「ノッてる!ガールズEHIME」の湯けむりサイクリング<後編>3時間の船旅で“地獄”から‟パラダイス”へ 愛媛・道後を目指す温泉めぐりライド

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 自転車とフェリーを使ったちょっとスケール大きめの温泉めぐり。大分・別府温泉を巡った前編に続き、後編は海を渡って愛媛の八幡浜港へ、一路道後温泉を目指します。前日の“地獄”から一変して、2日目は穏やか伊予灘を眺めながらのゆったりサイクリング。同じ日本国内でありながら「海を渡っただけでこんなに変わるの?」と感じずにはいられないダイナミックな変化は、自転車だからこそ体感できる楽しみ。「自転車+温泉」というキーワードで探しにいく、豊かでダイナミックな自転車旅を紹介します。

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夕焼けに染まる観光列車「伊予灘ものがたり」と並走 ©愛媛県

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フェリーで愛媛・八幡浜に上陸

 初日、別府温泉で自然湧出の源泉“地獄”を堪能した3人は、別府港からフェリーに乗船し、愛媛県の八幡浜港を目指す。伊予灘と宇和海を分かつように迫り出した佐多岬には、別府港からより近い三崎港があるが、佐多岬のアップダウンはやや健脚向き。のんびりライドを楽しみたい人は八幡浜港から上陸するのがおすすめだ。

別府港から海を渡って愛媛への海の玄関口、八幡浜へ! 束の間の船旅にワクワク ©愛媛県
乗船時間は2時間50分。くつろいだり、愛媛での“作戦”を練ったり ©愛媛県

 乗船時間は約3時間。この日は9時45分別府発、12時30分八幡浜着の便に乗船。早朝に一便出ているが、愛媛での行程を考えると昼過ぎに到着する便に乗船すれば十分なので、別府温泉での朝風呂もゆっくり堪能できる余裕がある。

景色を楽しんだりしているうちに八幡浜港に到着! ©愛媛県

 八幡浜についたらまずは走り出す前の腹ごしらえ。ここ八幡浜の名物はその名も「八幡浜ちゃんぽん」。四国の西の玄関口といわれ、古くから九州や関西地方との海上交易が盛んだったことから生まれたご当地グルメだ。

道の駅「八幡浜みなっと」。バイクラックは愛媛県のマストアイテム ©愛媛県

 九州のちゃんぽんとは違い、鶏がら・鰹・昆布などでだしを取ったあっさりしたスープが特徴だ。港を下りてすぐのところにある道の駅「八幡浜みなっと」でもちゃんぽんを味わうことができるが、「ノッてる!ガールズ」の2人が悩んだ末に選んだ店舗は地元でも人気が高いという「石窯パン工房」。これから登場する数々の補給グルメに備え、少しずつ食べるのも賢い女子の作戦だ。

「ここのパンが美味しいの!」と石窯パン工房を紹介してくれた「ノッてる!ガールズ」の2人 ©愛媛県

 そして愛媛といえば柑橘類!ということで、「ノッテる!ガールズ」の2人がおすすめしてくれたのが、「みかんハンドクリーム」と「みかんリップクリーム」だ。ほんのりと自然なみかんの香りが優しいクリームは、愛媛でしか手に入らないアイテム。リップクリームはライド中の乾燥から唇を守るための必需品なので、女性サイクリストの身だしなみとしてもぜひゲットしておきたい。

ほんのりみかんの香りに癒されるハンドクリームとリップクリーム ©愛媛県
ほんのりとした優しい香り。愛媛でしか手に入らないご当地アイテムだ ©愛媛県

快適サイクリングにさらなるサプライズ

 八幡浜を後にして、いよいよサイクリングに出発。伊予灘側に出て、海岸沿いの道路を走る。穏やかな海原、走りやすく広い道路、行く手を導くブルーライン。前日巡った別府が散策なら、愛媛は安心で爽快なサイクリング。未知の路地を探る楽しさと風を切って進む楽しさ、自転車の魅力を余すところなく堪能できるコース選択は、さすがは地元を知る「ノッてる!ガールズEHIME」だ。

穏やかな伊予灘を望みながらのサイクリング ©愛媛県
初めての人でも導いてくれる安心のブルーライン ©愛媛県

 25kmほど漕いだところで立ち寄ったのは大洲市の長浜というエリア。国の重要文化財に指定されている橋長226mの跳ね上げ式可動橋「長浜大橋」を通る。1935年築で、太平洋戦争での機銃掃射の傷跡がところどころに生々しく残る。全体が赤く塗られている姿から、地元では「赤橋」の愛称でも親しまれている。

国の重要文化財に指定されている「長浜大橋」を渡る ©愛媛県

 そしてここで味わっておきたいのが、郷土菓子「志ぐれ」。一見羊羹のようにも見えるが、小豆にもち米などを加えた蒸し菓子で、その腹持ちの良さから地元のサイクリストからは「愛媛のパワーバー」という愛称で呼ばれているそう。今回立ち寄ったのは「稲田菓子舗」。地元の人も多く訪れる、地域に溶け込んだ名店だ。

長浜の名菓「志ぐれ」。小豆、米粉などを使った蒸し菓子(写真は「稲田菓子舗」) ©愛媛県
「サイクリングには美味しい補給が欠かせません」と上野さん。可愛らしい食べっぷりだが、2本は軽くいけそう ©愛媛県

 さらに自転車を走らせると、並走する線路になんとも風情ある列車が現れた。JR四国予讃線の伊予灘線を走る観光列車「伊予灘ものがたり」だ。伊予灘の夕日を連想させる茜色と、太陽や柑橘類の輝きを表す黄金色を基調とした配色のレトロな列車。伊予灘の景色を堪能するためにゆっくりとしたスピードで走るので、自転車の速度でもしばらく並走できる。「ラッキー!!」と不思議とテンションがあがり、3人で列車を追いかける。まるでサイクリングの仲間が一人増えたかのように楽しい。

JR四国予讃線の伊予灘線を走る観光列車「伊予灘ものがたり」と一緒に走る ©愛媛県

 列車はその線路上にある海に面した無人駅、下灘(しもなだ)駅で一時停車する。我々もそこに立ち寄ると、そこには伊予灘ものがたりを一目見ようとする鉄道ファンや観光客が大勢訪れていた。

海に面した無人駅、下灘(しもなだ)駅 ©愛媛県
思いがけない美味しいコーヒーとマカロンの登場に嬉しそうな「ノッてる!ガールズEHIME」の2人 ©愛媛県

 駅を降りれば目の前いっぱいに瀬戸内の美しい海が広がる様子から、かつては「日本一海に近い駅」とも呼ばれていた下灘駅。多くのドラマやCMの撮影場所としても使用されている、いまや有名な“秘境駅”だ。駅前には「下灘コーヒー」という移動式のカフェスタンドもオープンしており、思いがけない一服に2人も大喜びの様子だった。

土日祝日限定の嬉しいサイクルトレイン

 そこから5kmほど走ったところで道の駅「双海シーサイド公園」に到着。ここでの名物はハート型のじゃこ天、その名も「ラヴじゃこ天」だ。

アップダウンが少なく、走りやすい道 ©愛媛県

 ここふたみシーサイドが「恋人の聖地」であることにちなんだそうだが、ハートをかじるこっぱずかしさとは裏腹に、揚げたてでとても美味しい。甘い補給食が続いたところに塩気のある補給食という、バランスのとれたチョイスがうれしい。地元サイクリストが休憩地点としても利用するそうだから、美味しいものにありつける場所であるのは間違いない。

ハート型をした名物の「ラヴじゃこ天」 ©愛媛県
ふたみシーサイド公園で出会った地元のサイクリスト、米田真紀さん(写真左) ©愛媛県

 集っていた地元サイクリストの中に「ノッてる!ガールズ」の2人もよく知る女性サイクリストの姿があった。地元で女性だけのチームを作り、自転車を楽しんでいるという米田真紀さん。こんな偶然の出会いも面白さの一つ。旅は道連れ、ということで途中までの道のりをご一緒することに。筆者は初対面だが、女性で自転車乗り同士というだけで旧知の仲に思えるのがおもしろい。

旅は道連れ、ということで一緒にヒルクライム ©愛媛県

 12kmほど走り、伊予鉄道の郡中港駅に到着したところで米田さんとはここでお別れ。ここから松山市までは電車で移動する。伊予鉄道では土日祝日限定で、「高浜線」「横河原線」「郡中線」の各郊外電車で自転車を輪行せずにそのままの状態で持ち込める「サイクルトレイン」を終日運行している。利用の際は一律100円。通常の乗車料金に加えて支払う。

伊予鉄道の郊外電車では土日祝日限定で自転車をそのまま乗せられるサイクルトレインが運行 ©愛媛県
乗車券のほかに、サイクルトレイン利用券を購入する(1回100円) ©愛媛県

 持ち込みスペースは進行方向によって前後するが最端車両で、さらに白いラインで区画されているのでわかりやすい。持ち込み可能な台数は1列車につき10台まで。松山市まで自走するもよいが、疲れたときや時間調整などのエスケープルートとしても便利。何より、そのまま自転車を持ち込める‟ウェルカム感”に、ついつい利用したくなってしまうというサイクリストは少なくないだろう。

自転車持ち込みスペースが定められている ©愛媛県

「ジャンボ坊っちゃん団子」にびっくり!

 松山駅に下り立ち、ここから4km先の道後温泉本館へと向かう。その手前にある道後商店街(道後ハイカラ通り)は松山の名物がぎゅっと凝縮されたおみやげエリア。伊予鉄道の道後温泉駅と道後温泉本館を結ぶ約250mのアーケード街で、お土産屋や飲食店など約60もの店舗が軒を連ねる。

道後温泉本館へと続く道後商店街 ©愛媛県
道後温泉といえばおなじみ『ぼっちゃん』 ©愛媛県
通常サイズの9本分に相当する「ジャンボ坊っちゃん団子」 ©愛媛県

 ここで「食べてほしいものがある」といって「ノッてる!ガールズ」の2人が案内してくれたのは、おなじみ「坊っちゃん団子」で有名な老舗「巴堂」だ。「坊っちゃん団子なら知ってるよー」という筆者に2人が見せてくれたのは、目を疑うようなジャンボサイズ。なんと通常サイズの9本分に相当するのだそう。

 ドン引きする筆者をよそに、食べるのはやっぱり食欲担当の上野さん。最後までニコニコとおいしそうに食べ、難なくペロリ。可愛らしいけれど、実は走れて食べれる女性サイクリスト「ノッてる!ガールズ」。そんな2人に、いつの間にか尊敬の眼差しを向けていた筆者だった。

道後名物「坊っちゃん団子」。上野さんはジャンボサイズにチャレンジ ©愛媛県
ペロリと完食!サイクリストには朝飯前? ©愛媛県

 旅の終着点、道後温泉に到着。歴史ある重厚な本館が、3人を出迎えてくれた。寄り道&補給たっぷりの通算約50kmのゆったりサイクリングが終了。少しさみしい気もする…が、疲れた体を温泉宿で癒す夜のお楽しみはまだまだ続く。

旅のゴール、道後温泉に到着 ©愛媛県

 自転車に「温泉」というキーワードをプラスすることでつながった別府温泉~道後温泉を走る2泊3日の旅プラン。少し視点を変えることでまったく違う世界に出会えるのは、まさに自転車旅ならではの醍醐味だ。サイクリングに最適なこれからの季節、まとまった休みがとれたらぜひ自転車温泉めぐりの旅に出かけてみてはいかがだろう。

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