約1000km走行してテスト性能を犠牲にしない互換性 シマノの純正パワーメーター「FC-R9100-P」を実走チェック

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 ライダーがペダリングにかける力を客観的に表すパワーメーター。シマノが出力の計測個所に採用したのは、自社が誇るハイエンドクランク、デュラエース「FC-R9100」の内部だった。シマノコンポーネントに“純正”として抜群の適合性を持つパワーメーター「FC-R9100-P」の実力をチェックした。

シマノ純正のパワーメーター「FC-R9100-P」を試乗インプレした Photo: Shusaku MATSUO

変わらない変速性能

左クランクはクランク軸内の端子と接続させる Photo: Shusaku MATSUO

 FC-R9100-Pは左右のクランクアーム内部にひずみゲージを内蔵するパワーメーターで、ペダリング時の力によって材質が伸び縮みする量を計測。チェーンステーに張り付けたマグネットでケイデンスを計測し、トルクをかけて出力をワット(W)でサイクルコンピューターへと表示する。

 クランクの構造はホローテックⅡを採用し、中空のクランク軸内部にリチウムイオンバッテリーを内蔵。バイクに装着したまま専用のケーブルでコントロールユニットから簡単にチャージできるのが特徴だ。繰り返し充電できるので、バッテリーの交換を必要としないのがユーザーフレンドリー。バッテリー残量も接続しているサイクルコンピューターか、コントロールユニットのLEDで確認することが可能だ。なお、標準充電時間は2.5時間、連続動作時間は約300時間だ。

 今回、精密部品かつ、走りと安全にかかわる重要なパーツのため、プロショップで取り付けを依頼し、インプレッションを行った。

クランクにひずみゲージが装着され、ANT+でサイクルコンピューターで通信する Photo: Shusaku MATSUO

 取り付けたバイクのコンポーネントはもちろんR9150のデュラエース(Di2)。これ以上の相性はない。離れてみると一見してパワーメーターが取り付けられた車両とは思えないほど溶け込んだ外観となった。「パワーメーターが付いているぞ!」と主張したいユーザーにとってはやや寂しいか。

 パワーメーターは精度が命だが、シマノ公称の計測精度は±2パーセントと非常に優秀。精度を校正するゼロオフセットは接続したパワーメーターで行えるほか、クランクにあるコントロールユニットのボタンを長押しするだけで簡単にできた。

チェーンリング根元にコントロールユニットがあり、ボタンで校正やバッテリー残量確認ができる Photo: Shusaku MATSUO

 使用したサイクルコンピューターはガーミンの「エッジ1030」。画面サイズが3.5インチと比較的大きく、項目を細かく分けても視認性を失わない。筆者は距離や速度、時刻に加えて、平均3秒パワーとトルク効率、ペダルスムースネス、最大パワーを設定し約1カ月ほどトレーニングを中心に使用した。走行に関するデータ通信規格はANT+でサイクルコンピューターと行い、設定やエラーチェックできる「E-TUBE PROJECT」はBluetoothを使用しスマートフォンやタブレットと接続が可能となっている。

パワー、ペダルスムースネス、トルクエフェクティブネスなどのデータをサイクルコンピュータへと送信できる Photo: Shusaku MATSUO

 走ってみて感じたのはとにかくコンポーネントとの親和性が高く、当たり前だが変速性能が良いことだ。Di2のため、大きなトルクがフロントディレーラーのモーターからチェーンへと伝わるが、暴れることなくスムーズにチェーンリングへと収まる。近年、クランク式の他社製パワーメーターでも変速精度が高くなっているのは事実だ。しかし、FC-R9100-Pは、純正のチェーンリングとクランクを組み合わせ、100%本来の力を発揮するセットアップ。シマノコンポーネントでは、これ以上の変速スピードと親和性を備えるクランク式パワーメーターはないだろう。

 左右にひずみゲージを備えているため、前述のとおり左右のペダリング効率やバランスを表示させることができる。路上でのトレーニング時は危険なので常に注視することはできないが、屋内でトレーナーを使った際には参考になるだろう。サイクルコンピューター内のログは解析ソフト等で、ライド後に分析してみても面白い。

シマノのハイエンドクランク「FC-R9100」の性能を余すことなく発揮できるパワーメーターだった Photo: Naoi HIRASAWA

 約1000kmを走行したが不具合は全くない。FC-R9100から付け替えたため、変速や踏んだ際のフィーリングの変化もない。導入に関して障壁は何一つなかった。クランクセット込みで税抜14万3662円(チェーンリング無しは税抜12万7398円)という価格は、通常のFC-R9100のクランクセットが税抜5万9239円ということを考慮するとコストパフォーマンスに優れている。パワーメーターを導入したいサイクリストで、これからリア11速のバイクをシマノコンポーネントで“バラ完”(フレームとコンポーネント、パーツで一から組み上げること)をするなら間違いなくおススメできる。パワーメーターを選択するうえで精度や使い勝手は各社の製品で天秤にかけられるが、純正という安心感では一歩リードしているだろう。

シマノ「FC-R9100-P」
税抜価格:143,662円(チェーンリング込み)、127,398円(チェーンリング無し)
リア対応スピード:11速
歯数構成:50×34T、52×36T、53×39T
クランク長:170mm、172.5mm、175mm ※165mm、167.5mm、177.5mm、180mmはチェーンリング無しモデルのみラインナップ

松尾修作
松尾修作

サイクリスト編集部員。10代からスイスのUCIコンチネンタルチームに所属し、アジアや欧州のレースを転戦。帰国後はJプロツアーにも参戦し、現在は社会人チーム「Roppongi Express」で趣味のレースを楽しむ。JBCFのカテゴリーはE1。数多くのバイクやパーツを試してきた経験を生かし、インプレッション記事を主に担当している。

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