ビワイチ推奨コースマップ制作の2人「守山市がビワイチの起点に」仕掛け人の守山市・宮本市長×三船雅彦さんが自転車対談 

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
  • 一覧

 琵琶湖一周サイクリング「ビワイチ」を推進する滋賀県守山市が、サイクリングルートやお勧め観光スポットを紹介した「ビワイチ推奨コースマップ」を2017年に刊行しました。熱心なサイクリストでもある守山市の宮本和宏市長がコースを監修したプロサイクリストの三船雅彦さんと3月に一緒にサイクリングし、ビワイチの楽しみ方やビワイチのこれからを存分に語り合いました。注目の対談インタビューをお届けします。(聞き手・Cyclist編集部・澤野健太)

←京都・山科発「小関越え」宮本市長と三船雅彦さんが春のサイクリング

対談を前に「琵琶湖サイクリスト聖地の碑」前で笑顔の宮本市長(左)と三船雅彦さん Photo: Kenta SAWANO 
ビワイチ政策について熱く語る守山市の宮本市長 Photo: Kenta SAWANO

 前回の記事で春の京都・山科から守山市までの43.5kmを存分に楽しみ切った守山市・宮本市長と三船さん。守山市が全国のサイクリストに向け制作した「ビワイチ推奨コースマップ」は、中学生の時からビワイチを行っていたという三船さんがさらに、今回のよりすぐりのコースを考えるために、現在住んでいる大阪・枚方から通って考えたものだという。

滋賀県の魅力を楽しむルート設定を

──今回の「ビワイチ推奨コースマップ」を作ることになった経緯を教えてください?

宮本市長:守山市が自転車施策を始めて3年。琵琶湖一周だけでなく、内陸も回り、滋賀県の魅力を楽しむルート設定を作りたいと考えていました。昨年完成した「琵琶湖サイクリストの聖地碑」を起点に、守山市や滋賀県の魅力あるコースを全国に、世界にどんどん広めていきたいと思い、全国はもちろん、琵琶湖を知り尽くしている、三船さんにお願いすることにしました。
 

笑顔で宮本市長と話す三船雅彦さん Photo: Kenta SAWANO

──「ビワイチ推奨コースマップ」を作る上で気をつけたことは?

三船さん:琵琶湖に遠くからいらっしゃるサイクリストほど、みなさんなかなか土地勘がないので、主要道を走ることが多い。そういう道は外し、名古屋や大阪、全国から来た人が滋賀県のちょっとした景色が楽しめるようなルートを考えました。かえって一日を振り返ったときに、「交通量が少なかったよね、信号が少なくて走りやすかったね」と振り返ってもらえるようなコースをイメージしました。

──宮本市長は、三船さんが作ったコースを見てどのような印象でしたか?

宮本市長:私には思いつかないコースを提案いただきました。「マップできあがっても自分が乗ってみないと人には勧められない」と思い、完成した後、マップを見ながら、まず走りました。「そしてこんなにいいルートなんだ。自信をもって人に勧められるな」と実感しました。

“裏テーマ”がダムカード集め?のコースも

──お勧めのルートは?

三船さん:全部おすすめですが、「守山〜東近江〜水口・土山ルート」は好きなようにやらせてもらいました。東近江や、永源寺のあたりは緩いアップダウンもありますし。何より、土山を走ると、滋賀県のダムカード(各ダムの現地でのみ配布されるトレーディングカード形式のパンフレット)のほとんどを手に入れることができるんですよ。このコースの「裏テーマ」はダムカード集めなんです(笑)。

宮本市長:私ももちろん、全部おすすめですが、私が実際に走った2つのコースをこれまでに走りましたが、どちらもとても良かったです。三船さんもおすすめの「守山〜東近江〜水口・土山ルート」は昨年12月に走りましたし、琵琶湖東岸を走る「守山〜琵琶湖大橋〜朽木・高島ルート」は11月に走り、どちらもとっても良かったです。これから「守山〜瀬田・信楽・草津ルート」を走ろうと思っていますよ。

──コースを作るためにどれくらい走って、どうやって出来上がったのですか?

3月のライドでは右折時の手信号も息ぴったり Photo: Kenta SAWANO

三船さん:もともと高校生の時から来て、琵琶湖は通算100周以上は走っています。高校時代は大きなレースで日本一になれなかった時に、悔しくて何周もした思い出があります(笑)。それとは別に今回のために、仕事が休みの水曜日に何度も来ました。まずはお勧めのポイントを入れて160〜170kmになってしまったところから、ビギナーの方のためにも、少しずつ削っていく作業を続け、だいたいのコースを100kmの長さにしていきました。

宮本市長:私も三船さんのコースは、しっかり仕事を終わらせてから、午後1時半くらいから、「よしいくぞ!」と時間を取って出かけました。誰も付いてきてくれないので1人で出かけました(笑)。昨年GIANTのPROPELを購入したので、そのシェイクダウンを兼ねて、日が暮れるころには戻ってきましたが、爽快でした。

──コースを作っていて苦労したところは?

三船さん:やはり交通量が少ないうえ、信号がなるべく少なく、気持ちよく走れることを頭に入れました。鯖街道を走るルート(守山〜琵琶湖大橋〜朽木・高島ルート)は、どこで琵琶湖に入るかが腕の見せ所で悩みました。どれだけ知っているかが試されるので。

宮本市長:確かに、最初の上りを頑張れば、あとはずっと下りでものすごく気持ち良かった。さすが三船さんのルートだと思いましたよ。

「ビワイチ推奨コースマップ」を見ながら各コースについて意見交換する宮本市長(左)と三船雅彦さん Photo: Kenta SAWANO

三船さん「もっともっと魅力伝えたい」

──三船さんにとって、滋賀県、そして「ビワイチ」の印象は?

滋賀県の寺社数は日本一。3月のライド時に三井寺の前で記念撮影 Photo: Kenta SAWANO

三船さん:県外の人からすると、失礼かもしれないが「滋賀=琵琶湖」というイメージが先行し、「琵琶湖以外に何があるの?」という人もいる。でも実際は琵琶湖の面積はは滋賀県の6分の1。6分の5は走ることができる陸地なんです。もっともっと自転車で走ることができる、と伝えていかなくてはいけない。

 滋賀県は寺社数が日本一ですよね。人口10万人当たり、寺社が200以上という統計もあります。歴史街道としても、織田信長や、北近江、南近江もたくさん歴史に登場してくる。そういったことを走りながら伝えていくことできればうれしいです。また干拓地も多いので、自転車に乗りながら「ここはもともと陸じゃないな、干拓地だな」などと走っていて感じてくれたりすると楽しいですね。

宮本市長:三船さんがSNSでも広めていらっしゃる「#道との遭遇」も1冊の本にして、そのスタートを守山にしてもらえたらいいですね。今日も鉄道の踏切を渡ったところに1軒の家しかなくて、「どんな生活をしているんだろうか」とか、なかなか見つけられない寺社を発見してくれたりして、新しい発見の連続でした。三船さんと走るといつも面白い発見があり、今回のマップの監修をお願いして良かったなと、改めて思いました。また、三井寺と石山寺を走る途中に大津を走ると、本当に歴史のある町だなと実感しました。三船さんは、滋賀県をうまく見せてくれています。

──「ビワイチ推奨コースマップ」の反響はいかがですか?

宮本市長:サイクルジャージのポケットに入る大きさで、雨にも強い。近畿の市長会でも配ったら、みなさん開いて、琵琶湖ってやっぱり(自分の自治体から)近いんだね、と言ってくれました。また、必要な情報がまとめて掲載されていますし、三船さんの分かりやすい一言アドバイスは、みなさん参考にされると思います。

三船さん:こういうマップをきっかけにサイクリストの流れが変わったことがあると思います。費用対効果はすごいと思います。このために、お城やダムを作ったわけでなく、今まで知らなかったルート、スポットを紹介しただけなので。それで皆さんに喜んで走ってもらえるのはうれしいことです。

「ビワイチ推奨コースマップ」は、スマートフォンと同じサイズで自転車ジャージのバックポケットにも入れやすい Photo: Kenta SAWANO
三船雅彦さんのワンポイントアドバイスやQRコードも入っている Photo: Kenta SAWANO

──今後はどういったコースを紹介していきたいですか?

三船さん:「そうだ京都行こう」ではないですが、「そうだ東京行こう」とか「そうだ仙台行こう」とか守山市発着の「1000km」などキリのいい数字での、何泊かのロングコースも面白いかもしれません。

宮本市長:もう少し短く、守山から200km地点まで行くコースを決めてライドするのも面白いかもしれないですね。琵琶湖一周が約200kmなので、「それがビワイチと同じ距離ですよ」と教えてあげると琵琶湖の大きさも感じてもらえるじゃないですか。西は姫路くらいまで行けるんじゃないでしょうか。

──守山市の自転車の印象はいかがですか?

三船さん:今の時点で一歩リードしている印象があります。滋賀県にとって琵琶湖一周は大きなキーワード。でも県外から来て、「一周の起点はどこ?」となったときに、実は大津、米原、草津、彦根と、いろいろな場所があります。その中で、守山は高速道路のインターチェンジもない、新幹線の駅もない。アドバンテージがある状態ではありませんでしたが、こうやっていろいろな自転車の取り組みをするようになって、自分の周りでも「守山市は自転車で有名だよね」と周りの人が口にするようになってきています。

──守山市の自転車施策のこれからはいかがですか?

2016年、ビワイチに挑戦したジャイアントの劉金標前会長の乗船を手伝う宮本市長 Photo: Kenta SAWANO 

宮本市長:自転車施策を始めて3年。あっという間でした。地方創生事業で、2年半前の10月。守山市琵琶湖畔の活性化に自転車を使えないかと仕掛け作りを今から1年10カ月前からはじめ、今こういう状況になった。尾道市やしまなみを走って、いろいろ見てきて、守山市に足りないことを探してきた。しまなみが成功した要因のひとつがGIANTさんのお店ができ、それでキング・リュウさん(劉金標前会長)が走ったこと。それを目標にやっていこうと決め、実際にお店(ジャイアントストアびわ湖守山)を誘致しそして劉会長には2年前の5月にお越しいただきました。

3月のビワイチライドでも自転車の話で盛り上がった2人 ※併走可能の自転車用道路を走っています Photo: Kenta SAWANO

 それは全国に先駆けて自転車で地方創生に取り組んだ結果。おかげさまで守山市にいらっしゃったサイクリストの数は、平成27年が5万5000人、平成29年は9万5000人。倍増してきているので毎年伸ばしていきたい。われわれの一番の目的は、自転車に携わる人が増えるのはもちろんですが、地域の活性化が大事。サイクリストの皆さんがどんどんお金を地元に落としてくれる取り組みを、県や周りの市町村とやっていきたい。私自身、自転車が好きで、乗ると体が軽くなるので、その楽しさを伝えていきたいというのが根本にあります。

三船さん:是非、さらに自転車が盛り上がって、守山市民の人にも根付いていって、地元の人がもっともっとスポーツ自転車に乗ってくれたらいい思います。そして宮本市長と、またどこかで走りたいです。今日も一緒に走っているときに話題になったのですが、グラベル用バイクとか、シクロクロスバイクにマットガードをつけ周辺の林道を開拓して是非走りましょう。

対談の最後に熱い握手を交わす守山市の宮本市長(左)と三船雅彦さん Photo: Kenta SAWANO

◇         ◇

いつまでも終わらない2人の自転車談義

<編集後記> 休日の午後に行われた対談は予定時間が過ぎても、2人の自転車トークが終わることはなかった。最後は「三船さんが今まで乗った自転車で最高の1台は?」という宮本市長の質問に「機材にはこだわらないので、どの自転車が良かったとかはないのですが、しいていえば一番良い成績を残した自転車でしょうか」と三船さんが即答。「で、それはどんな機種で乗り心地は?」と宮本市長は記者以上に質問を続け、三船さんは「チタンとカーボンで固いと思ったんですが、200kmを超えてからのスプリントが〜〜(以下略)」と、延々とマニアのトークは続いていった。この2人がタッグを組んで進める守山市のこれからに注目したい、と実感した。

関連記事

この記事のタグ

ビワイチ

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

自転車協会バナー
新春初夢プレゼント2019

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載