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御神火ライド2018

カーボン+油圧ブレーキで砂浜も山道もOKグラベルロードってどう楽しむの? トレック「チェックポイントSL」で春の三浦半島を快走

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 ロード、悪路のどちらも楽しめるグラベルロード。日本のサイクリングシーンにとって比較的新しいジャンルといえる。しかし「どこを走って、何を楽しんだらいいの?」という読者も多いはずだ。そこで、モデルでサイクリストのマルコ・ファヴァロさん、ロードバイク好きで都内在住のもえさんにトレックの最新グラベルロードバイク「チェックポイント」を存分に乗りまわし、神奈川県・三浦半島を舞台に遊び方を実践してもらった。

グラベルロード「チェックポイント」を100%楽しむ方法とは? Photo: Yosuke SUGA

タイヤ幅は45Cまで対応

トレックのグラベルロード「チェックポイント」 Photo: Yosuke SUGA

 そもそも、グラベルとは未舗装路を指す言葉だ。砂利や土が敷かれた路面では、通常のロードバイクだと凹凸のないタイヤが滑ってしまう。細いタイヤは轍にハンドルを取られやすく快適ではない。そこで生まれたのがグラベルロードバイク。太めのタイヤが装着できるクリアランスや、安定性と快適性が高いジオメトリーや設計で構成され、場所を選ばない自由なスタイルでグラベルライドを楽しめる。

 マウンテンバイクは自動車に積んでトレイルまで運ぶのが一般的だが、グラベルロードは舗装路も軽快に走れるため、グラベルロードまでのアプローチも自走で楽しめる。欧米では最も成長しているカテゴリーで、まさに自転車のSUV。日本でも人気に火が付き始めている。

ISO SPEED(アイソスピード)を採用し、快適な乗り心地を実現 Photo: Yosuke SUGA
跳ね石からフレームを守る「カーボンアーマー」がダウンチューブ下に装着 Photo: Yosuke SUGA
45Cのタイヤ幅まで対応するクリアランス Photo: Yosuke SUGA
12mmスルーアクスルを採用し、固定位置を変更することでジオメトリーもチェンジできる Photo: Yosuke SUGA

 トレックから新登場した「チェックポイント」はカーボンフレームと、アルミフレームのラインナップで構成される。45Cまで装着可能なタイヤのクリアランスを擁し、リアスルーアクスルの固定位置をスライドさせることでジオメトリーも変更できるという。安定志向のライドであれば後ろに、クイックな反応を求めるなら前側で固定し、ライダーの乗り方ごとに味付けを決められる。

グラベルロードならではの太く凹凸があるブロックタイヤを確認 Photo: Yosuke SUGA

 同社の「マドン」や「ドマーネ」に採用されたISO SPEED(アイソスピード)がシートチューブに取り入れているのも特徴だ。シートチューブを独立させる構造で、積極的にしなりを生むことで快適性を向上させつつ、踏み込んだ力のパワーロスを発生させない構造となっている。今回はカーボンフレームの「チェックポイントSL5」に試乗した。

 2人が訪れたのは神奈川県横須賀市にあるプロショップ「トリップサイクル」。トレックのクロスバイクやロードバイクがずらりと置かれた店内には、車体のみならずボントレガーのアクセサリーや、豊富なウェアが陳列されている。メカニックスペースのすぐ横にはカウンターと椅子が並び、愛車の作業を眺めながらコーヒーが飲める落ち着いた空間が広がっている。

トリップサイクル店内にはトレックのクロスバイクやロードバイクがずらりと並ぶ Photo: Yosuke SUGA
神奈川県横須賀市にある「トリップサイクル」 Photo: Yosuke SUGA
トリップサイクルの篠原洋平店長(右)と、スタッフの安濃田直樹さん Photo: Yosuke SUGA

 マルコさんは「移動はいつでもどこでも自転車だよ!」と話すほどの自転車好き。ロードバイクのみならず、クラシカルなクロモリロードバイクで未舗装路を走る「エロイカジャパン」を主催し、自らも悪路を楽しむ“グラベルロードマスター”だ。普段グラベルを走るクラシカルなバイクと正反対、最新スペックのチェックポイントの性能に乗る前から興味津々の様子だ。

女性でも指一本で握れる油圧ブレーキに感動するもえさん Photo: Yosuke SUGA

 都内を中心にロードバイクライフを送っているもえさんは、今回がグラベルロード初挑戦だという。油圧ブレーキや、見慣れない太くごつごつとしたタイヤをチェックすると「一見してロードバイクっぽく見えますが、細部が全然違う! ブレーキレバーの引きも軽いし、ライドが楽しみ」と未知の感触にハイテンションだ。店長の篠原洋平さんから「指一本でもコントロールできるブレーキです」と説明を受け驚いた様子も見せた。

「景色がいい道を冒険しよう」と提案するマルコさん Photo: Yosuke SUGA

 今回のライドのテーマは「アドベンチャー」と決めたマルコさん。三浦半島を中心に、普段のロードバイクでは走らないスポットを探索していくという。「舗装路も走りますが、三浦半島には自然を生かした道がいっぱい。身近にあるグラベルロードを探して、寄り道を楽しみ、冒険しましょう!」と走り出した。

青い海と空の間を颯爽と走る Photo: Yosuke SUGA

 海に囲まれた三浦半島はまさに自転車天国だ。段差や継目がほぼないスムーズな路面の国道16号線はロードバイクでも走りやすく、開けた景色がライドを飽きさせない。マルコさんはチェックポイントの第一印象を「ロードバイクとほぼ変わらないスピード感と操作性があります」と語り、ドロップハンドルを持って加速した。

オンロードも快適に走行。太いタイヤは段差や側溝も怖くない Photo: Yosuke SUGA
アドベンチャーライド感満載な道を進む Photo: Yosuke SUGA
雰囲気のあるトンネルを抜ける Photo: Yosuke SUGA

寄り道を楽しもう

ペダリングのパワーをロスせず進み、軽々とした車体の取り回しが可能 Photo: Yosuke SUGA

 35Cと太めなタイヤを履いたチェックポイントだが、アップダウンが続くオンロードでも快走した。もえさんは「道端の側溝とアスファルトの狭間にある段差を走っても全然怖くない」と驚いた様子だった。ロードバイクではハンドルが取られてしまう段差でも、楽々と走れてしまう安心感が魅力的だという。

 ビーチ沿いを走っていると、マルコさんは「このまま砂浜も走ってみましょう」と提案した。ロードバイクでは走行不可能な路面だが、グラベルロードの特徴を生かし、バランスを取りながら走行していた。もえさんも「自転車でこんなところ走れるなんて不思議な感覚」と感想を述べた。普段なら走れないシチュエーションの非日常のライドを堪能していた。

グラベル用のタイヤなら砂浜もイケる Photo: Yosuke SUGA
足場が悪くてもつい寄り道を考えてしまう Photo: Yosuke SUGA
激坂を見つけて駆け降りるマルコさん Photo: Yosuke SUGA

 さらにライドをリードするマルコさんは「こっちもチャレンジしよう」と指差した先にあるのは斜度20%近くもある草地の下り坂。「絶対無理ですよ~」と弱音を吐くもえさんを横目に、マルコさんは弾けた笑顔で滑走し、「重心を後ろにすれば大丈夫。ディスクブレーキはどんな状況でもよく利きます」ともえさんにアドバイスをした。そしてもえさんは見事に転ばず走り切り「こんな場所も走れるなんてすごい!ブレーキも力要らずで、凸凹の地面でも車体は安定してました」と振り返った。

路面がスリッピーなオフロード区間も思いのままコントロール Photo: Yosuke SUGA

 道を外れて丘陵地帯に舵を切ると、路面はまさにグラベルロード。砂利や土が路面を覆い、見るからにスリッピーな道が続く。しかし、マルコさんはゴキゲンでピーキーなワインディングロードを攻める。「あえて滑りやすそうな場所を走ってみたくなりますね。“コントロールできる”と自信を与えてくれるバイクです」と話し、担いでしか上れない坂から下りに挑戦したりと少年のごとく遊び続けた。

「急な下りも楽しい!」 Photo: Yosuke SUGA
キャベツ畑を進む2人 Photo: Yosuke SUGA

 荒れた路面の下りでも安定した走りをしたもえさんも「タイヤが太いので空気圧をやや落として走った。枝や小石を踏んでもタイヤや車体がショックを吸収してくれたので、転ぶ気がしませんでした。ブレーキを引きずっても手が疲れないのが不思議です」と油圧ブレーキの恩恵にも触れた。

 約60kmの旅を終えた2人は、トリップサイクルへと戻り感想を語り合った。「ヒヤヒヤしながら悪路をロードバイクでも走ることがありますが、グラベルロードの可能性に驚かされました。パンクを気にせずに遊べる範囲が飛躍的に広がりますね。久しぶりに自転車の楽しさを再発見しました」と振り返ったのはマルコさん。

ロードバイクでは立ち寄らない場所も、あえて踏み入れたくなる走破性が魅力 Photo: Yosuke SUGA

 篠原さんは「実際にグラベルに入って遊ぶのはもちろんですが、人と違う自由な雰囲気のロードバイクが欲しい方にもオススメです。ロードバイクは欲しいけど、タイトなサイクルジャージやショーツは合わないって思う人は意外と多いです。35Cのタイヤなら、通勤で街中を走るのにもぴったりです」と説明した。

 もえさんも「ロードバイクでは絶対に走ろうとは思わない場所も行ってみようと思えました。走ってみると、難しい道を攻略してく感覚がとても楽しい! マウンテンバイクだとちょっと取り回しが大変そうだけど、チェックポイントなら普段のロードバイクと操作方法も一緒だし、オンロードも気持ちよく走れて馴染みやすかったです」と好印象だ。2人の共通した意見は「スピードを出さなくても楽しい」で、他人と速度を競わず、肩の力を抜いて遊べることが良かった点だという。

チェックポイントでグラベルロードを遊びつくした Photo: Yosuke SUGA

 フレーム各所には泥除けやキャリアの装着を想定したダボ穴が設けられ、拡張性に富んでいる。荷物を車載し、ランドナーのような旅スタイルを楽しむのもいいだろう。街中に登場する段差やグレーチングにもロードバイクほど気を遣うことなく走行でき、軽快な取り回しは信号からの発進にももたつかないため、アーバンライドや通勤、通学にもマッチする。チェックポイントはオン、オフロードの境を無くし、自由な発想で楽しめるグラベルロードの急先鋒であった。

(提供:トレック)

トレック「チェックポイントSL5」
税抜価格:297,000円
フレーム:OCLV 500カーボン
ブレーキ:シマノ「RS505」(油圧ディスク、フラットマウント)
タイヤ:シュワルベ「G-One Allround 35C」
スプロケット:シマノ「HG800」(11-34T)
変速機:シマノ105
サイズ:49、52、54、56cm
重量:9.6kg(56cmサイズの完成車)

取材協力店

マルコ・ファヴァロさん

 東京都在住のイタリア人サイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウェアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でグラベルロードイベント「エロイカ」などのサイクリングイベントも企画している。

もえさん

 都内でサイクルスポーツライフを日々送る自転車女子。サイクルウェアのモデルとしても活動中。幼少期から乗り物が好きで、自動二輪免許を持ち、趣味はドライブやモータースポーツ観戦。ロードバイクに出会ってからは、自らの脚で風を切って走る感覚にハマる。2018年の目標はなるべく多くサイクリングイベントに出場すること。

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