Jプロツアー第8戦増田成幸が宇都宮ロードレースを独走で勝利 ブリッツェンが地元2連戦を連勝

by 小森信道 / Nobumichi KOMORI
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 日本最高峰のロードレースツアー「Jプロツアー」の第8戦、「宇都宮ロードレース」が5月13日に栃木県宇都宮市の鶴カントリー倶楽部周辺に設定された1周6.7kmの周回コースで開催され、最終周の残り約3kmで集団から単独で抜け出した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が独走勝利。前日の第7戦「宇都宮クリテリウム」に続いての勝利で、宇都宮ブリッツェンがホームレースで連勝を飾った。

残り約3kmを逃げ切った増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が独走で自身1年8カ月ぶりとなる優勝を飾った Photo: Nobumichi KOMORI
昨年からコースが若干変更され、ジャパンカップと同じスタート・フィニッシュ地点となった Photo: Nobumichi KOMORI

 Jプロツアー宇都宮2連戦の2日目となる宇都宮ロードレースは、初開催となった昨年に続き2回目の開催。昨年は2014年までのジャパンカップサイクルロードレースで使用されていた萩の道から射撃場、鶴カントリー倶楽部までをなぞるような形での開催となったが、今年はスタートとフィニッシュがジャパンカップと同じ場所になり、さらに周回がジャパンカップと逆の右回りへとコースが変更されての開催となった。そのため、昨年は鶴カントリー倶楽部の長く険しい上りというはっきりした勝負どころがあったものの、逆回りとなった今年は誰の目にも明らかな勝負どころが見当たらないレイアウトだ。

会場では定番商品の宇都宮餃子をはじめさまざまな飲食物が販売された Photo: Nobumichi KOMORI
レース前には弱虫ペダル作者の渡辺航先生と栗村修さんのスペシャルトークショーも行われた Photo: Nobumichi KOMORI

 とはいえ、スタート・フィニッシュ地点を過ぎて180度コーナーをクリアしてすぐに訪れる逆方向の鶴カントリー倶楽部の上りや、萩の道を下って右コーナーを曲がるとすぐにある上り返しなど、踏みどころが随所にちりばめられていて、集団後方にいると一気に脚を削られるコースと言える。

ルビーレッドジャージの窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)とピュアホワイトジャージの小山智也(イナーメ信濃山形)を先頭に選手たちがスタートラインに整列 Photo: Nobumichi KOMORI
レース序盤から積極的な動きを見せた松田祥位(エカーズ) Photo: Nobumichi KOMORI

 ローリングスタートで幕を開けた14周回のレースは、ニュートラル区間を過ぎてリアルスタートが切られると、いきなりのアタック合戦に。大場政登志(弱虫ペダルサイクリングチーム)や松田祥位(EQADS)らが積極的にアタックを仕掛けていくが、集団もすかさず反応する。すると今度は雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)、安原大貴(マトリックスパワータグ)、木村圭佑(シマノレーシング)、堀孝明(チームブリヂストンサイクリング)、西尾勇人(那須ブラーゼン)の5人が集団から抜け出すも、この動きも集団によって吸収されてしまう。その後もアタックの応酬が続くが、決定的な逃げができないままレースは進んでいった。

鶴カントリー倶楽部のテクニカルな下りでタテに伸びた集団が平坦区間へと向かう Photo: Nobumichi KOMORI
タテに伸びた集団が田園風景の平坦区間を進む Photo: Nobumichi KOMORI
鈴木譲(左、宇都宮ブリッツェン)と安原大貴(マトリックスパワータグ)、2人の逃げがメイン集団とのタイム差を広げていく Photo: Nobumichi KOMORI

 レースも中盤戦に差し掛かろうかという5周目になると、萩の道で鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)と安原の2人が集団から抜け出し、そのまま15秒程度のタイム差をつけて逃げる展開に。7周目を終える段階までに40秒程度にまでその差を広げる状況となった。一方のメイン集団は、逃げに選手を送り込んでいないシマノレーシングがコントロールを開始。さらに、同じく逃げに選手を送り込んでいないチームブリヂストンサイクリングもコントロールに加わり、逃げる2人とのタイム差を縮めていく展開となった。

シマノレーシングとチームブリヂストンサイクリングがコントロールするメイン集団がペースを上げ始める Photo: Nobumichi KOMORI

 シマノレーシングとチームブリヂストンサイクリングがコントロールするメイン集団は、11周目に逃げ続けていた2人の選手を吸収し、レースは終盤を前に振り出しに。集団では再びアタック合戦が繰り広げられるようになり、数人の選手が抜け出しては吸収される状況が続く。活性化した集団はペースの上下も激しくなり、人数が少しずつ削られていくサバイバルレースに様相を呈していった。

 11周目終盤になると、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)、湊諒(シマノレーシング)の4人が集団から先行、そこに後方から次々に選手がブリッジをかけて合流し、最終的に11人の先頭集団が形成される展開になった。

萩の道の下りからの90度コーナーは雨の影響でスリッピーな状況になった Photo: Nobumichi KOMORI

 宇都宮ブリッツェンからは増田、雨澤、岡、小野寺玲の4人、マトリックスパワータグが佐野、フェルナンデス、土井雪広の3人、シマノレーシングは入部正太朗と黒枝咲哉、キナンサイクリングチームは山本元喜と新城雄大の2人と、有力チーム勢の多くが複数選手を送り込んだのに対し、ルビーレッドジャージを着る窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)は後方の追走集団に取り残されてしまう苦しい状況となった。

佐野淳哉、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)、湊諒(シマノレーシング)、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)の4選手が集団から先行する Photo: Nobumichi KOMORI
13人ほどに絞られたメイン集団がスタート・フィニッシュ地点に向かう Photo: Nobumichi KOMORI
ルビーレッドジャージの窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)は追走集団に取り残され苦しい状況に追い込まれる Photo: Nobumichi KOMORI

 その後、先頭集団からは黒枝が遅れて10人となり、レースはついに最終周へ。すると、最終周に入ってすぐの鶴カントリー倶楽部の上りで入部が渾身のアタックをかける。すかさず岡が反応して2人が先行するが、下りを終えた平坦区間で集団に吸収される。

 再びアタック合戦になると、一瞬の隙を突いて今度は土井がタイミング良くアタックを仕掛けて抜け出す。この動きに反応した増田が、レース後に「120%の力で踏み抜いた」と語った通りの加速で土井に合流すると、その勢いのまま土井をかわして単独で先行する展開に。結局、増田はその後の残り3kmを独走で逃げ切り、2016年11月のツール・ド・おきなわ以来となる優勝を飾った。また、その後方の集団スプリントではチームメートの岡がきっちりと先頭を取って2位でフィニッシュ。宇都宮ブリッツェンが前日の宇都宮クリテリウムに続いての勝利を、ワン・ツーフィニッシュという絶好の形で締めくくった。

10人の先頭集団が最終周に入る Photo: Nobumichi KOMORI
共に先頭集団に残ってレースを進めたチームメートと増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が勝利の喜びを分かち合う Photo: Nobumichi KOMORI

 優勝した増田は、昨年3月の同レースの際から甲状腺疾患のバセドー病の症状が出始め、その後は治療を優先させて昨シーズンはレースをほとんど走れない状態が続いていた。今シーズンに入ってからも甲状腺ホルモンの数値が乱高下する時期があったが、ここにきて少しずつコンディションが向上してきているという。その増田はレース後、「今日の勝利で新たなスタートラインに立てた気分にはなりましたが、それ以上にチームがいい雰囲気、いい強さ、いいモチベーションでここまできているのが勝利を重ねている要因。今日の勝利もチームメートに勝たせてもらったようなものです」と自身が不調の時から支えてくれたチームメートへの感謝を口にした。

宇都宮ブリッツェンがホームレースで見事にワン・ツーフィニッシュを達成した Photo: Nobumichi KOMORI
岡篤志(左)がルビーレッドジャージを奪還、小山智也(右)はピュアホワイトジャージ をキープした Photo: Nobumichi KOMORI

 チームの地元で開催されたホームレース2連戦で連勝と最高の結果を手にした宇都宮ブリッツェンの清水裕輔監督は「地元2連戦で連勝というのはこの後もあるかどうか分からないほどの快挙。こんなに最高な2日間はないなという気持ちですし、この後に控えるツアー・オブ・ジャパンや全日本選手権という重要レースに向けて、いい弾みがついたと思います」と喜びを口にした。

 また、この日の結果で、ツアーリーダーの証であるルビーレッドジャージは岡が奪還。23歳未満のランキングトップの選手が着用するピュアホワイトジャージは小山智也(イナーメ信濃山形)が守っている。

 次戦は6月9日に「那須塩原クリテリウム」が、栃木県那須塩原市で開催される。

宇都宮ロードレース」リザルト
1 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 2時間19分54秒
2 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +15秒
3 入部正太朗(シマノレーシング) +17秒
4 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
5 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +19秒
6 雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン) +21秒

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