ジロ・デ・イタリア2018 第6ステージエトナ山頂決戦はミッチェルトンがワン・ツー チャベス優勝、2位のイェーツが総合首位に

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 イタリアで開催中のジロ・デ・イタリアは5月10日、第6ステージがカルタニセッタからエトナまでの164kmで行われ、エトナ火山の山頂ゴールをエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)が制して優勝した。同タイムでゴールしたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が総合首位のマリアローザを奪取した。

エトナ山頂決戦は、エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)が優勝。チームメートのサイモン・イェーツとワン・ツーフィニッシュを決めた Photo: Yuzuru SUNADA

今大会最初の上級山岳ステージ

 3日間続いたシチリア島での最終ステージは、今大会初の上級山岳が、しかも山頂フィニッシュで設けられた。ヨーロッパ最大の活火山であるエトナ火山へのラストの上りは、初めて採用されるオッゼルヴァトリオ・アストロフィジーコの登山ルート。距離15kmで獲得標高978m、勾配が平均6.5%・最大15%という難関だ。

 レース序盤は、逃げてステージ優勝を狙いたいチームと、総合争いのアシストとして逃げに選手を送り込みたいチームとの思惑が入り乱れた。延々とアタック合戦が続くが、なかなか逃げが決まらない状況が1時間ほど続いた。

28人の逃げにチャベス

 スタートしてから約50kmで、ようやく28人の逃げが形成された。全22チーム中、17チームが選手を送り込み、なかでも3人が入ったUAEチーム・エミレーツは、昨年のエトナステージで逃げ切り優勝したヤン・ポランツェ(スロベニア)、ジロ通算6勝を誇るディエゴ・ウリッシ(イタリア)が逃げに入った。コロンビアチャンピオンのジャージを着る、上りに強いセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ)の姿も。

約50kmの激しい攻防の末に、ようやく逃げが決まった。先頭はベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエル サイクリングアカデミー) Photo: Yuzuru SUNADA

 総合有力勢では2016年にジロ総合2位で、今大会でも総合11位と上位につけるチャベスが逃げに加わった。上りに強くグランツール総合でも実績のあるチャベス。これを大きく逃がすのは危険とあって、メイン集団も逃げに大きなタイム差は与えず、3分前後の差でコントロールされた。

 メイン集団のコントロールを担うのは、個人総合首位のローハン・デニス(オーストラリア)を擁するBMCレーシングチーム。ここに中盤はバーレーン・メリダ、後半になるとアスタナ プロチームといった、総合有力勢を抱えるチームがけん引に加わった。

雄大なシチリアの風景を走る集団 Photo: Yuzuru SUNADA

急勾配区間でチャベスが単独先頭に

 逃げが決まってからのレースは淡々と進み、先頭28人は変わらないまま、いよいよエトナ火山への上り口へと差し掛かった。逃げの先頭は、チャベスのチームメートのジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が献身的に引き続けてペースを保つ。メイン集団は集団先頭をアスタナ勢が占め、タイム差を1分半まで縮めてきた。

 残り15kmを切って本格的な上りに入ると、先頭ではロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNL・ユンボ)のアタックで、本格的な戦いがスタートした。急勾配でアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシングチーム)が抜け出すと、これを追走した選手により、先頭は9人に絞られた。

 このなかではジューリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニ・CSF)が積極的にアタックを繰り出す。エナオ、チャベスは冷静に反応して攻撃する様子は見せなかったが、残り5km手前、再び急勾配区間に入ると、ついにチャベスが自らアタック。先行するチッコーネを抜き去り、単独先頭に立ちゴールを目指した。

終盤の上りで単独先頭に立ったエステバン・チャベス Photo: Yuzuru SUNADA

後続もアタック合戦に

 メイン集団ではルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム)が長く先頭に立ち、強力な引きで先頭とのタイム差は1分を切ってきた。アスタナのアシスト2人の後ろには、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が陣取るが、表情からは余裕が見られない。

メイン集団先頭を引くアスタナ勢の後ろに陣取るクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 急勾配区間に入り、メイン集団ではアスタナのエース、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)がアタックを仕掛けた。有力勢では総合2位のトム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)、同7位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)らがすぐに反応するが、フルーム、ファビオ・アル(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)は若干遅れ気味になる。マリアローザのデニスも苦しい状況だ。

 ここからは断続的に、ロペスのほかポッツォヴィーヴォ、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ)らがアタックし、他の選手が反応して追いつく展開が続いた。フルーム、アルは苦しいながらも何とか食い下がる。一方でデニスは完全に遅れてしまい、この日でマリアローザに別れを告げることとなった。

イェーツが爆発的なアタック

 先頭のチャベスは苦しい表情ながら、高回転のペダリングで単独先頭を逃げ続ける。ラスト2kmでメイン集団との差は23秒と、微妙ながらも逃げ切りが見えてきた。

 一方のメイン集団では、チームメートが先行していたことで力を溜めていたイェーツが、ライバルたちが消耗してきた様子を見て、残り1.5kmから鋭いアタックを仕掛けた。名だたる有力勢が全く反応できない圧倒的なスピードで飛び出すと、残り500mで先頭のチャベスと合流。そのままミッチェルトン・スコットの2人でゴールを目指した。

ワン・ツーフィニッシュを決めたチャベス(左)とイェーツが健闘を称え合う Photo: Yuzuru SUNADA
メイン集団最後尾でゴールしたファビオ・アルとクリストファー・フルーム Photo: Yuzuru SUNADA

 ゴールでは長く逃げてきたチャベスが先頭で入り、ステージ優勝。同時に山岳賞ジャージを獲得した。2位のイェーツは総合首位のマリアローザを奪取。ミッチェルトン・スコット2人のリーダーが、逃げとメイン集団に分かれて最後は合流するという、完璧なレースを見せた一日となった。

 メイン集団はティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ)を先頭に26秒差でゴール。総合有力勢とみられる選手はほぼ同じグループで入ったが、アル、フルームは最後尾で苦しい表情で終え、今後の山岳での戦いに不安を残した。

マリアローザに袖を通したサイモン・イェーツ(中央)と山岳賞ジャージのエステバン・チャベス Photo: Yuzuru SUNADA

ダイジェスト動画(期間限定公開)

第6ステージ結果
1 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 4時間16分11秒
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)
3 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +26秒
4 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ)
5 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)
6 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ プロチーム)
7 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム)
8 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)
9 ファビオ・アル(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)
10 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)

個人総合(マリアローザ)
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 22時間46分3秒
2 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +16秒
3 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) +26秒
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) +43秒
5 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) +45秒
6 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +53秒
7 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +1分3秒
8 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +1分10秒
9 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ) +1分11秒
10 ファビオ・アル(イタリア、UAEチーム・エミレーツ) +1分12秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 131 pts
2 サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) 55 pts
3 ヤクブ・マレツェコ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) 53 pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 35 pts
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 18 pts
3 ティボー・ピノ(フランス、グルパマ・エフデジ) 12 pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター チーム) 22時間47分26秒
2 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ) +16秒
3 サム・オーメン(オランダ、チーム サンウェブ) +19秒

チーム総合
1 ミッチェルトン・スコット 68時間20分33秒
2 チーム スカイ +2分6秒
3 モビスター チーム

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