レコードバンク・E3ハーレルベーケ2018テルプストラが独走逃げ切り勝利 クイックステップがワンツーフィニッシュ

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 UCIワールドツアーの第8戦、レコードバンク・E3ハーレルベーケが3月23日、ベルギーで206.5kmで争われ、ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)が逃げ切って勝利を飾った。2位にはフィリップ・ジルベール(ベルギー)が入り、中盤から終盤にかけてレースを掌握したクイックステップがワンツーフィニッシュを決めた。昨年大会覇者のグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)は3位に入り、世界チャンピオンのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は終盤に失速し26位に終わった。

中盤にアタックを仕掛け、72km以上にわたって逃げ続けて勝利したニキ・テルプストラ Photo : Yuzuru SUNADA

大規模な落車の影響で、集団は分裂

 ミニ”ツール・デ・フランドル”とも呼ばれるE3・ハーレルベーケは、ツール・デ・フランドルでも使われる石畳の激坂が複数登場する。最後の上りは残り20km地点に登場し、あとはフィニッシュ地点まで平坦基調の舗装路が続いていく昨年と同様のコースレイアウトだ。そのため、レース中盤から激しく動くワンデークラシックらしい展開が予想されていた。

レース序盤から逃げ続けたダミアン・ゴダン(右)とピム・リヒハルト(左) Photo : Yuzuru SUNADA

 この日の逃げは8人で、メイン集団に対して最大6分程度の差を開いていた。

 ところがレースが折り返しに差し掛かった残り108km地点、メイン集団で大規模な集団落車が発生。狭い道路で後続選手の進路を塞いでしまった影響で集団が大きく2つに割れた。

 落車の難を逃れた第1集団は、ヴァンアーヴェルマート、サガン、今季ストラーデ・ビアンケで勝利したティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)、そしてクイックステップフロアーズの選手大勢を含む40人程度となった。

 落車の影響を受けた第2集団には、セプ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール)ら多くの有力選手が取り残されていた。

落車に巻き込まれたオリバー・ナーセンは左膝から出血しながらもレースを続行 Photo : Yuzuru SUNADA

 逃げを追走する第1集団ではクイックステップが積極的に集団をコントロール。逃げ集団のとのタイム差を一気に2分程度まで縮めていった。

 第2集団はアスタナ プロチームを中心に牽引するも、平坦スペシャリスト揃いのクイックステップ擁する第1集団とのタイム差をなかなか縮めることができず、タイム差は1分程度で推移していた。

 逃げ集団では、迫りくる追走集団への吸収を嫌ったダミアン・ゴダン(フランス、ディレクトエネルジー)とピム・リヒハルト(ルームポット・ネーデルランセローテライ)が抜け出していた。

テルプストラ、ランパールトが先行

 残り72.7km地点の石畳の上り、タイエンベルグ(全長650m・平均勾配9.5%・最大勾配18%)で、第1集団からクイックステップの2人、イヴ・ランパールト(ベルギー)、ニキ・テルプストラ(オランダ)がアタックを仕掛けて、先頭で逃げる2人にブリッジした。

 追走第1集団は分断と吸収を繰り返しながら、10人程度まで人数を減らしていた。ヴァンアーヴェルマート、サガン、ベノートも残っていたが、クイックステップは前に2人を送り込んでなお、ジルベール、ゼネク・スティバル(チェコ)、フロリアン・セネシャル(フランス)の3人を残しており、非常に有利な状況を築いていた。

 先頭集団では残り61.9km地点のエイケンベルグ(石畳・全長1.2km・平均勾配5.5%・最大勾配11%)で、ランパールトとテルプストラがゴダンとリヒハルトを振り切って、クイックステップの2人が先行する展開となった。後続集団とのタイム差は50秒程度まで開いていた。

先行するニキ・テルプストラ(右)とイヴ・ランパールト(左) Photo : Yuzuru SUNADA

 追走集団からはヴァンアーヴェルマート、ベノートが飛び出し、抑え役としてジルベールがチェックする形で3人が集団から抜け出した。

 残されたサガンたちには、後ろから大人数の集団が追いついてきて再び40人ほどの集団となった。ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)、ジャンニ・モスコン(イタリア、チーム スカイ)や、落車の影響で遅れていたヴァンマルク、ナーセンら有力選手の多くが集団復帰を果たした。

72km逃げたテルプストラが独走勝利

 残り41.6km地点の難所パテルベルグ(石畳・全長700m・平均勾配12%・最大勾配20%)では、サガンが集団から遅れてしまう。この日はこのままグルペットでフィニッシュし、間近に迫った今後の重要なワンデークラシックに向けて不安を残す結果となった。

 残り38.8km地点のオウデ・クワレモント(石畳・全長2.2km・平均勾配4.2%・最大勾配11%)の勝負どころを迎えると、先頭を走るランパールトに上りで苦しむ様子が見られた。テルプストラはランパールトのペースに合わせながら、2人で難所をクリアしていく。後続集団とのタイム差はまだ50秒程度のリードを保っていた。

不発に終わったペテル・サガンは、次週のツール・デ・フランドルに向けて巻き返しなるか注目だ Photo : Yuzuru SUNADA

 しかし、上りを迎えるとランパールトが遅れる状況が続き、後続集団とのタイム差も35秒と徐々に縮まっていた。残り24km地点付近の平坦の石畳区間に入ると、遅れたランパールトを待たずにテルプストラが独走となった。

 一方、ナーセン、ストゥイヴェンらを含む後続集団は、オウデ・クワレモントを越えると8人まで人数を減らしていた。ナーセン、ストゥイヴェン、ヴァンマルク、モスコン、マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)と強力な選手に加え、シュテファン・キュング(スイス)、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー)らBMCレーシングチーム勢と、クイックステップのスティバルが残っていた。

 ナーセンらは、勝負できる位置に行くためにやむを得ず、先行するテルプストラやヴァンアーヴェルマートのアシストを引き連れる格好になっていた。

後手に回ったグレッグ・ヴァンアーヴェルマートは、それでも積極的に追走を仕掛ける姿勢を見せていた Photo : Yuzuru SUNADA

 残り30kmを切ったところで、後続集団は先頭を追っていたヴァンアーヴェルマート、ベノート、ジルベールを吸収した。BMCレーシングにとってはアシスト2人を使って、追撃体制を整えることはできた。しかし2人のクイックステップ勢、ジルベールとスティバルとが抑え役として非常に効果的な働きをすることとなった。

 ジルベールとスティバルは交代しながら、スムーズなローテーションを妨害。人数で勝る集団ではあるが、独走するテルプストラとのタイム差は30秒をなかなか切ることができなかった。

 残り10kmを切ると、ようやくテルプストラとのタイム差が減少傾向となった。残り6km地点で20秒程度まで縮まると、集団ではアタックが頻発。ルーランズ、トレンティン、ストゥイヴェン、ヴァンアーヴェルマート、ベノートが代わる代わるアタックするも、ジルベールとスティバルが全てのアタックを潰した。

ワールドツアーでの勝利は2016年エネコツアー(現ビンクバンクツアー)総合優勝以来となったニキ・テルプストラ Photo : Yuzuru SUNADA

 加えて、200km以上走ってきた選手たちは疲労も蓄積しており、繰り出されるアタックのキレは今ひとつだった。ジルベールとスティバルの抑えと、有力選手同士の牽制も相まって、テルプストラとのタイム差は20秒前後で推移した。

 残り1km地点では、両者のタイム差が25秒に開いたところで勝負あり。テルプストラは独走で逃げ切って勝利を飾った。

 テルプストラは2014年はパリ〜ルーベで独走勝利をあげているように、高い独走力を持つベテランクラシックスペシャリストだ。今季はル・サミン(UCIヨーロッパツアー1.1)で勝利している。その勝利を皮切りに、チームはベルギーのワンデーレースで連戦連勝を飾っており、E3ハーレルベーケで破竹の6連勝となった。

 ステージ2位にはジルベールが入り、クイックステップはワンツーフィニッシュを決めた。レース中盤から完全にレースを掌握し、鉄壁のチームワークを見せたクイックステップの完勝だった。

レコードバンク・E3ハーレルベーケ レース結果
1 ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ) 5時間03分34秒
2 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +20秒
3 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
4 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
5 ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)
6 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
7 セプ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
8 ジャンニ・モスコン(イタリア、チーム スカイ)
9 ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)
10 シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシングチーム)

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