サイクリスト

御神火ライド2018

継承した伝統の職人技を日本へイタリアの工房をオンラインでつなぐ ドリアーノ・デローザが手掛ける「ビクシス」のオーダーに密着

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
  • 一覧

 イタリアに工房を構えるBIXXIS(ビクシス)は、フレーム職人のドリアーノ・デローザ氏自らが腕を振るい、一台一台丹精込めて製作する数少ないハンドメイドフレームメーカーだ。日本からでも東京・元浅草のショールーム「“ラ・メッカ”punto espositivo BIXXIS」で、イタリア語の通訳を通じ、ドリアーノ氏へ直接要望を伝えることができる。実際に同社のチタンフレーム「パトス」をオーダーする模様に密着した。

イタリアの職人、ドリアーノ・デローザとリアルタイムでコミュニケーションを重ねてオーダーする「ビクシス」 Photo: Shusaku MATSUO

40年以上のキャリア“伝説的”フレーム職人

東京・元浅草にあるショールーム「ラ・メッカ」には展示車やサンプルパイプ、アクセサリーが並ぶ Photo: Shusaku MATSUO

 ドリアーノ氏は“伝説的”フレーム職人、ウーゴ・デローザ氏の次男で、14歳からフレーム作成に携わり40年以上のキャリアを持つ。クロモリやチタンといった金属製のフレーム製作を得意とし、TIG溶接を駆使した機能的でトラディショナルな作品を生み出し続けている。娘のマルティーナ氏と共に2015年に立ち上げたビクシスは、イタリアに根付くアルティジャナリタ(職人性)を継承しているといえるだろう。

父の影響で14歳からフレーム製作に携わり、40年以上のキャリアを持つドリアーノ・デローザ ©BIXXIS JAPAN

 ビクシスのバイクは全てミラノ近郊のセレーニョ(モンツァ・エ・ブリアンツァ県)にある工房で、ドリアーノ氏の手によりハンドメイドされる。規定のフレームサイズもあるが、サイズを細かく注文できるフルオーダーがビクシスの真骨頂だ。ドリアーノ氏のノウハウをユーザー一人ひとりに当てはめ、世界に一台のオリジナルバイクを作ることが可能となる。

 価格はクロモリの「プリマ」で税抜36万8000円、チタンフレームの「パトス」で税抜60万円となる。サイズのフルカスタマイズは別途税抜3万2500円だ。

 通常、海外でオーダーフレームを注文する際はいくつものハードルがある。正確な体の寸法や、好みの乗り味を伝えるため、作り手とのコミュニケーションは欠かせないが、実際には直接海外へ渡航することは難しいことが多い。しかし、東京・元浅草にあるビクシスジャパンが運営するショールーム「ラ・メッカ」では、ビデオ電話を使ってドリアーノ氏本人と会話することが可能だ。

 ラ・メッカにはビクシスジャパンの代表の静観篤(しずみ・あつし)さんが常駐。イタリア語の通訳としても活躍する静観さんが、希望したいオーダーや会話の細かいニュアンスまで正確にドリアーノ氏へと伝えてくれる。また、離れた地域から会話を希望する場合でも、テレビ電話の3者通話でドリアーノ氏とつながることができる。ドリアーノ氏自身も「乗り手のスタイルを知り、要望を聞くため、積極的に対話を重ねたい」と日本のユーザーとの会話を望んでいるという。

「“ラ・メッカ”punto espositivo BIXXIS」の店内はイタリアのオッフィチーナ(工房)をイメージした造り Photo: Shusaku MATSUO

夫妻でショールーム「ラ・メッカ」へ

今回、チタンバイク「パトス」のオーダーをする市野正直さんと、妻の緑さん Photo: Shusaku MATSUO

 今回、新しいバイクをオーダーするため、ラ・メッカを訪れたのは都内在住の市野正直さんと、妻の緑さん。正直さんは落車がきっかけでバイクの買い替えを決めた。自分に合ったチタンバイクを探していた際、試乗会で「パトス」をテストし、そのコンセプトと丁寧な仕事に感銘を受け、オーダーすることを決めたという。

 「ツール・ド・おきなわ市民100km」や、「マウンテンサイクリングin乗鞍」などのレースを楽しんでいる正直さんは「スプリントが得意なのでヘッドチューブは短めにして、サドルとの落差をつけたいです」と話す。また、「できればトップチューブはホリゾンタル(水平)形状がいいですね」と希望するオーダー内容を伝えた。緑さんは「作り手の意見も聞いてみたい。“こうしたほうがいい”という提案があれば受け入れてみたいですね」と付け加えた。

ドリアーノと面会を前に、規定の箇所を採寸する Photo: Shusaku MATSUO
体のデータがまとめられ、イタリアへと送られる Photo: Shusaku MATSUO

目の前にいるような活発な意見交換

 2人のオーダー内容を聞いた静観さんは早速、イタリア・ミラノの北部にある工房へと電話をつないだ。モニター画面にドリアーノ氏とマルティーナ氏が映ると、流暢なイタリア語で市野さん夫妻を紹介。正直さんは当初、やや緊張気味だったが、静観さんのサポートもあり、和やかな雑談からコミュニケーションが始まった。

希望のスタイル、乗り方、経験をリアルタイムで会話しながらイタリアへと伝える Photo: Shusaku MATSUO
ドリアーノ・デローザ(左)と娘のマルティーナがディスカッションに参加 Photo: Shusaku MATSUO

 静観さんは、あらかじめ計測した正直さんの身長、腕、脚の長さといった身体データをイタリアへ送信。するとドリアーノ氏から「今までに乗っていた自転車で、正直さんのペダリングをして見せてほしい」とリクエストがあった。正直さんが3本ローラーに乗った姿をドリアーノ氏がカメラ越しに観察し「脚が伸びて苦労しているように見える。実際はどう?何年ロードバイクに乗ってるんですか?」などと投げかける。また、腕と胴の長さから「今のフレームではトップチューブが短く、ステムが長すぎるかな。トップチューブを伸ばしたほうが下りのコーナーで安定するでしょう」と見解を示した。

ビクシスジャパン代表で、イタリア語の通訳も行う静観篤さんが、細かいニュアンスの要望も漏らさずドリアーノへと伝える Photo: Shusaku MATSUO

 また、「シートアングルも寝かせたほうが、比較的脚を使わない走りができる」など、具体的なジオメトリーと照らし合わせた意見がドリアーノ氏から次々と投げかけられる。正直さんもそれに答えつつ、「上りでも速いバイクがいい」とリクエストするなど、目の前にいる相手と話しているような活発なキャッチボールが続いた。最終的に、体にフィットした総合力を持つ設計にしようと着地。双方が納得がいくまでじっくりとディスカッションが行われた。

「緊張しましたが、希望を伝え、アドバイスもいただいたことが嬉しいです」とオーダーした市野正直さんは振り返る Photo: Shusaku MATSUO

 オーダーを終えた正直さんは「離れた距離ではありますが、静観さんの通訳のおかげでスムーズに気持ちや要望を伝えることができました。完成が楽しみです」と期待に胸を膨らませた。ドリアーノ氏も「直接お話しした市野さんのバイクを製作できることはとても嬉しいです。デザインが出来上がったらまたお見せします。これからもできるだけ多くの日本の方とお話ししたいですね。グラッツェ!」と締めくくった。オーダーの時だけでなく、イタリアでフレームが完成した際、日本にフレームが届き納車されるタイミングなど、オーナーとなるべくコミュニケーションの機会を設けているという。納期はオーダー後、2〜3カ月だ。

「日本のユーザーをイタリアへとつなぎ、ドリアーノのモノづくりに対する情熱を伝えていきたい」と話すビクシスジャパン代表の静観さん Photo: Shusaku MATSUO
数日後にCADで設計された市野さんのジオメトリー ©BIXXIS

 巷には高性能な最新のカーボンバイクが溢れているが、ハンドメイドバイクは魅力を失っていない。職人の手で一台一台製作されたフルオーダーフレームは、ユーザーにとって“一生モノ”のとして輝きを増しているカテゴリーだ。ビクシスは本場イタリアの伝統技能を、日本でも堪能できるブランド。オーダーする際はぜひドリアーノ氏と意見を交わし、ものづくりに対するパッショーネ(情熱)を感じてほしい。

(提供:ビクシスジャパン)

“ラ・メッカ”punto espositivo BIXXIS

住所:東京都台東区元浅草1-15-2
電話:050-1309-7991
都営大江戸線新御徒町駅から徒歩3分
メトロ銀座線稲荷町から徒歩5分

※不定休のため、来店の際はウェブ上の営業カレンダーのチェックが必須

ビクシス取扱店舗

カペルミュール ココチ店(東京都渋谷区 渋谷1-23-16)
ベルエキップ(宮城県仙台市泉区桂1丁目1-1桂ガーデンプラザ内)
など

紹介ブランドのショップナビ店舗

関連記事

この記事のタグ

ビクシス

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

自転車協会バナー
CyclistポケットTシャツ

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載