ツール・ド・ランカウイ第6、第7ステージトマ・ルバが一時バーチャルリーダーに 強気の姿勢を見せたキナンサイクリングチーム

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 マレーシアで行われているステージレース、ツール・ド・ランカウイ(UCIアジアツアー2.HC)は、3月23、24日に第6、第7ステージがそれぞれ行われ、日本籍チームで唯一出場のキナンサイクリングチームは、ステージ勝利と総合上位を狙っての攻撃的走りを見せた。第7ステージでトマ・ルバが一時バーチャルリーダーになったが、攻撃はあと一歩で実らず個人総合、チーム総合ともに順位を下げる結果となった。

第7ステージ、人数が絞られたメイン集団を走る中西健児と山本元喜 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

イスラム安息日のショートステージ

 最難関だった前日の第5ステージとは対照的に、第6ステージは今大会最短の108.5km。スタートして20kmにスプリントポイント、67.3km地点には4級山岳ポイントが設定される。そのほかはおおむねフラットはレイアウト。イスラム教徒の多いマレーシアでは、他のイスラム諸国と同様に金曜日が休日にあたるため、レースもこれまでの午前11時スタートから午後3時スタートへとシフト。イレギュラーな中でレースを迎えることになった。

スタート地点を訪れた親子と写真撮影に応じるトマ・ルバ Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU
アジアで注目度の高いヨネックスのロードバイク Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 プロトンはスタート直後から激しいアタック合戦。逃げを狙っての動きにキナン勢も果敢に加わる。次、また次とアタックを試みるキナン勢は、たびたびメイン集団に対して数秒のリードを奪う場面を作る。山本元喜やサルバドール・グアルディオラ、マルコス・ガルシアらの動きで逃げが決まるかに見えたが、なかなか容認を得ることができない。

逃げにトライする中西健児 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 大集団のまま、この日唯一のスプリントポイントを通過。さらに10km以上出入りを繰り返した末、1選手の飛び出しをもってスプリンターチームが集団のコントロールを開始した。道幅が狭くなったところで、前方をブロックする形として、逃げ狙いの動きを押さえた。

5選手ともメイン集団ゴール

 以降、キナン勢はメイン集団でレースを進めた。5選手が隊列を組み、集団前方に位置しながら走る。レーススタート時は強い日差しが注いだが、中間地点を過ぎたあたりからスコールに見舞われるなど、気象条件が目まぐるしく変わる中、着々と距離を踏んでゆく。メイン集団はスプリンターを擁するチームを中心に逃げとのタイム差を調整していき、残り20kmを切ったあたりで吸収。スプリントに向け集団内での位置取りが慌ただしくなる中、キナン勢は危険を回避しながらポジショニング。そのまま最終局面を迎えた。

メイン集団でフィニッシュしたトマ・ルバ。個人総合6位は変わらず Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 キナン勢は5人ともトップと同タイムでのフィニッシュ。ルバのケアをしながらフィニッシュラインを通過した中西の26位がこのステージでの最上位。直後にルバが続いた。このステージでは総合成績に大きな変動は起きず。ルバの個人総合6位、ガルシアの同12位は変わらず。チーム総合でも3位を保った。

第6ステージ結果(108.5km)
1 ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) 2時間24分55秒
2 リッカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナプロチーム) +0秒
3 モハドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)
4 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF)
5 イェフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナプロチーム)
6 パオロ・シミョン(イタリア、バルディアーニ・CSF)
26 中西健児(キナンサイクリングチーム)
28 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)
44 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、キナンサイクリングチーム)
50 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)
108 山本元喜(キナンサイクリングチーム)

サルバドール・グアルディオラのコメント

 逃げを狙って動いたが、レース距離が短かったことと、上りが少なかったことからタイム差を広げることは難しかった。

 個人総合で上位を狙うことは難しいので、ステージ優勝にフォーカスしている。チャンスは残り2ステージ。どちらもアップダウンのあるコースだし、自分にも可能性はあると思う。1ステージ終えるごとに調子が上がってきているから、よい走りを続けられるだろう。

残るは2ステージ、総合逆転を狙って攻撃

 第6ステージは、今大会で最も長い200km超えのロングステージ。それにふさわしく、序盤から細かなアップダウンが連続し、サバイバルが予想されるコースレイアウトが用意された。カテゴリー山岳は4級のみながら、中盤までに7カ所を上る。その後は、フィニッシュまで約110kmの平坦基調を走るが、マレーシア特有の暑さや、ここまで6ステージをこなしてきた消耗度合いによっては、展開に大きな変化があったも不思議ではない。キナンサイクリングチームも、残る2日間も引き続き攻撃的な姿勢を緩めず、チャンスを手繰り寄せるべくスタートラインに並んだ。

レース前、戦術を確認するトマ・ルバ(右)とサルバドール・グアルディオラ Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 レースはまず、山本元喜と中西健児の2人が積極的に前方をうかがう。繰り返し訪れる山岳での攻撃ではグアルディオラも加わり、大人数での逃げグループ形成を狙う。プロトン全体での思惑が交錯し、しばらくは出入りの激しい状況が続いた。

 均衡が破られたのはスタートから80km過ぎ。グアルディオラを含む大人数の逃げが形作られると、ここに次、また次と力のある選手たちが加わり、最大で36人もの先頭グループとなった。やがて人数が絞られていくなか、100km地点を過ぎたところで今度はルバがメイン集団からアタック。先頭グループへの合流に成功したことで、前方で待つ格好となったグアルディオラと2人となり、数的有利な形勢とした。

先頭集団に加わったサルバドール・グアルディオラ Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

ルバが一時バーチャルリーダーに

 先を急ぐルバとグアルディオラたちのグループに対し、個人総合上位陣は後方の集団に位置。2分以上のリードを得たことで、総合トップから1分8秒でスタートしたルバがバーチャル総合リーダーに立った。

 だが、残り100kmを切ったところから総合上位陣が含まれる追走グループが生まれると、徐々に先頭とのタイム差を縮めていく。追う側と逃げる側双方の気迫がぶつかる争いは、残り約30kmを迎えたところで、追い上げた総合上位陣の合流によってふりだしに戻った。

一時はバーチャルリーダーに立ったトマ・ルバ。総合順位こそ下げたが果敢に攻めた Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 この直後に10人がアタックし抜け出すと、ルバとグアルディオラは他の総合上位陣とともに追いかける形に。しかし、タイム差は広がる一方。結局、この10人の逃げ切りが決まり、ルバとグアルディオラはトップから1分28秒差のメイン集団内でフィニッシュを迎えた。

 逃げ切ったメンバーの中に、総合上位に肉薄していた選手が数人含まれていたことから、このステージを終えてのルバの個人総合は9位に下がった。さらに、同12位でスタートしたガルシアが胃腸のトラブルで途中リタイア。3位につけていたチーム総合も9位となり、総合各賞の観点からは厳しい1日となった。

力の限り走ったトマ・ルバとサルバドール・グアルディオラ。バイクを降りた後はしばし座り込んだ Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU
悔しさに頭を抱えるトマ・ルバ Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU
アシストを終えてフィニッシュした山本元喜 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 かたや、繰り返しやってくるアップダウンや気温40度近い暑さの中でのレースにあって、キナン勢の動きがサバイバルな展開につながった部分も見逃すことはできない。世界の名だたるチームが出場するハイレベルな大会で、攻撃的姿勢を見せることができた点では大きな収穫ともいえそうだ。

最終日も強気の姿勢で

 アジアが世界に誇るステージレースは翌25日、いよいよ2018年大会の最終日を迎える。最後を飾るべく、マレーシアの首都・クアラルンプールを目指して走る。

最長ステージを無事走り終え、最終日に駒を進めた中西健児 Photo: KINAN Cycling Team / Syunsuke FUKUMITSU

 距離は141.1kmで、スプリントポイントと4級山岳がそれぞれ3カ所ずつ控える。クアラルンプール市内に入ってからは、一度フィニッシュラインエリアを通過したのち、市街地を一周回したのちフィナーレ。この周回コースは山岳ポイントこそつかないものの、最大勾配14.2%を筆頭に10%前後の登坂が繰り返し登場。さらには、距離こそ短いものの驚異の勾配39.3%の下りも選手を待ち受ける。ステージ、総合ともに最後の最後まで勝負の行方は分からない、ドラマを生み出すルートが整えられた。

 キナンサイクリングチームはルバ、グアルディオラのほか、山本と中西も最終の第8ステージに駒を進めている。この大会を通じて続く強気のスタンスを最後まで貫く構えだ。

第7ステージ結果(222.4km)
1 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカットリ・シデルメク) 5時間8分23秒
2 ユーゲルト・ジューパ(アルバニア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) +0秒
3 ルスラン・トルウバイエフ(カザフスタン、アスタナプロチーム)
4 ディラン・ペイジ(スイス、チームサプラサイクリング)
5 ジェイコ・フェンター(南アフリカ、ディメンションデータ)
6 パオロ・シミョン(イタリア、バルディアーニ・CSF)
22 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +1分28秒
38 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、キナンサイクリングチーム)
51 山本元喜(キナンサイクリングチーム) +14分50秒
104 中西健児(キナンサイクリングチーム) +20分12秒
DNF マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)

個人総合時間
1 アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) 28時間56分20秒
2 ルカシュ・オウシャン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコヴィチェ) +28秒
3 ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) +32秒
4 ジュゼッペ・フォンツィ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) +57秒
5 ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ) +59秒
6 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ) +1分0秒
9 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +1分8秒
26 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、キナンサイクリングチーム) +2分30秒
103 山本元喜(キナンサイクリングチーム) +58分7秒
104 中西健児(キナンサイクリングチーム) +1時間4分34秒

チーム総合
1 ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア 86時間52分23秒
9 キナンサイクリングチーム +15分9秒

トマ・ルバのコメント

 最後の2日間でどれだけトライできるかを考えている。今日はそれが成功するまであと少しだった。長距離と暑さの中でのステージで、サルバドールとできる限りのことをやった。まぁこれがサイクリングというものだね。

もちろんここまでの走りはポジティブに捉えている。挑戦を続けることが大事だし、それをせずに終えるわけにはいかない。しっかり体を休めて最後の1日に臨む。

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