ジロ・デ・イタリア2018 第12ステージ【動画付き】雨と風で波乱の終盤、生き残ったベネットがスプリント2勝目 総合上位勢は変動なし

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 ジロ・デ・イタリアは5月17日、第12ステージがオージモからイモラへの214kmで行われ、集団スプリントをサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が制して、第7ステージに続く今大会2勝目を挙げた。総合上位勢の変動はなく、首位のマリアローザはサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がキープしている。

終盤サバイバルゲームとなった集団でのスプリントを、サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が制して今大会2勝目を挙げた Photo: Yuzuru SUNADA

集団スプリントが予想されるステージ

 この日はモータースポーツで有名なイモラサーキットにゴールする214kmのレース。全体にほぼ平坦だが、終盤の残り15kmで一度ゴールラインを通過して、4級山岳を越えて下ってフィニッシュとなる。全体としての難易度は高くなく、スプリンター勢の争いになると目されていた。

ここまで区間2勝、ポイント賞ジャージを着る、スプリント本命のエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) Photo: Yuzuru SUNADA

 レースはスタートしてほどなく、エウゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)のアタックから、これに反応したマルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)、ミルコ・マエストリ、マヌエル・センニ(ともにイタリア、バルディアーニ・CSF)、ヤコポ・モズカ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)が合流し、5人の逃げグループが形成された。

 メイン集団は有力スプリンターを擁する、クイックステップフロアーズ、EFエデュケーションファースト・ドラパック、ボーラ・ハンスグローエが、それぞれアシスト選手を複数集団先頭に置いて、逃げとの差は3分前後にコントロールされた。レース前半はスプリントステージらしい、落ち着いた展開となった。

落ち着いたペースで走るメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

雨と風で集団が分断

 文字通り雲行きが怪しくなったのは、残り90kmを切ってから。それまでも厚かった雲からついに雨が降り出し、選手たちの体力を奪い始めた。

 先頭では2度の中間スプリントを、ともにフラッポルティが先頭で通過した。いっぽうメイン集団でもポイント賞のマリアチクラミーノを着る、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)がともに先頭で通過。6位通過ながらポイントを積み重ねた。

 メイン集団は終盤に向けて徐々にペースアップして逃げとのタイム差を縮めるが、雨風が強まるなかで残り30km近く、集団が大きく分断してしまった。遅れた集団には総合4位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、総合5位で新人賞ジャージを着るリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)の姿。さらにはこの日スプリント勝利を狙うはずのヴィヴィアーニも、後方集団に取り残されてしまった。

 ヴィヴィアーニが遅れたことを受け、メイン集団ではボーラ・ハンスグローエのアシスト勢が集団先頭に集結し、ヴィヴィアーニらを完全に引き離すべくペースアップした。後方集団ではクイックステップフロアーズ、モビスター、バーレーン・メリダらが追いかける。

 このペースアップにより、逃げグループは一気にタイム差を失い、モズカとマエストリ以外の3人は残り24kmで吸収。残る2人も残り21kmで集団に飲み込まれた。ほぼ時を同じくして、後方集団も何とかメイン集団に追いつき、集団は再び一つになった。

本命・ヴィヴィアーニが集団から脱落

 逃げが吸収されてすぐ、集団ではティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・フィックスオール)が単独で抜け出した。リードは10秒程度ながら、チームメートが追走の動きを封じ、メイン集団はこれをなかなか捕らえることができない。イモラサーキットに入り、一旦ゴール地点を通過して残りは15km。メイン集団はクイックステップフロアーズのアシスト選手が追走を担う。

ティム・ウェレンスの強力なカウンターアタックがレースを厳しくした Photo: Yuzuru SUNADA

 しかし、ここで肝心のヴィヴィアーニが集団から脱落してしまった。これによりクイックステップ勢は追走を諦め、ウェレンスは差を広げて逃げ続ける。集団は一旦イモラサーキットを離れ、4級山岳へと向かう。単純なスプリント勝負にはならない、波乱の展開となった。

4級山岳の上りで攻撃をみせるセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) Photo: Yuzuru SUNADA

 集団の先頭はEFエデュケーションファースト・ドラパックに替わり、ようやく残り10kmでウェレンスを吸収した。ここから残り7kmの山岳ポイントまでアタック合戦となり、山岳ポイント直前で仕掛けたディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)が先頭で頂上を通過した。これにカルロス・ベタンクール(コロンビア、モビスター チーム)が合流し、2人が先行する形となった。

脚の違いを見せたベネット

 山岳頂上からゴール直前までは下り基調。集団からは前日区間優勝したマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)が単独で先頭に追いつき、入れ替わるようにウリッシが後退した。メイン集団は逃げる2人を追い込むものの、雨の下りとあって簡単に捕らえることはできない。

サイモン・イェーツは危なげない走りでマリアローザを守った Photo: Yuzuru SUNADA

 残り1kmを切り、再びイモラサーキットに入ったところで、ようやく集団が逃げる2人を射程圏内に捉えた。残り300mで勢いよく集団から飛び出したのはベネット。粘っていた2人を抜き去ると、先行したまま最後の直線へと入り、2位以下に差をつけたまま先頭でゴールラインを切った。

 圧倒的なスプリントでの今大会2勝目。終盤の雨、風、上りといった悪条件のなか、ベネットがピュアスプリンター勢ではほぼ唯一、最後まで脚を残した状態でスプリントに臨んでいた。ベネットは総合ポイント賞争いでも、首位のヴィヴィアーニに対しこの日44ポイント差を詰め、22ポイント差の2位に迫っている。翌第13ステージもスプリンターステージと目されており、ヴィヴィアーニとベネットのポイント賞争いに注目が集まる。

今大会2勝目のベネット。総合ポイント賞争いでも首位のヴィヴィアーニとの差を大きく縮めた Photo: Yuzuru SUNADA

ダイジェスト動画(期間限定公開)

第12ステージ結果
1 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 4時間49分34秒
2 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNL・ユンボ)
3 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)
4 バティスト・プランカールト(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)
5 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシングチーム)
6 ミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)
7 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
8 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
9 フロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップフロアーズ)
10 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、ロットNL・ユンボ)

個人総合(マリアローザ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 51時間57分55秒
2 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +47秒
3 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +1分4秒
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分18秒
5 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +1分56秒
6 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +2分9秒
7 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +2分36秒
8 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +2分54秒
9 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +2分55秒
10 ファビオ・アル(イタリア、UAEチーム・エミレーツ) +3分10秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 184 pts
2 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 162 pts
3 マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 89 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 58 pts
2 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 47 pts
3 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) 36 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 51時間59分51秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分21秒
3 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) +1分29秒

チーム総合
1 ミッチェルトン・スコット 156時間1分8秒
2 アスタナ プロチーム +3分11秒
3 チーム スカイ +4分7秒

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