ジロ・デ・イタリア2018 第9ステージ標高2135mの決戦をサイモン・イェーツが制す フルームは失速し総合11位に転落

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ジロ・デ・イタリアは5月13日、第9ステージがペスコ・サンニータからグランサッソ・ディタリア(カンポ・インペラトーレ)までの225kmで争われ、マリアローザを着るサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)は総合上位勢によるスプリント勝負を制し、今大会初勝利を飾った。総合2位のトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)は12秒遅れのステージ8位となり、イェーツとの差は38秒に拡大した。クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)は終盤の上りで先頭集団から脱落し、1分7秒遅れのステージ23位に沈んだ。

マリアローザのサイモン・イェーツが難関ステージで勝利。総合リードを拡大した Photo : Yuzuru SUNADA

14人の強力な逃げ集団が形成

 今年のジロ・デ・イタリアの最終目的地であるローマから見て東側に位置するアペニン山脈にて第9ステージは開催された。

 アペニン山脈の最大の山塊であるグランサッソ・ディタリアがフィニッシュ地点となっており、終盤は2級山岳カラーショ、1級山岳カンポ・インペラトーレの上りが連続して登場。ラスト4.5km区間は平均勾配8.2%・最大勾配13%となっており、フィニッシュ地点の標高は2135mに達する。220km以上走行した選手たちにこの日一番厳しい上りが襲いかかる難関コースとなっていた。

 この日の逃げは14人。ミカエル・シュレル(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ダヴィデ・バレリーニ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)、ファウスト・マスナーダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)、マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・フィックスオール)、ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、ディメンションデータ)、ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード)といった強力メンバーを含んでいた。

逃げ集団に乗ったティム・ウェレンス Photo : Yuzuru SUNADA

 リーダーチームであるミッチェルトン・スコットがコントロールするメイン集団とのタイム差は8分程度を保ったままレースは進行し、6分40秒遅れの総合32位につけているブランビッラがバーチャルリーダーとなっていた。

 108km地点の2級山岳はマスナーダが先頭通過を狙ったものの、チェーンが滑落して失速。チームメイトのバレリーニがマスナーダを押して、マスナーダが先頭通過を果たしたため、後ほどコミッセールがマスナーダを降格とし、2位通過のベルハネが1位通過のポイントを与えられることとなった。

逃げの協調が崩れてマスナーダが独走

 2級山岳カラーショの上りに入ると、ミッチェルトン・スコットに代わりアスタナ プロチームがメイン集団の先頭に出てペースアップを図った。逃げ集団とのタイム差は徐々に縮小し、山頂でのタイム差は4分程度まで縮まっていた。

チームメイトに守られながら集団内を走行するティボー・ピノ Photo : Yuzuru SUNADA

 この2級山岳はマスナーダが先頭通過。すると、逃げ切りを目指してチーム同士の思惑が重なり、協調体制が崩壊。

 逃げ集団からアタックを仕掛ける選手が現れ、シュレル、マスナーダ、ボアーロ、ヴィスコンティ、カーシー、ブランビッラの6人が抜け出す格好となった。

 再びペースを取り戻した先頭の6人は、後方のメイン集団とのタイム差を3分30秒程度で維持したまま、最後の1級山岳のふもとに到達した。

 フィニッシュまで残り20kmを切ったところで、アスタナに代わってミッチェルトンスコットが再び先頭でコントロールを開始した。ロマン・クロイツィゲル(チェコ)のけん引により、逃げとのタイム差は3分を切ってきた。

 先頭の逃げ集団では、唯一複数人を残したバーレーン・メリダのヴィスコンティがローテーションに加わらない状況を嫌って、マスナーダがアタックをして独走に持ち込んだ。

 残された5人からは、ヴィスコンティのチームメイトであるボアーロが飛び出して先頭のマスナーダを追い始めた。シュレル、カーシー、ブランビッラは協調するものの、前を引かないヴィスコンティがいるため追走のペースは上がらなかった。

アペニン山脈の雄大な景色のなかを独走するファウスト・マスナーダ Photo : Yuzuru SUNADA

 ラスト12kmで、マスナーダは追走のボアーロとは25秒、ヴィスコンティグループとは40秒、マリアローザのいるメイン集団とは2分30秒ほどのタイム差で独走を続けていた。

 ヴィスコンティグループからはカーシーが単独で抜け出して、追走のボアーロを一気に抜き去った。しかし、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)がけん引するメイン集団による追い上げが厳しく、ヴィスコンティ、ボアーロ、カーシー共々メイン集団に吸収され、残り4kmを切ったところで逃げメンバーはマスナーダただ一人となった。

イェーツがスプリントを制し、総合リード拡大

 勾配が厳しい上り区間に突入すると、それまで快調に走っていたマスナーダは蛇行しながら失速してしまう。残り2.7km地点でマスナーダがメイン集団に吸収されたタイミングで、ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF)がカウンターアタックを仕掛けた。集団から数秒のリードを築いたものの、ヘイグがけん引するメイン集団を突き放すには至らない。

 だが、ここで集団最後方を走っていたフルームが遅れてしまう。セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ)がすぐにフルームのサポートに回ったが、遅れを挽回することはできなかった。

前日の落車の影響か、不調なのか、力なく失速したクリストファー・フルームは苦悶の表情を浮かべながらフィニッシュ Photo : Yuzuru SUNADA

 先頭を走っていたチッコーネが吸収されると、ラスト1.5kmで今度はティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)がアタックを仕掛けた。ピノのアタックは不発に終わったものの、続いてチッコーネやドメニモ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)が断続的にアタックを試みる。

 ポッツォヴィーヴォのアタックは強烈で、この動きについていけたのはピノ、イェーツ、エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)、リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)のみ。昨年大会王者のデュムランは遅れをとってしまった。

サイモン・イェーツは後ろを振り返り、ティボー・ピノとの差を確認 Photo : Yuzuru SUNADA

 ポッツォヴィーヴォが先頭を走りつづけていたが、ラスト200mの最終コーナーでイェーツが加速。外側からポッツォヴィーヴォを抜き去った。

 渾身のアタックを決めたイェーツは、食らいつくピノを振り切って先頭でフィニッシュ。今大会初勝利を飾り、マリアローザを着用したまま総合リードを拡大することに成功した。

 デュムランは12秒遅れのステージ8位となり、ステージ3位に入ったチャベスと入れ替わって総合3位に後退した。フルームは1分7秒遅れのステージ23位となり、総合では2分27秒遅れの11位と、トップ10圏外に転落。総合成績が大きく変動する結果となった。

トム・デュムランはやや遅れを喫してしまった Photo : Yuzuru SUNADA

 レース後のイェーツは「この勝利は、2日間に渡っていつも集団の先頭で素晴らしい仕事をしたチームメイトたちのものだよ。今日のレーススタート前から、逃げ集団とのタイム差を抑えることができれば、ステージ勝利を狙えるかもしれないと考えていた。アスタナが同じようにステージ勝利に興味を示してくれたことで(逃げ集団とのタイムが縮まり)、勝てるかもしれないと思った」と振り返っていた。

ステージ3位に入り、総合2位に浮上したエステバン・チャベス Photo : Yuzuru SUNADA

 チームとしてもチャベスが勝利した第6ステージに続く2勝目となり、ステージ3位に入ったチャベスは総合2位に浮上してワン・ツー体勢を築き上げた。

 大本命と目されていたデュムランが遅れ、フルームが失速し、ダークホースともいえるイェーツがマリアローザを着用したまま、勝負の場は第2週以降へと移る。

 休息日を挟んだ5月15日の第10ステージは、全長239kmは今大会最長で終始細かいアップダウンが続くタフなステージとなっている。集団スプリントの展開が予想されるが、逃げ切りのチャンスも十分あり得るステージとなるだろう。

ダイジェスト動画(期間限定公開)

第9ステージ結果
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 5時間54分13秒
2 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)
3 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +4秒
5 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)
6 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +10秒
7 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +12秒
8 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)
9 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)
10 ジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF) +24秒

個人総合(マリアローザ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 37時間37分15秒
2 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) +32秒
3 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +38秒
4 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +45秒
5 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +57秒
6 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) +1分20秒
7 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +1分33秒
8 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +2分5秒
9 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム)
10 マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +2分25秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 178 pts
2 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 100 pts
3 サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) 73 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 55 pts
2 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 47 pts
3 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) 36 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 37時間38分35秒
2 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム) +1分14秒
3 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) +1分16秒

チーム総合
1 ミッチェルトン・スコット 112時間55分41秒
2 アスタナ プロチーム +3分48秒
3 チーム スカイ +4分30秒

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