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ジロ・デ・イタリア2018 第10ステージ【動画付き】終盤に抜け出した2人の勝負はモホリッチに軍配 総合争いでチャベスが脱落する波乱

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ジロ・デ・イタリアは第10ステージが5月14日に行われ、終盤にメイン集団からのアタックを成功させた2選手によるステージ優勝争いを、最後はマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)がマッチスプリントを制してジロ初勝利を挙げた。総合争いでは、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が途中ボーナスタイムを獲得するなどトップを守る一方、総合2位でスタートしたチームメートのエステバン・チャベス(コロンビア)が序盤からまさかの脱落。上位陣の順位に変動が起こっている。

ジロ・デ・イタリア第10ステージはマテイ・モホリッチが優勝。マッチスプリントを制した Photo: Yuzuru SUNADA

スタート直後の上りでチャベスが遅れる

 2度目の休息日を経て、実質の第2週初日となったこの日。当初239kmと発表されていたレース距離は、244kmに延長。いずれにせよ、今大会最長ステージであることには変わりない。ペンネをスタートしてグアルド・タディーノを目指すルートは、イタリア半島を縦貫するアペニン山脈の東側をなぞるようなイメージ。

 スタートしてすぐに2級山岳の上りが始まり、いったん下ったのち3級山岳へ。それからは細かなアップダウンこそあれど、難しい区間は少なめ。中級山岳ステージにカテゴライズされるが、展開次第ではスプリンターにもチャンスありとみられた。

レース序盤に遅れたエステバン・チャベス(先頭から5人目)。アシスト陣が懸命にメイン集団への引き上げを図る Photo: Yuzuru SUNADA

 だが、そんな予想は一瞬にして覆されることになる。個人総合2位でスタートしたチャベスが、最初の登坂である2級山岳で遅れたことで、レースは思いがけない方向へと展開する。

 集団は17人の逃げを容認したものの、チャベスが遅れたと知るや総合上位にエースを送り込んでいる数チームがアシストを出し合い、協調してプロトンのコントロールを開始した。ペースを上げて、チャベスが入る後続グループとのタイム差拡大を図る。

 あっという間に窮地に立たされたミッチェルトン・スコットは、マリアローザを着るイェーツのためにアシスト2人を残し、あとの人員はチャベスの引き上げのため後方へ。ポイント賞のマリアチクラミーノを着るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)を前に戻したいクイックステップフロアーズも協力して、メイン集団への復帰を目指した。

 だが、距離を追うごとにチャベスグループの消耗の色が濃くなってゆく。やがてグループの牽引はミッチェルトン・スコットだけとなり、アシスト陣に代わってチャベス自ら先頭に立って引くシーンも見られるようになる。当初1分台だったメイン集団とのタイム差は、フィニッシュまで残り100kmを前にして2分台へと広がっていった。

中間スプリントポイントで仕掛けたティボー・ピノ。2位通過でボーナスタイムを2秒獲得した Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団が先を急ぐ判断をしたこともあり、逃げグループは早い段階で吸収。そのまま154km地点に設けられた、この日2つ目の中間スプリントポイントへ。個人総合4位につけるティボー・ピノ(フランス)擁するグルパマ・エフデジがスピードを上げるが、ここはイェーツが対応。チャベスの復帰を待つため、しばし集団内で待機していたマリアローザだったが、ボーナスタイムがかかる局面ではしっかりとした走りを見せる。ピノとのスプリントを制してイェーツが1位通過し、3秒のボーナスタイムを獲得した。ピノも2位で2秒のボーナスタイムを獲得した。

 そして、ときをほぼ同じくして後方ではチャベスが追い上げを断念。この瞬間、総合争いから完全に脱落することが濃厚となった。

デュムランが落車も遅れは免れる

 中間スプリントでイェーツとピノが競った後ろで3位通過したマルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)だったが、そのままの勢いで逃げを試みる。メイン集団はこの動きを容認したため、その差はあっという間に広がっていった。

メイン集団から抜け出した3選手。左からマテイ・モホリッチ、ニコ・デンツ、ダヴィデ・ヴィレッラ Photo: Yuzuru SUNADA

 さらに、フィニッシュまで残り40kmになろうかというタイミングで、ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナ プロチーム)が集団からアタック。これに合わせた数人の中から、モホリッチがヴィレッラとともに追走グループを形成。約9km追い続け、トップを走っていたフラッポルティに合流した。

 この日最後のカテゴリー山岳である4級の上りが本格化すると、メイン集団も活性化。セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ)のアタックには、ニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール ラモンディアール)とアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシングチーム)が続く。

 4級山岳を1位通過したモホリッチは、ヴィレッラとともにダウンヒル区間へ。この頃にはフラッポルティは遅れ、代わって後方からデンツが単独で合流。しばらくは3人で進んだ先頭グループだったが、ヴィレッラが遅れ、モホリッチとデンツに絞られる。

下りでコースアウトしたトム・デュムランだったが、無事集団復帰を果たしている Photo: Yuzuru SUNADA

 かたやメイン集団では、総合上位陣にトラブルが次々と発生した。新人賞のマリアビアンカを着るリチャル・カラパス(コロンビア、モビスター チーム)が雨で濡れた路面にタイヤを取られ落車。さらには、総合3位につけるトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)もバイク操作を誤りコースアウトを喫した。幸い、両者とも大きなダメージはなく、すぐに戦線に復帰。集団がこの2人の復帰を待つためペースを緩めたこともあり、ともに遅れは免れている。

イェーツはリード拡大に成功

 激しい出入りのあったメイン集団だったが、総合上位陣を守る動きを優先したこともあり、モホリッチとデンツの逃げ切りが許容された。逃げる2人は後方と十分なタイム差をもって最終局面へと突入した。

 フィニッシュに近づくにつれ、モホリッチが先頭を引く時間が長くなる。デンツは後ろで仕掛けどころを探る。そしてマッチスプリント。先に加速したモホリッチに合わせるようにデンツもスピードを上げるが、横に並ぶのが精いっぱい。スピードを維持したモホリッチが、デンツに前を譲ることなくそのままフィニッシュラインを通過。この瞬間、ジロでは初勝利、グランツールでは昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ第7ステージに続く優勝を決めた。

ステージ優勝をかけたマッチスプリントはマテイ・モホリッチ(先頭)に軍配 Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団はモホリッチから34秒差でフィニッシュへ。サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が先着しステージ3位を確保している。

総合リード拡大に成功したサイモン・イェーツ Photo: Yuzuru SUNADA

 チャベスをのぞく総合上位陣はいずれもメイン集団でステージを終えている。思わぬレース展開にアシストが手薄な状態となったイェーツだったが、上手くまとめたばかりか、ボーナスタイムによって総合タイム差拡大に成功。総合2位に浮上したデュムランに対し41秒、同じく3位に上がったピノに46秒のリードとしている。

 なお、チャベスは25分25秒差のグルペットでステージを終了。チームを指揮するマット・ホワイト氏は、チャベスにアレルギー症状が出ていたことを示唆。今後のステージは、マリアローザを着るイェーツの総合成績に集中するとしている。

グルペットでフィニッシュへとやってきたエステバン・チャベス。アレルギーと見られる症状で戦線から離脱を余儀なくされた Photo: Yuzuru SUNADA

 16日に行われる第11ステージは、アッシジからオージモまでの156km。レース後半に山岳にカテゴライズされない勾配16%の上りがあるほか、フィニッシュ手前5km地点に16%の石畳の上り、そして残り1.5kmでも16%の急坂と、総合争いにも関係する可能性を秘める区間が多数。また、フィニッシュを目前にテクニカルなコーナーが連続するあたりも見逃せない。有力選手たちがこのステージをどう攻略するかが焦点となりそうだ。

ダイジェスト動画(期間限定公開)

第10ステージ結果
1 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) 6時間4分52秒
2 ニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +0秒
3 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) +34秒
4 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、ロットNL・ユンボ)
5 ダヴィデ・バレリーニ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
6 マス・ヴーツ・スミト(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)
7 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
8 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)
9 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)
10 ジョセ・ゴンサルベス(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン

個人総合(マリアローザ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 43時間42分38秒
2 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +41秒
3 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +46秒
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分0秒
5 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +1分23秒
6 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +1分36秒
7 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +2分8秒
8 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム)
9 マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +2分28秒
10 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +2分30秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 178 pts
2 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 112 pts
3 ダヴィデ・バレリーニ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 87 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 55 pts
2 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 47 pts
3 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) 36 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 43時間44分1秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分14秒
3 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) +1分16秒

チーム総合
1 ミッチェルトン・スコット 131時間11分59秒
2 アスタナ プロチーム +3分48秒
3 チーム スカイ +4分30秒

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