANE
山岳賞ジャージを獲得した小石祐馬。逃げに入ったことで、目標を山岳賞に切り替えたという Photo: Yuu AKISANE

 レース後のボーレは「今日の勝利は(新城)幸也に捧げたい。幸也は落車して怪我を負いながらも、一日中ずっと私のために働いていた。だから今日の勝利は彼のものだし、全てのチームメイトも本当によくサポートしてくれたことにも感謝したい。幸也は言葉にできないほど素晴らしいパフォーマンスだった」と献身的な働きを見せた新城の名前を何度も出しながらチームへの感謝を述べていた。

チームメイトと共にフィニッシュ地点にたどり着いた新城幸也。ファンの歓声に手を振って応えていたものの、レース後に病院に直行した Photo: Yuu AKISANE

 新城はチームメイト2人と一緒に、7分48秒遅れでフィニッシュ。レース終了直後、メディカルカーに駆けつけ応急処理を受けた後に、チームドクターと共に病院へ向かったとのこと。翌日以降のレース出場は現時点では不明。状態が判明し次第、チームから何かしらの発表があるという。

 第4ステージは岐阜県・美濃で開催される。比較的平坦基調のコースとなり、スプリンターによる集団スプリントの展開が予想される。

第3ステージ結果
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 3時間11分57秒
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +0秒
3 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール)
4 窪木一茂(チーム ブリヂストンサイクリング)
5 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)
6 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +3秒
7 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)
8 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー)
9 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)
10 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO)

個人総合時間
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 6時間4分24秒
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +5秒
3 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール) +9秒
4 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) +17秒
5 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
6 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) +18秒
7 ロビー・ハッカー(オーストラリア、チームUKYO) +20秒
8 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チームUKYO) +23秒
9 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +26秒
10 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)

ポイント賞
1 グレガ・ボーレ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 49 pts
2 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 45 pts
3 イアン・ビビー(イギリス、JLT・コンドール) 27 pts

山岳賞
1 小石祐馬(チームUKYO) 10 pts
2 草場啓吾(日本ナショナルチーム) 9 pts
3 木村圭佑(シマノレーシングチーム) 9 pts

新人賞
1 サム・クローム(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス) 6時間4分41秒
2 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +0秒
3 ミヒケル・レイム(エストニア、イスラエル サイクリングアカデミー) +1秒

チーム総合
1 チームUKYO 18時間14分25秒
2 NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ +1秒
3 キナンサイクリングチーム +5秒

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