編集部コラム【先頭交代】<1>道幅で変わるスピード感に要注意 サーキットレースに出場して見えた上手な走り方

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 Cyclist編集部員がリレー形式で担当するコラム『先頭交代』を始めます。イベントの参加レポートや流行の話題について、本格的にレースに出場する本格派から、緩くマウンテンバイクに乗るメンバーまで、それぞれの目線で書いていきます。第1回目は編集部・松尾修作が初めてサーキットのエンデューロレースに参加した模様をお届けします。サーキットレースならではのメリットや走行上の注意点をまとめました。

道幅が広いサーキットでは、さまざまなレベルの参加者がひしめき合う Photo: Satoshi MURATA

 ロードレース歴13年の筆者は数々のレースに参加してきました。国内では群馬、修善寺のサイクルスポーツセンターといった自転車用コース、JBCFが主催する公道レースや、公演を使ったクリテリウムなど、さまざまなレースの経験をしてきました。しかし、招待選手としてコース管理はしたことはありましたが、自らサーキットでのエンデューロレースに参加した経験はありませんでした。今回は4月22日に開催された「第6回もてぎ7時間エンデューロ 春」の「4時間エンデューロ/ソロ」に参戦し、初のサーキットを楽しんできました。

一緒に参加した仲間にゼッケンを取り付けてもらう筆者 Photo: Satoshi MURATA

 「ツインリンクもてぎ」は主に車やオートバイのレースが開催されている国際サーキットです。世界最高峰のオートバイレース「MotoGP」も毎年行われており、何万人もの観客が訪れます。筆者も毎回楽しみに足を運んでいました。サーキットの整備された路面は自転車のレースに最適ですし、広々としたパドックは仲間とチームで参加する人にとってはありがたいもの。自転車のイベントでメインコースを貸し切れることは、実はとても贅沢なことなのです。仲間とチームで参加すると、毎周回応援できるのも楽しみの一つですね。子供が「パパ頑張ってー!」と大きな声援を送る微笑ましい光景にも出会いました。

 レースの時刻が迫るスタート10分前には、4時間、7時間種目に参加する選手たちが何百人とコースで待機しています。ロードバイクのみならず、クロスバイクやマウンテンバイク、ママチャリに至るまでぎっしりと並んだ参加者たちの光景は圧巻です。ビギナーから上級者まで参加できる、多種多様な種目が用意されているのもこのイベントの特徴です。ピットエリアでは交代を待つチームや参加者からの応援の声が止みません。

各グループの先頭では、招待選手がハイスピードで先頭を引き、集団を縦に伸ばす Photo: Satoshi MURATA

 レースがスタートすると、各クラスの先頭にはJプロツアーで活躍する宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼン、マトリックスパワータグ、ホンダ栃木の招待選手がペースを作ります。これがなかなかの速さ。向かい風でも直線で50km/h、下りでも踏み止めない勢いはさすが国内最高峰の選手たち。同じ集団の参加者たちはどんどんと脱落していきます。

 この日はとても暑く、気温は30℃に迫りました。ボトルを3本持参した筆者ですが、3時間を過ぎるともうカラカラ。途中でチームメートからボトルを受け取り、軽度の脱水状態でとどまりながら、残り30分を堪えました。しかし、ラスト1周で体の力が抜け、「あ、ハンガーノックだ」と気が付いた時にはすでに遅し。何とか最後の1周を走り切り、511人中3位の成績で入賞しました。表彰台に乗れたのは嬉しいですね!

ハンドサイクル部門も Photo: Satoshi MURATA
お揃いのジャージでレースに臨む参加者たち Photo: Satoshi MURATA

 初めてサーキットエンデューロレースに出場してみて、いろいろと気が付いたことがありました。サーキットという特異な場所だからこそ起きるだろう問題です。サーキットは比較的道幅が広く、路面が整っており、周りに木や建造物などが全くないため、相対的にスピードが出てるように感じません。下りで斜度がある場所では、集団内で簡単に60km/hを超えてしまいます。この速度域のバイクコントロールは難しいですよね。思わずラインが膨らんでしまう参加者も見受けられました。

延々とペダルを回すのに伴い、エネルギーと水分を奪われていく Photo: Satoshi MURATA

 また、道幅が広いためラインを無数に作れてしまいます。『遅い人はキープレフト、抜く人は右側から』というルールはあるものの、開放的なサーキットでは無意識のうちに自由なラインで走りがちです。コーナーでラインが交差し、ヒヤッとする場面にも遭遇しました。

抜かす場合は右から、抜かれる側はキープレフトが基本となる Photo: Satoshi MURATA

 これらを回避するのが招待選手の役目。序盤から速いペースでラップを刻み、集団の人数を減らすことで事故のリスクを軽減しています。また、速度を上げ、集団を一列棒状にすることで、コーナーや追い抜き時にラインが交差するのを避けていました。実際、筆者がいた集団前方で落車事故はゼロでした。国内最高峰の選手たちはフォームが崩れることなく、仕事を全う。さすがです。普段走れないトップ選手たちと同じ集団で走れることも、イベントの魅力の一つでしょう。

ラスト1周でエネルギー切れ状態になるも完走を果たし、3位入賞を果たした Photo: Satoshi MURATA

 4時間で173kmも走ることができたこともサーキットレースの特徴です。もちろん信号はなく、コーナーでもほとんど脚を止めることはありません。長丁場のため、レースの強度にアップダウンは少ないですが、ずっとペダリングし続けているので運動量はかなりのものです。それに伴い発汗もしますし、エネルギーも多く消費するため、水分とカロリー補給は欠かせません。実は休む暇がないエンデューロでは、自らタイミングを作ることも重要だと感じました。チーム種目で参加する場合は、積極的にピットに寄って休憩、補給をする必要があるでしょう。

 今回参加した大会では速度制限を徹底したピットレーンや、ソロの参加者専用のピットエリアの用意、コースを管理するオートバイ隊などが先導するなど安全対策も整っていました。一方で、コース上では落車がいくつも発生したのも事実です。ドクターヘリが出動する大きな事故も発生してしまいました。

男女混合チームのカテゴリーもあり、走る割合を計算しつつ、盛り上がりながらレースを楽しんでいた Photo: Satoshi MURATA

 いくつも落車の原因はあるかと思いますが、イベントやコースの特性、また自らの技量をあらかじめ知ることでリスクを減らせるのは間違いないでしょう。ツインリンクもてぎを例に挙げましたが、サーキットレースだけでなく、多くのレースに当てはまるとことだと思います。幅広い層のサイクリストが参加できる素晴らしいイベントなので、安全第一で楽しんでいきたいですね。

松尾修作松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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