サイクリスト

「ノッてる!ガールズEHIME」の湯けむりサイクリング<前編>実は意外と近かった!別府~道後 フェリー&自転車で行く、のんびりよくばり温泉めぐり

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
  • 一覧

 サイクリングのベストシーズンが到来。一カ月後にはゴールデンウィークも控えたこの時期、そろそろ旅の計画を…と考えている人も少なくないはず。せっかく旅をするならサイクリングだけでなくグルメも絶景も、そして温泉も満喫したい!そんな欲張りサイクリストに、愛媛からとっておきの自転車旅情報が届きました。「しまなみ海道」で知られる愛媛ですが、今回は西へと足を伸ばし、大分・別府と合体。自転車とフェリーを使って別府温泉~松山・道後温泉を堪能する、ちょっとスケール大きめの温泉めぐりを前後編でご紹介します。

大分・別府市の十文字原展望台からの眺望に言葉を失う3人。市街を包む雲海は“地獄”からの湯けむりか ©愛媛県

初日は「地獄めぐり」サイクリング

 しまなみ海道と日本最古の温泉「道後温泉」を有する愛媛県では、“湯めぐりサイクル”と称して「自転車×温泉」の旅を紹介するウェブサイト「ゆックル」を立ち上げるなど、新しいスタイルの自転車観光を提案している。

別府の“地獄めぐりサイクリング”に出発! 早速温泉の湯煙の洗礼を受けるロードバイク ©愛媛県

 そんな愛媛が“温泉”というキーワードでつないだ新たなエリアは、海を隔てた別府温泉。日本一の湧出量を誇る温泉地帯で、情緒あふれる温泉街の独特な雰囲気も人気の観光スポットだ。

 海を隔てるというと少しハードルが高いように思えるが、別府港と愛媛の八幡浜間を往来するフェリーを使うと2時間50分で渡れてしまう距離。短すぎず、長すぎない乗船時間は船旅感もしっかり味わうことができる、なんとも素敵な“間柄”なのだ。

「ノッてる!ガールズEHIME」の橋本真奈美さん(写真左)と上野りかさん。自転車が好きな2人は好奇心も食欲も旺盛! ©愛媛県

 そんな、ちょっとスケールの大きい“温泉めぐり”に愛媛の自転車好き女子ユニット「ノッてる!ガールズEHIME」の橋本真奈美さんと上野りかさんが『Cyclist』の女性記者をエスコートしてくれた。初日は別府の観光コースとして名高い「地獄めぐり」サイクリングをし、2日目にフェリーで愛媛に渡り、サイクリングしながら松山の道後温泉を目指す旅がスタートした。

‟地獄”の湯気で蒸しあげる絶品プリン

 別府でいう「地獄」とは、温泉噴出口のこと。別府温泉に多数存在する泉質や色が異なる自然湧出の源泉をそれぞれ「地獄」と呼び、観光バスなどで周遊する定番コースになっている。コンパクトなエリアにまとまっているが、温泉地=火山エリアとあってアップダウンが豊富なエリアでもあるため、自転車で巡る場合はその順番も大切なポイントとなる。

最も標高の高い温泉地、明礬温泉へ。藁吹屋根の「湯の花小屋」を横目に走る。道のところどころから噴出す湯気に“地獄”感が漂う ©愛媛県

 まず3人が目指すのは、脚がフレッシュなうちに上っておきたい「十文字原展望台」。別府市街地から10kmほどで460mほど上るヒルクライムだ。序盤からなかなかきついヒルクライムだが、ここを敢えて上るには理由がある。それは“地獄のスイーツ”こと「地獄蒸しプリン」を食べるため!

名物「地獄蒸しプリン」の元祖として知られる岡本屋 ©愛媛県

 市内にある8つの代表的温泉地を意味する「別府八湯」の中で、最も標高の高い場所に位置する明礬(みょうばん)温泉には、地下から噴き出す100℃以上の熱い噴気で一気に蒸しあげた名物「地獄蒸しプリン」がある。その元祖と言われている老舗「岡本屋」がヒルクライムの途中にある。

地下から噴き出す100℃以上の熱噴気で一気に蒸しあげられる“地獄製法” ©愛媛県

 手作りで、保存料を一切使わず温泉の恵みが凝縮された地獄蒸しプリンは、苦味が効いたカラメルと濃厚な味わいがくせになる逸品。1日最大600個を売ることもある大人気商品だ。

 カスタード味の他に、コーヒープリンやプリンパフェなどもあり、ヒルクライムのちょとした補給やご褒美にも最適。プリンのサイズは小ぶりなので、スイーツ好きなら3個はいけるかも?

柔らかいながらもしっかりとしたコシのあるプリン。1つ260円。テイクアウトもできる ©愛媛県
苦みの効いた自家製カラメルのバランスが絶妙。甘いものが苦手な人もご満悦 ©愛媛県
別府市街地を一望できる十文字原展望台に到着。登頂記念で皆で「十」の文字! ©愛媛県

 小腹を満たし、残り3kmをもうひとふんばり。広々とした草原地帯が広がってきたところで十文字原(じゅうもんじばる)展望台に到着。ここは別府市街地をはじめ、大分市、日出町、国東半島、遠くは四国まで一望できるビュースポットだそう。

 しかし、上ったこの日は、まるで‟地獄”から噴き出た湯けむりが、そのまま街全体を包み込んでいるような幻想的な雲海が広がっていた。雨が降った翌日、気温の急上昇によって生じたものだそうで、運が良ければこんなご褒美にも出会えるかもしれない。

ヒルクライムのご褒美は一面に広がる雲海。雲がなければ別府湾の向こうに愛媛県の佐多岬が見える ©愛媛県

地獄ってこんなにたくさんあるの?

 十文字原展望台をあとにし、10kmほどダウンヒルしたところで、‟地獄めぐり”がスタート。まず1つめは「血の池地獄」。日本で最古の‟天然地獄”とされるこの地獄は、一言でいうと「赤い熱泥(ねつでい)の池」。地下の高温よって自然に化学反応を起こし生じた酸化鉄や酸化マグネシウム等を含んだ赤い熱泥が地層からぐつぐつと噴出し、堆積しているのだそう。池一面が赤く染まり、まるで沸きあがる湯気の向こうに閻魔大王が現れそうな雰囲気を醸し出している。

いよいよ“地獄めぐり”がスタート。まずは「血の池地獄」の地獄門 ©愛媛県
「なんでこんな色になるのー?」と興味津々 ©愛媛県

 2つめは血の池地獄からほど近い「竜巻地獄」。別府市の天然記念物にも指定される間欠泉で、30分に一度豪快に噴き出す105℃の熱水は、屋根がなければ約30mほどの高さまで噴き出す力があるのだそう。そしてここの売店で名産の柑橘、ザボンの皮に砂糖にまぶした「ザボン漬け」を購入。大分県では全市町村で「一村一品運動」という地域振興が実施されており、そこでしか味わえない名物が「一品」になっている。ぜひお土産、または補給食として味わってみてほしい。

湯気とともに豪快に吹き上げる間欠泉の迫力に圧倒される ©愛媛県
ここでの“一品”、名産のザボンの皮を砂糖に漬けた「ザボン漬け」をゲット ©愛媛県

 3つめは別府の地獄のなかでも最大の「海地獄」。血の池地獄とうってかわって、コバルトブルーの池は「地獄」と呼ぶのがふさわしくないほどの美しさ。温泉中の成分である硫酸鉄が溶解しているためだそうで、「そんなに熱くないのかな」などと思ってしまうが、98℃の熱湯だそうなのでご注意を。

別府の地獄のなかでも最大の「海地獄」 ©愛媛県
コバルトブルーの温泉で温泉卵も料理(?)中 ©愛媛県
天然温泉の高熱噴気を利用して蒸している「極楽饅頭」。小ぶりで食べやすく、何個でもいけそう ©愛媛県

 海地獄を訪れたら堪能したいのが、天然温泉の高熱噴気を利用して蒸している「極楽饅頭」。地獄で極楽というなんとも正反対なネーミングだが、これが程よい甘さで、しかも一口サイズなのでつい手が伸びて何個でもいけてしまう。観光バスと違い、自転車なのでここでも漕ぐためのエネルギーをしっかり補給しよう。ちなみに血の池地獄と海地獄には無料の足湯がある。少し足を浸すだけでも疲れがとれるのでぜひ利用してみてほしい。

 この他に紹介した以外にも、白池地獄や鬼石坊主地獄等あと4つの地獄が存在する。それぞれ個性的な地獄なので、時間があればぜひ全地獄をコンプリートしてみることをおすすめする。

疲れを癒す優しい“地獄”

 今日のゴールは別府八湯の一つ、鉄輪(かんなわ)温泉郷。別府の源泉の大半が集中しているエリアで、「地獄めぐり」のエリアもここ鉄輪温泉に含まれる。湯治場の面影を濃く残すレトロな町並みと、道端や家のあちこちから漂う湯けむりに温泉街の歴史と旅情が漂う。

湯気が立ち込める温泉街、鉄輪温泉 ©愛媛県
湯治場の面影を濃く残したレトロな町並み ©愛媛県

 今宵のお宿は「サリーガーデンの宿 湯治 柳屋」。明治時代から続く伝統を受け継ぎつつモダンな息吹を吹き込んだ、古き良き宿だ。

今夜の宿「サリーガーデンの宿 湯治柳屋」に到着 ©愛媛県
宿内に設けられた温泉の噴気を使った「地獄蒸し釜」 ©愛媛県

 この宿の特徴は、肌あたりがまろやかな源泉かけ流しのお湯。少し塩味がある泉質は「べっぴんの湯」ともいわれ、湯ざめしにくい泉質はサイクリングで程よく疲れた体をじんわりとほぐしてくれる。

 そして温泉とともに堪能できるのが「地獄蒸し料理」。温泉の蒸気が噴出している場所を掘り、その上に藁のむしろを敷き、芋や米などを並べて蒸す料理のことで、鉄輪温泉でないと味わえない料理だ。

その名に似合わず「ヘルシー、楽しい、おいしい」と女性に人気の「地獄蒸し」 ©愛媛県
朝食はかわいく蒸された点心。朝からほっこり気分 ©愛媛県

 別府温泉の温泉パワーを楽しみ、堪能したところで、次に目指すは日本最古の温泉といわれる愛媛・松山の道後温泉。次回は別府港からフェリーに乗り、道後温泉に到着するまでの見どころ、お楽しみスポットを紹介する。

関連記事

この記事のタグ

サイクリング 大分県 愛媛県

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

             

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載