ジロ・デ・イタリア2018 第14ステージ【動画付き】超難関山岳ゾンコランでフルームがジロ初勝利 イェーツ2位でイギリス人がワン・ツー

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ジロ・デ・イタリアは5月19日、第14ステージがサン・ヴィート・アル・タリアメントからモンテ・ゾンコランまでの186kmで争われ、残り4kmから独走に持ち込んだクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が自身ジロ初勝利となるステージ優勝を飾った。サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)はステージ2位に入り、総合成績で2位につけているトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)とのタイム差を拡大した。

サルブタモール問題を抱え、不調がささやかれていたクリストファー・フルームが、超難関山岳ゾンコランで独走勝利 Photo : Yuzuru SUNADA

総合バトルを控えたステージ、逃げは7人

 「地獄への門」と形容されることもある名峰ゾンコランが、第14ステージのフィニッシュ地点に設定されている。登坂距離10.1km、平均勾配11.9%、最大勾配22%というヨーロッパ内でも1、2を争う難関山岳で総合争いは本格的に激化するとみられていた。

 この日の逃げは7人。ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)、マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼールラモンディアール)、エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニ・CSF)、ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)といった逃げの巧者が含まれていた。

ゾンコランの上りは急峻で道幅も狭いためチームカーが進入できない。そこでメカニックが自転車をかついでモトバイクに乗り込み、選手のサポートを行う Photo : Yuzuru SUNADA

 リーダーチームであるミッチェルトン・スコットがコントロールするメイン集団とのタイム差は最大6分前後でレースは進行し、終盤の2級山岳パッソ・デュロンの上りになるとチーム サンウェブ、アスタナ プロチームが集団けん引を開始して逃げ集団とのタイム差を縮めにかかった。

 続く3級山岳の山岳ポイント争いでコンティ、バルビンが逃げ集団から抜け出すことに成功。2人は1分ほどリードを保ったまま、ゾンコランのふもとに到達した。

スカイのけん引でメイン集団縮小

 ゾンコランの上りに入ると、まもなくコンティの独走状態になった。

 メイン集団からは、2011年のゾンコランで勝利しているイゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)がアタック。残り7.1km地点でコンティに追いつき2人で頂上を目指す。

サム・ベネットはチームメイトのペテル・サガンが得意とするウイリー走行を披露 Photo : Yuzuru SUNADA

 フルームは集団最後尾で苦しんでいるような姿も見られたが、チームメイトのワウト・プールス(オランダ)が先頭に立ってフルームのためにペースメイクを開始した。

 スカイがコントロールするメイン集団からはマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が飛び出した。総合では3分43秒遅れの16位につけていて、フルームからは23秒差しか離れていなかったが、集団先頭のプールスは慌てて追う様子もなく淡々とペースを刻んでいく。

 ウッズは先頭の2人に追いついたものの、すぐにプールス率いるメイン集団に捕捉された。コンティの逃げはここで終了したが、ウッズは再び抜け出し独走に持ち込んだ。

 フィニッシュまで残り6km付近で、ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)をはじめ、集団から脱落する選手が続出しはじめた。一方で上り口では苦しんでいたフルームは、いつの間にか集団の2番手まで浮上しており、今大会はじめてチーム スカイが主導権を握る展開になっていた。

勾配10%を越える激坂区間で献身的に集団をけん引するワウト・プールス Photo : Yuzuru SUNADA

 残り5km付近、スカイの攻撃態勢が整ったところで、プールスがさらにペースアップを図る。先頭のウッズを捉え、マリアビアンカ(新人賞)のリチャル・カラパス(エクアドル、モビスターチーム)も遅れを喫するほどのハイペースだった。

 集団はプールス、フルーム、イェーツ、デュムラン、ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナプロチーム)、セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマ・エフデジ)の8人まで人数を減らしていた。

フルームがラスト4kmを独走

 残り4.3km地点、プールスのけん引が終了すると、満を持してフルームがアタックした。ポッツォヴィーヴォ、イェーツ、ロペスが追従したが、デュムランは自分のペースを維持しており、フルームたちとの差が開いた。

後続との差を開きにかかるクリストファー・フルーム Photo : Yuzuru SUNADA

 残り4km地点でさらにフルームが加速すると、ほか3人を振り切って独走に持ち込んだ。一気に後続との差を10秒以上広げた。イェーツら3人のマリアローザグループからさらに6〜7秒遅れてデュムランとピノが続いていた。

 山頂まであと3kmのところでマリアローザグループからイェーツ自身がアタック。ポッツォヴィーヴォとロペスを振り切って、単独でフルームを追いかけ始めた。しかし、フルームとイェーツのタイム差は12秒前後のまま広がりもせず、縮まりもしない。

 勾配が5%前後まで緩む残り1.5km付近のわずかな区間を利用して、イェーツが加速。フルームとのタイム差を一気に4秒程度まで縮めた。

フルームから付かず離れずの位置で追走するマリアローザを着るサイモン・イェーツ Photo : Yuzuru SUNADA

 ラスト1kmのアーチをくぐり抜けると、再び10%前後の急勾配区間に突入。イェーツはフルームの背中をハッキリと視認できる位置にいながらも、近いようで遠い4秒の差がなかなか縮まらない。

 最後はフルームが力を振り絞って再加速。イェーツとの差を開いて、フルームにとってジロ・デ・イタリア初となるステージ優勝を飾った。総合12位から5位へとジャンプアップも果たしている。

イェーツを6秒差で振り切って、ステージ優勝を飾ったフルーム Photo : Yuzuru SUNADA

 イェーツは6秒遅れでフィニッシュ。奇しくもこの日はイギリスのヘンリー王子とメーガン・マークルの結婚式が挙げられていた。ロイヤルウエディングの佳き日に、イギリス人ライダーがワン・ツーフィニッシュを決める結果となった。

 デュムランは最後までペース走行を貫き、イェーツから31秒遅れのステージ5位でフィニッシュ。総合タイムの差は1分24秒に拡大したが、まだ個人タイムトライアルのステージを残しており、決定的とはいえないタイム差に留まっている。

ペース走行で失ったタイムを最小限に留めた印象のトム・デュムラン Photo : Yuzuru SUNADA
苦悶の表情を浮かべながらフィニッシュしたティボー・ピノ Photo : Yuzuru SUNADA

 総合上位陣のタイム差が大きく変動し、順位もそれぞれ入れ替わっている。マリアビアンカのカラパスは、2分遅れの区間13位。新人賞ランキング2位のロペスが25秒遅れの4位でゴールしたことで、両者の総合タイムは逆転。ロペスがマリアビアンカを獲得した。総合3位だったピノが4位に後退し、ポッツォヴィーヴォが総合表彰台圏内へ浮上した。

 レース後のフルームは、ぜ残り4km地点でアタックしたのか?と聞かれ、「仕掛けるギリギリの瞬間だと感じたからだ。もちろん下見もしていて、最後の数キロ区間がどうなっているかは知っていた。ワウト(プールス)が本当に素晴らしい仕事をしてくれたおかげだ」と狙いすましたアタックであることがうかがい知れた。

ポディウムで笑顔を見せるクリストファー・フルーム Photo : Yuzuru SUNADA

 イェーツはフィニッシュ後に地面にへたり込む姿も見られていたが、「ステージ優勝を狙っていた。フィニッシュまでフルームをずっと追いかけていたけど、あと少し届かなかった。でも自分の走りには満足している。いまは少し疲れているけど、全て順調だ」とコメントを残した。

 第15ステージは、トルメッツォからサッパーダまでの176kmで争われる。2級山岳が3つ登場し、ステージ後半は上りと下りしかないようなハードなコース設定だ。引き続き総合勢の動きから目が離せない展開が続くことだろう。

ダイジェスト動画(期間限定公開)

第14ステージ結果
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 5時間25分31秒
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +6秒
3 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +23秒
4 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +25秒
5 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +37秒
6 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +42秒
7 ワウト・プールス(オランダ、チーム スカイ) +1分7秒
8 セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマ・エフデジ) +1分19秒
9 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +1分35秒
10 マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +1分43秒

個人総合(マリアローザ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 61時間19分51秒
2 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +1分24秒
3 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分37秒
4 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +1分46秒
5 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +3分10秒
6 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +3分42秒
7 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +3分56秒
8 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +4分4秒
9 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +4分29秒
10 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +4分43秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 237 pts
2 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 197 pts
3 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 98 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 76 pts
2 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 47 pts
3 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) 40 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) 61時間23分33秒
2 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +14秒
3 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) +2分0秒

チーム総合
1 チーム スカイ 184時間15分54秒
2 アスタナ プロチーム +2分46秒
3 ミッチェルトン・スコット +6分51秒

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