結果を出せるエアロオールラウンダーイタリアでみせたカウンターヴェイルの実力 ビアンキ「オルトレXR4」を実戦試乗

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 ビアンキのエアロロードバイク「オルトレ XR4」は振動除去素材「カウンターヴェイル」を用いたBianchi CVシステムを採用し、トータル性能を向上させたオールラウンダーだ。今年はロットNL・ユンボのエンリコ・バッタリーン(イタリア)がこのバイクを駆り、ジロ・デ・イタリアでステージ優勝を挙げている。プロレベルでも活躍するレーシングバイクを編集部が本場イタリアのグランフォンドで本気のインプレッション。日本では体験できない高いレベルでその性能を試した。

ビアンキ「オルトレ XR4」を本場イタリアのコースで実戦試乗した Photo: Kentaro SAWAMURA

グランツールで勝利を量産

ジロ・デ・イタリア2018 第5ステージを制したエンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNL・ユンボ) Photo: Yuzuru SUNADA

 オルトレ XR4は2016年に発表されたビアンキの自信作。現在、UCIワールドチームの「ロットNL・ユンボ」に主力バイクとして供給され、チームの好成績を支えている。2017年のツール・ド・フランスでは、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)が超級山岳を制して優勝、また、最終日のパリ・シャンゼリゼ通りの高速スプリントをディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)が勝利。ともに駆ったバイクはオルトレ XR4だ。コースを選ばないオールラウンドな性能を示した。今年のジロ・デ・イタリアでもバッタリーンがステージを制しているほか、トップ10に何度も入る活躍をみせている。

エアロロードでありながら、オールラウンドで性能を示す「オルトレ XR4」 Photo: Shusaku MATSUO
直線的で、パワーをダイレクトに推進力へと変換するチェーンステー、シートステーのデザインを採用 Photo: Shusaku MATSUO

 オルトレ XR4の速さにはカウンターヴェイルが大きく関わっている。高速で長い距離を走るうえで、ライダーは振動吸収性を見過ごせない。路面からの振動を除去する素材「カウンターヴェイル」を採用したオルトレ XR4は、路面からの突き上げや振動緩和するためフレーム形状を湾曲させる必要がなくなった。パワーをダイレクトに伝えるフレームデザインを採用していても、「カウンターヴェイル」そのものが振動を除去してくれるからだ。

1カ月の乗り込みで入賞も

 筆者はこのバイクを1カ月の間、国内で乗り込み、イタリアへと渡った。以前にも短期間に試乗インプレッションを行ったことがあり、その性能の高さに驚かされたが、長期の乗り込みとレースで真価を体感。参戦した、もてぎエンデューロの4時間ソロクラスではアベレージスピードを42.55km/hで走り切り3位入賞、JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)主催の東日本ロードクラシックE1カテゴリーでは、群馬サイクルスポーツセンターのワインディングロードを攻め5位入賞と好リザルトを残すことに成功した。

4000人超のライダーが一斉にスタートを切る ©Bianchi

 コンディションを整えて臨んだ「グランフォンド・フェリーチェ・ジモンディ」だが、簡単に走り切ることができないのは明白だ。欧州のグランフォンドは元プロ選手や地元の強豪クラブチームの選手たちがしのぎを削る正真正銘のレース。今回選択したカテゴリーは最長の162.1kmで、獲得標高が3000mを超える過酷なもの。急こう配の下りや、突然出没する路上の穴、石畳やラウンドアバウト(環状交差点)など、日本では見られないシチュエーションが次々に登場する。フィジカルだけでなく、バイクの性能が求められるのは明らかだ。

ビアンキを駆った名選手、フェリーチェ・ジモンディ(イタリア)の隣、最前列からスタートした ©Bianchi
フェリーチェ・ジモンディ(イタリア)もオルトレ XR4を愛用する ©Bianchi

 レース当日、筆者はスタートラインの最前列に立った。隣には3大ツールを制し、大会にも名を冠したフェリーチェ・ジモンディ氏が立つ。参加者たちはにぎやかに出発を待ったが、走り出すその時が迫るにしたがって緊張と集中力が高まっていくのが分かる。いざ、スタートが切られると先頭付近では激しい先頭争いが繰り広げられた。集団の時速は常に50km/hを超え、高い密集度でベルガモの街を抜けていく。

常に50km/h以上で進む先頭集団 ©Bianchi

下りの速さはトップクラス

石畳の路面でも安定した走行が可能だった Photo: Kentaro SAWAMURA

 集団内で番手を落としてしまうと、スピードの上下する幅が大きく体力を削られてしまう。よって、常に前方でレースを展開するため、何度も踏み直し走る場所をキープする必要があった。その速度とパワーに対応するためドロップハンドルポジションを多用したが、走行中にストレスを感じていないことに気が付いた。通常なら体へとかかる負担は上ハンドル部を持つより格段に増すはずだが、カウンターヴェイルの働きにより振動の“角”がなくなり、「ずっと下ハンドルを持っていたい」とバイクが思わせた。結果的に頭を低く保ち続け、エアロ効果の高いポジションで走り続けたと同時に、精神的な余裕へと繋がったため、前方で発生した集団落車を回避したり、肩と肩がぶつかる狭い感覚でもコントロールが容易だった。

トップチューブに重要な上りや補給所が記載されたステッカーを張る Photo: Shusaku MATSUO
体を深く伏せた高速ダウンヒルでも安定感は抜群だ Photo: Kentaro SAWAMURA
ダイナミックなスケールの山々を駆け、獲得標高は3000mを超える ©Bianchi

 街を抜けると山岳区間へと突入する。計6つある峠の2つ目上り口まで先頭集団内で展開できたが、急こう配区間で脱落。セルビーノ峠は第2集団でクリアした。勝負には加われないが、なるべく上位を目指すため、上りではなるべく脚を使わない走りへと切り替えた。オルトレ XR4はダイレクトにパワーを伝えるシートステー、チェーンステーの形状、また剛性を有している。高速のスプリントではもちろん、最小限にパワーを抑えたい場合でも効果を発揮した。

 驚いたのは下りの性能だ。とにかく速い。交通整理されたコースではコーナリングラインを自由に取れるため、峠の下りでは必然的にスピードが上がる。路面環境が良くなったり、悪くなったり忙しなく状況が変わるが、80km/hに迫るコーナリングでも車体は常に安定。決して路面とタイヤからのインフォメーションをスポイルしないため、「ここまでは攻められる、これ以上は無理」とコーナーごとに余裕をもって選択できる。これまで様々なバイクを試してきたが、下りの速さはその中でもトップクラスだ。

フレームが振動を除去し、確実な路面フィーリングをライダーへと伝えるため思い切ったコーナリングが可能 Photo: Kentaro SAWAMURA

 130km地点付近まで第2、第3集団で過ごすも、最後に迎えた1000m級の峠で大きく遅れてのフィニッシュとなった。最長カテゴリーに挑んだ858人中104位の成績でレースを終えた。終盤は水分とエネルギー不足で苦労したが、落車することなくベルガモの街へと戻った。

激しいゴールスプリントを繰り広げる上位選手たち ©Bianchi
上りでも“かかり”が良く、狙った速度域まで一気に加速する Photo: Kentaro SAWAMURA
優れたエアロ効果と振動吸収性は確実にアドバンテージになった ©Bianchi

 160km超を高い負荷で走り切ったが、レース後に肉体的な疲労が少ないことに気が付いた。決して良いとは言えない路面を長時間走行したのに手の平、首や背中に痺れや痛みはない。これは筆者だけでなく、同じバイクに乗って同カテゴリーを走った日本人参加者も異口同音だった。ロットNL・ユンボの選手たちもステージレースを走る際、他のバイクに比べ、疲労を感じにくくなっているという。

 長期間に渡り体感したオルトレ XR4の性能は間違いのないものだった。本場イタリアの厳しいコースで磨かれた走りは、レースで確実な結果へと導いてくれた。日本でも長距離でアップダウンを繰り返す公道を使用したレース「ツール・ド・おきなわ」などには抜群の相性だろう。パフォーマンスを求めるレーサーであれば選択しない理由はない1台だ。

ビアンキ「オルトレ XR4」(フレームセット)
税抜価格:410,000円(カラーオーダーのタヴォロッツァは別途38,000円)
サイズ:47/50/53/55/57/59/61

松尾修作
松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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