サイクリスト

工具はともだち<132>ネプロスの歴代「限定品」その2 美と機能が高次元で調和したラチェット

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
  • 一覧

 前回から、KTCが誇る「ネプロス」ブランドでこれまで発売した「限定品」の数々をご紹介してきましたが、今回はその2回目です。今回も生産終了となっていて入手困難な品がありますが、その点はご容赦下さい。

20周年企画で発売されたネプロスの革柄ラチェット ©KTC

上質な調度品さながらの革柄モデル

 最初にご紹介するのは「ネプロス9.5sq.革柄ラチェットハンドル」。元々ネプロスには革柄のラチェットハンドルが存在していたのですが、NBR390へのモデルチェンジの際、廃止となりました。ただ、復活を望む声もあり、2015年にネプロス発売20周年記念企画の一環として3種の革柄を限定復活させて発売しました。

個性豊かな革柄はステッチもこだわり設定されていた ©KTC

 3種の革柄はカラーや仕上げが異なります。スポーツカーのステアリングにも使われるエンボス加工の本革をグリップに採用し、赤と黒のコントラストが鮮烈な印象を与えるモデル「Type RS」。使うほどに手になじみ、その風合いも味わい深く変化していく伝統的ななめし製法で仕上げられた「Type XC」。きめ細かなシボやワインカラーとゴールドのリングが美しく、一針一針職人の技で縫い上げたV字ステッチ(裏)をアクセントとした上質な調度品のような佇まいの「Type LX」という個性豊かなラインナップです。

ネプロス革柄ラチェット「TypeRS」とカードケース ©KTC

 それぞれのグリップデザインをモチーフにした本革製カードケースも付属されていた、工具好きにはたまらないモデルでした。個人的には「Type RS」がお気に入りで、ラチェットは何本か持っていますが、もう一本欲しくなったくらいです。ただ、お客様のオーダーが多すぎて、とても社員が押しのけて購入できる状態ではなかったのであきらめた次第です。

幻のアイテム「iPブラックモデル」

 次に20周年記念企画で最後に発売された限定品が「ネプロス iPブラックモデル」でした。通常の表面処理に宇宙開発技術から生まれた真空めっき「イオンプレーティング」を施したプレミアムモデルです。既存モデルの鏡面仕上げとは一線を画した黒い外観は深い輝きを帯びています。

ネプロスiPブラックコーティングされたラチェット ©KTC

 「イオンプレーティング」とはイオン化した金属を蒸着させる表面処理の一種。一般的な工具に施される「めっき」が電解溶液を付着させるのに対し、「イオンプレーティング」はプラズマによって蒸発した金属を素材に蒸着させます。この表面処理は密着性・表面耐久性に優れているので一般的には金型などに使用されていますが最近では装飾などにも使用されています。

 このモデルも発売後即売り切れ。生産期間、数量ともに非常にわずかだったこともあり、今や幻のアイテムの様相を呈しています。

藍染から生まれた日本の伝統色「鉄紺」

 そして、最後にご紹介するのは大好評だった「イオンプレーティング」を再び採用した、「ネプロス鉄紺シリーズ」。鉄紺(てつこん)とは日本の伝統色で、「ごく暗い紫みの青」とされています。

ネプロス「鉄紺シリーズ」のラチェットハンドル ©KTC

 藍染めを繰り返して得られる古くから親しまれてきた色ですが、特に藍染めの盛んだった江戸時代には一般的な色でした。現代では毎年お正月に盛り上がる箱根駅伝の常連校である東洋大学の襷(たすき)の色が「鉄紺」で、特に今年は東洋大学が往路優勝を果たした事もあって、2018年1月発売の「鉄紺シリーズ」を祝うかのごとくテレビで「鉄紺」が連呼されていました(笑)。 

ネプロス「鉄紺シリーズ」の工具セット ©KTC

 そんなネプロス「鉄紺シリーズ」の表面は、ダブルニッケル+クロム+iP(イオンプレーティング)の4層構造になっていて、美しさと機能を高次元で両立。光の当たり方や角度によって、深みのある青から黒に近い濃紺まで変化する、趣のある深い輝きを楽しんでいただけます。

 「鉄紺」という名前は金属であるネプロスにぴったりな色名ですが、先に書いたように昔は主に藍染に使われていた事を考えると、「イオンプレーティング」という現代技術がその色本来の姿を具現化してくれたように勝手に考えています。この鉄紺シリーズは現在も販売中ですので、ご興味のある方はwebページをご覧下さい!

重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

関連記事

この記事のタグ

KTC 工具はともだち

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

             

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載