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栗村修の“輪”生相談<123>50代男性「長距離ウォーカーからサイクリストに転身した際のメリットとデメリットは?」

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 元長距離ウォーキングをしていました。

 ツーデーマーチやスリーデーマーチなどのイベントに参加し、1日40〜50km歩き、普段の週末も20km前後を歩いていました。

 最近、クロスバイクですが自転車に乗り始め、いずれロードバイクも買ってみようかと思っております。

 そこで質問なのですが、元ウォーカーがサイクリストに転身したときの、メリットとデメリットがあれば教えていただけますでしょうか。

(50代男性)

 たまにいただく他競技からの転向に関するご質問ですが、長距離ウォーキングとは新しいですね。僕は知りませんでしたが、1日40〜50kmも歩くんですか。凄いですね。

 メリット・デメリットに触れる前に、自転車競技(ファンライドも含む)との違いを確認しましょうか。一番の違いは、「きつさ」つまり運動強度です。走り方にもよるのですが、運動強度は自転車のほうが高いことが多いでしょう。独りでのんびりサイクリングをするぶんには大した強度ではありませんが、スピードを上げたり(インターバルがかかったり)、坂を上ったり、向かい風が吹いたりすると、ウォーキングでは到達しない領域まで、簡単に運動強度は上がります。

 また、ウォーキングと自転車競技の大きな違いのひとつに、「他人のペースで走る」という要素があります。自転車という乗り物は、ひとの後ろにつくと空気抵抗が軽減されるという特徴がありますので、なるべく他人のペース走ること(集団に留まること)が要求されます。ロードレースなどで、集団から千切れた瞬間に事実上の終了を宣告されるのはこのためです。

 ですから、「マイペースが正義」のウォーキングと、「他人のペースをいかにうまく活用できるかが重要」な自転車競技とでは、同じ長距離種目でも、要求される能力に大きな違いが生じるわけです。

ウォーキングからサイクリングへの転向はいかに? Photo: iStock.com/rdegrie

 さて、ではウォーカーがサイクリストに転向したときのメリット・デメリットについて考察していきます。まず、自転車に転身した際の体の変化についてですが、今僕がお伝えしたように、基本的に自転車のほうがインターバルがかかってキツイですから、有酸素・無酸素の運動能力や体幹、臀部、脚などを中心とした筋力などは、ウォーキングよりも鍛えられるはずです。これは、ウォーカーのウィークポイントという見方もできますが、逆に、これまでと違った体づくりができるという点ではメリットともいえるでしょう。それから、同じ時間運動するのでも、自転車のほうが速いですから遠くに行けます。これも活動範囲が広がるという意味ではメリットですね。

 しかし、今述べたメリットはデメリットと裏腹の関係にあります。きついということは、体への負担が増えるということでもあります。50代というご年齢を考えると、無理はできません。

 実はここが自転車の難しいところなんですが、自転車って、意識しないうちに強度が上がってしまうスポーツなんですよ。ウォーキングなら、「いつの間にか走り出していた(ランニングになってしまっていた)ので強度が上がってしまった」ということはまずありませんよね。ウォーキングとランニングには明確な違いがありますし、本人もその違いをしっかりと自覚しコントロールできるはずです。

 でも自転車は、上でお伝えしたように、他人についていくことや、風、峠といった外的要因によって、いわば無理やり強度が上がってしまう(ウォーキングしてはずが気がついたらランニングやダッシュに変わっていた…)のです。それを避けるためには心拍計などの指標を活用して、頑張りすぎていないかを客観的にウォッチングしたほうがいいでしょう。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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