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御神火ライド2018

創業130年を超える最古のブランド代名詞“チェレステカラー”のルーツとは…ビアンキ伝統のマニファクチャリングを本社で探求 

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 現存する最古の自転車メーカーとして創業から130年以上の歴史を持つ「Bianchi」(ビアンキ)。今もなおイタリア国内の本社工場で開発やアッセンブルを行い、創業当時の伝統を継承しつつ、フェラーリ社とタッグを組むなど、新たな試みでファンを魅了している。ベルガモ郊外にある本社工場を訪問し、ブランドのルーツとモノづくりの精神を探求した。

職人の手によって組み立てられるロードバイクの完成車 Photo: Shusaku MATSUO

チェレステ以前はブラックだった

ベルガモ郊外にあるビアンキの本社工場 Photo: Shusaku MATSUO

 ビアンキは創業者のエドワルド・ビアンキが1885年、ミラノに小さな自転車店を開業したことがきっかけとなり発足した。徐々に会社の規模を広げたビアンキは、自転車だけでなくエンジン付きのバイクや車の生産もしていたが、第二次世界大戦を機に縮小。1960年代から自転車にフォーカスし、その後、フェリーチェ・ジモンディ(イタリア)や、故マルコ・パンターニ(イタリア)ら偉大な王者と進化を共にしてきた。60年代初期にミラノから現在のベルガモ郊外・トレビリオへと本社を移転し、開発や生産の拠点にしている。

ビアンキの本社工場の外観 Photo: Shusaku MATSUO
アッセンブルされたバイクがずらりと並び、発送を待つ Photo: Shusaku MATSUO

 広大な敷地の本社はレンガ造りの倉庫を改装した外観となっており、所々にチェレステカラーが施される雰囲気ある佇まいだ。入り口近くにはこれまでビアンキが世に送りだした作品が並ぶミュージアムがあり、来場者を迎え入れた。

1899年に製造されたビアンキの自転車。国際レースで記念すべき1勝目を挙げたモデル Photo: Shusaku MATSUO
当時の車体はブラックが主流だった。ロゴマークは現在と変わらない Photo: Shusaku MATSUO

 名選手、フェリーチェ・ジモンディ(イタリア)が1970年代に駆ったチェレステカラーのレースバイクや、130年近く前の1899年に製造されたシングルスピードバイクがそのままの形で展示されていた。木製リムにゴムを用いたタイヤ、一コマ一コマ繋げられたチェーンなど、現代の自転車に通じる精巧な造りだ。

フェリーチェ・ジモンディ(イタリア)が駆ったモデルも展示されている Photo: Shusaku MATSUO

 このシングルスピードの自転車を前に、マーケティングマネージャー、クラウディオ・マズナータ氏がビアンキの代名詞でもある「チェレステ」について語った。「当時のプロダクツは、このバイクのようにブラックが主流でしたが、イタリア王妃マルゲリータ・ディ・サヴォイアへ、ブルーの自転車を贈ったのを機にチェレステが定着しました」と説明。チェレステの起源は“マルガリータ女王の青色の瞳をイメージした”や、“イタリアの空の色を表した”など諸説あるという。チェレステカラーは少しずつ変化を続けており、現在はCK16(シーケーシックスティーン)フルオカラー(蛍光色)が用いられている。

職人が1人1台を担当

一台一台丁寧に組み付けられていく Photo: Shusaku MATSUO

 本社内には完成車をアッセンブルするためのスペースがあり、手作業でロードバイクや、電動アシスト付きのeバイクが1台1台丁寧に組み付けられていた。サプライチェーンマネージャーのマッテオ・イッラーリ氏は「ここでは複数人がラインを組む流れ作業ではなく、職人が1人1台を組み立て、箱に詰めるまで責任を持って担当します」と説明。ハンドルの取り付けや、ワイヤー通し、変速調整まで全ての工程が行われている。

 「バイクをひっくり返さず、正しい向きで組み付けているのもこだわりです」とマッテオ氏は付け加え、厳しい品質管理を強調した。ここで組まれた完成車は日本をはじめ、5大陸、64カ国へ毎年2万台が本社から配送されるという。

「ラインの流れ作業ではなく、1人1台を責任もって組み付けます」と説明するマッテオ・イッラーリ氏 Photo: Shusaku MATSUO
アッセンブルを待つチェレステのフレーム群 Photo: Shusaku MATSUO
工場内でひと際目立つ「スクーデリア・フェラーリ01」 Photo: Shusaku MATSUO

 カラーオーダーシステムの「タヴォロッツァ」も全てここで行われている。巨大な塗装ブース内では、タイムトライアルバイク「アクイラ CV」の下地塗装が施されていた。UCI(世界自転車競技連合)ワールドチームのロットNL・ユンボの選手へと供給されるバイクもここでペイントされる。ちなみに、プロチーム選手が使用するフレームと市販品のフレームは全く同じモデルだという。

下地となるベース色が吹き付けられていた Photo: Shusaku MATSUO

 施設内には強度試験専用のブースが設けられている。ここでは生産されているフレームのモデル各サイズの2パーセントをランダムに抽出し、試験機へとかけている。フォークやBBを固定し、縦横あらゆる方向から圧力を加え、強度を測定するマシンが並べられていた。ヨーロッパ圏内の工業規格では10万回の検査が必須となるが、ビアンキではそれを上回る15万回の試験が実施されている。この結果、販売された製品から深刻な破断は発生していないという。

選手用のスペシャルモデルもここで塗装、アッセンブルが行われるという Photo: Shusaku MATSUO
塗装を待つタイムトライアルバイク「アクイラ CV」 Photo: Shusaku MATSUO

 レースシーンの最前線を駆けてきたビアンキ。イタリアの本社工場では、培ってきた歴史と伝統を重んじ、それらを生かしたチャレンジングなモノづくり精神が息づいていた。6月に発表を予定している「オルトレ XR3ディスク」をはじめとした2019年モデルにも期待が高まる。

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