ジロ・デ・イタリア2018 第11ステージ【動画付き】マリアローザのイェーツが急坂勝負を制し総合リードを拡大 前回王者のデュムランが2位に続く

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ジロ・デ・イタリア第11ステージは5月16日、156kmで争われ、最終盤の急坂区間でマリアローザを着るサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がライバルを圧倒。今大会2度目となるステージ優勝を挙げ、総合でのリードを広げた。また、前回覇者のトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)も2位に続き、個人総合でも2位でイェーツを追う状況を固めている。

ジロ・デ・イタリア第11ステージを制し、総合でのリードも広げたサイモン・イェーツ Photo: Yuzuru SUNADA

スカルポーニゆかりの街を元チームメートがトップ通過

 キリスト教の巡礼地として世界遺産に登録されるアッシジをスタートし、アペニン山脈をまたいでオージモを目指す一日。上級にカテゴライズされる山岳こそないものの、中盤から終盤にかけては細かなアップダウンが続く。途中で通過するフィロットラーノでは山岳にカテゴライズされない勾配16%の上りがあるほか、フィニッシュ手前5km地点には、これまた16%の石畳の上り、そして残り1.5kmも16%と、急坂が数々控える。

 また、残り4kmを切ってからは次々と現れるコーナーに加えて道幅が一気に狭まるなどテクニカル。いかに好位置で急坂区間を迎え、上手く攻略するかがポイントとなる。

アッシジのスタートラインに並んだ選手たち Photo: Yuzuru SUNADA

 スタートからしばらくはアタックの応酬となり、逃げが決まったのは30kmほど進んだあたり。ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム)とアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシングチーム)が先行すると、ファウスト・マスナーダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)、ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニ・CSF)、アレクス・トゥリン(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)が後追いし、3人とも合流に成功。メイン集団はこの5人の動きを最終便とし、レースコントロールに移行する。

 一時は逃げがリードを4分台に広げたものの、メイン集団がタイム差調整に入ると、その差は徐々に縮まっていった。

 それでも快調な走りを見せてきた逃げグループは、126.7km地点に設けられたこの日2回目の中間スプリントポイントへ。これが設定されたフィロットラーノは、昨年4月にトレーニング中の事故で死去したミケーレ・スカルポーニが生前住んだ街。そんなゆかりの地をトップ通過したのは、かつてのチームメートであるサンチェス。他の逃げメンバーは競うことはなく、サンチェスにトップを譲った。

勾配16%の急坂でマリアローザが躍動

 フィロットラーノの中間スプリントポイント直前の勾配16%区間で、先頭はサンチェス、デマルキ、マスナーダの3人に絞られ、逃げ切りの可能性に賭けて先を急いだ。

勝負どころに向けてポジション争いが激しくなるメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団では、トレック・セガフレードやロット・フィックスオールが主にペースを作り、逃げる3人に迫ってゆく。フィニッシュ前15kmを切ったあたりからは、急坂区間に少しでもよい位置でエースを送り込もうと、ポジション争いが激しくなる。そんな中で主導権を握りつつあったのがグルパマ・エフデジとロット・フィックスオール。マリアローザのイェーツも前方に顔を出し始め、前日大きく遅れたため総合争いからは脱落したエステバン・チャベス(コロンビア)がイェーツを引き上げる役割を担った。

石畳区間で仕掛けたゼネク・スティバル(右)とティム・ウェレンス Photo: Yuzuru SUNADA

 残り5kmの石畳区間に向けて、さながらスプリント直前の位置取り争いと化したメイン集団。粘り続けた逃げを上りの入口でキャッチすると、代わってトップに立ったのがゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)。これをティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・フィックスオール)が追い、そのまま2人が逃げの態勢となる。そのほか、集団から数人がアタックしたものの、これらはいずれも失敗に終わっている。

 直後の下りも攻めたスティバルとウェレンスだったが、約10秒のリードが精いっぱい。残り2kmを切ると、連日上りでイェーツを支えるジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が集団の牽引を開始。残り約1.5km地点の16%勾配に向かって、先頭を走る2人をいつでも捕まえられる態勢を整えた。

 そして、勝負を分ける瞬間が訪れた。16%勾配に入ると同時にイェーツが満を持して加速。直前に先頭でアタックしていたウェレンスを労せずパスすると、ステージ優勝をかけた独走態勢へ。唯一、イェーツのアタックに対応できたのはデュムランのみ。何とかその背中が見える位置で追い続け、残り1kmを切ってからの急坂では差を縮めてきた。

 だが、最後はイェーツが現時点での勢いを表すかのごとく、トップを守り切った。今大会2勝目となるステージ優勝は、勝負どころでライバルを圧倒してのものとなった。その2秒差でデュムランが2位、さらに3秒差でダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)が3位に続いた。

トップでフィニッシュへとやってきたサイモン・イェーツ Photo: Yuzuru SUNADA

イェーツvsデュムランの構図が顕著に

 ステージ優勝と合わせてマリアローザを堅守したイェーツは、リード拡大に成功。フィニッシュでのタイム差とボーナスタイムとを合わせて、2位のデュムランに対し総合タイム差47秒とした。

 さらに、個人総合3位以降の選手とは1分以上の開きとなり、総合タイム差だけで見れば、大会中盤にしてイェーツとデュムランの総合力が抜きんでている印象だ。

トップから40秒差でフィニッシュしたクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 また、この日はクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)がイェーツから40秒の遅れを喫し、総合トップ10圏外へとランクダウン。代わって、ステージ6位に入ったパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)と、同10位のファビオ・アル(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)が総合トップ10圏内に浮上している。

 17日に行われる第12ステージは、久々のスプリントステージ。オージモからイモラまでの214kmは、アドリア海沿いを進行し、モータースポーツでおなじみのイモラサーキットにフィニッシュする。

ダイジェスト動画(期間限定公開)

第11ステージ結果
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 3時間25分53秒
2 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +2秒
3 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +5秒
4 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)+8秒
5 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)
6 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
7 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)
8 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ) +11秒
9 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +18秒
10 ファビオ・アル(イタリア、UAEチーム・エミレーツ) +21秒

個人総合(マリアローザ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 47時間8分21秒
2 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +47秒
3 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +1分4秒
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分18秒
5 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +1分56秒
6 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +2分9秒
7 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +2分36秒
8 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +2分54秒
9 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +2分55秒
10 ファビオ・アル(イタリア、UAEチーム・エミレーツ) +3分10秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 178 pts
2 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 112 pts
3 ダヴィデ・バレリーニ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 87 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 58 pts
2 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 47 pts
3 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) 36 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 47時間10分17秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分21秒
3 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) +1分29秒

チーム総合
1 ミッチェルトン・スコット 141時間31分24秒
2 アスタナ プロチーム +4分13秒
3 チーム スカイ +5分9秒

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