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旅サイクリスト昼間岳の地球走行録<5>何千日も過ごす自転車旅には快適なテントを 野営地の選び方は人目に注意

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
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 自転車旅行で使う数あるアウトドア用品の中で、メインとなってくるのはやはりテントだ。テントを選ぶ基準として、重量、広さ、快適性、設営のしやすさ、見つかりにくい色かなどがある。

パミールではほぼクルマは通らないので、気に入った場所に自由にテントを張った Photo: Gaku HIRUMA

2~3人用が最適

 出発当初、テントはパイネのゴアライト1~2人用を使っていた。山岳テントで軽量コンパクトでシングルウォールなのだが、フライシート(風雨の侵入を防ぐためテントに重ねて張るシート)も併せて使用していた。性能は申し分なかったが、さすがにこのサイズでは小さすぎた。

突然の雨でも濡れた服や装備品を前室に置いておける Photo: Gaku HIRUMA

 一人旅なら十分かと思ったが、テントを張る場所によっては荷物を全てテント内に入れる必要があり、前室もほぼないこのテントの大きさは長期自転車旅行向きではなかった。

 登山では荷物をぎゅうぎゅうに詰めたテントの狭い空間で寝るのは厭わないが、自転車旅行は何日も何百日も何千日もテントで寝るので、ある程度の快適性を確保する必要がある。

 一時帰国の際にテントを買い換えた。前回の反省点を踏まえ、アライテントのエアライズ2(最大3人用)にDXフライシートを選んだ。前室が広く、そこに荷物を置けるので、室内は広々使えるのと、雨の日でも濡れずに前室で調理できる利点がある。

 では、快適性を上げるためにもっと広いテントの方がいいかと言えばそうでもない。海外でテントを使う場合、ブッシュや森の中、道路下の排水溝の中などギリギリ一張分のスペースに張ることが圧倒的に多いので、2~3人用のテントが最適だった。

 またこのテントはフレームはそのままでメッシュテントのカヤライズ2を使うことができる。夏や熱帯地域の走行やマラリアのリスクのある地域の蚊帳として重宝した。

黙って見てきた初老の男性…

 野営地を見つける際に心がけていることは、人目に付かない所でかつ、道路からあまり離れていない場所。これは万が一襲われた時に道路に逃げてクルマに助けてもらうためだ。

道路下のスペースは、気付かれず道路からも近いのでよく利用していた Photo: Gaku HIRUMA
トルコではずっとガソリンスタンドを繋いで走っていた Photo: Gaku HIRUMA

 そして、もう一つは逆にガソリンスタンドなど常に人目があるところだ。僕はガソリンスタンドなどに泊めてもらえるように頼むことは少なかったが、チリやトルコなどすんなりとOKを貰えるような国は、ガソリンスタンドを目指して走ることも多かった。

 野宿中に人に見つかった時の対処の仕方として、隠れるようなことはせず、夜でも見つかったと思ったらすぐテントから出て必ずこちらから笑顔で挨拶をして警戒心を解くことが重要だった。だいたい現地の人は英語は通じないが、大きな荷物の付いた自転車とテントを見れば自転車で旅をしているのだと理解してくれて、友好的に接してくれる。

治安の悪い地域は友人と一緒に走り、なおかつ消防署の庭にテントを張らせてもらった Photo: Gaku HIRUMA

 ただキルギスタンのある夕方、テント設営後に出会った初老の男性は、物珍しさからなのか一向に去ろうとしなかった。英語を話せないからなのか、単に無口だったのかよく解らないが、僕らが一通りの挨拶をした後は、黙って僕らが自炊などの作業をしてるのをただじっと見ていた。僕らもそこからどうすることもできず、仕方ないから場所を変えようかと話していたら、ようやくふらっといなくなった。

 こういう場合、夜中に戻ってきて襲われるリスクもあるので、場所を変えた方がいいのだが、この時は大丈夫と判断して、その場に留まり無事に朝を迎えた。これが物をねだってきたり、複数の若者だったりしたら、場所を変えた方がいい。

昼間岳昼間岳(ひるま・がく)

小学生の時に自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ「Take it easy!!

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