地元イタリア人の勝利は12年ぶりニーバリがラスト7km独走でミラノ〜サンレモ初制覇 初山翔が250km逃げ存在感

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 サイクルロードレースに春を告げる伝統の一戦「ミラノ〜サンレモ」(UCIワールドツアー第8戦)が3月17日、イタリアで294kmで争われ、最後の峠・ポッジオの上りで独走に持ち込んだヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が逃げ切り、同レース初勝利を飾った。地元イタリア人としては2006年のフィリッポ・ポッツァート以来12年ぶりの勝利。日本人で唯一参戦した初山翔(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)は、スタート直後から250km以上にわたって逃げに乗り、存在感を示した。

独走逃げ切り勝利を飾ったヴィンチェンツォ・ニーバリ Photo : Yuzuru SUNADA

初山が逃げで存在感を示す

 イタリア語で”春”を意味する「ラ・プリマヴェーラ」という別名を持つミラノ〜サンレモ。「モニュメント」(5大クラシックレース)の一つであり、その歴史と権威はワンデーレースの頂点に位置する。今年で109回目の開催を迎えた。

 スプリンター向けのクラシックレースといわれているが、残り27km地点から始まるチプレッサ、残り9km地点から始まるポッジオの2つの上りが、それまで300km弱走行してきた選手たちの脚を容赦なく削り取る。このため必ずしもスプリンターが勝つとは限らず、番狂わせも頻繁に起きるレースだ。

 この日の天気ははあいにくの雨。レース開始直後に、初山を含む9人の逃げが決まった。

9人の逃げに乗った初山翔。逃げから脱落するまで255kmにわたって逃げ続けた Photo : Yuzuru SUNADA

 メイン集団はボーラ・ハンスグローエ、チーム スカイらが牽引。逃げ集団とのタイム差を最大6分30秒程度にコントロールし、平均時速は約40kmでレースは進行した。

 残り40km地点付近のカーポ・ベルタの上りに差し掛かると、逃げとメイン集団の差は30秒まで縮まっていた。この上りで、初山が逃げ集団から脱落。およそ255kmにわたって、NIPPOのジャージを世界放送に映し続け、存在感を発揮していた。

 9人いた逃げ集団は4人にまで減少。メイン集団は、勝負どころの一つであるチプレッサの上りに向けてスピードを上げており、残り30km地点ですべての逃げを吸収した。

カヴェンディッシュが3戦連続落車リタイア

 チプレッサの上りは、ミッチェルトン・スコットが先頭で突入。登坂距離5.65km・平均勾配4.1%・最大勾配9%と、プロ選手にとってみれば大した上りではないが、すでに270km近く走ってきたスプリンターにとっては決して楽ではない。マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)が集団から脱落する姿が見られた。

美しいロケーションの海岸線沿いを走る集団 Photo : Yuzuru SUNADA

 集団の先頭はグルパマ・エフデジが陣取り、リトアニアチャンピオンのイグナタス・コノヴァロヴァスが牽引していた。昨年の王者ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)擁するチーム スカイも集団前方に上がってくると、ディラン・ファンバーレ(オランダ)が先頭に立ちペースアップする。

 だが、2番手につけていたクウィアトコウスキーは動かないまま、再びグルパマ・エフデジが先頭に立ち、そのまま山頂を通過した。

集団内を走行するミカル・クウィアトコウスキー Photo : Yuzuru SUNADA

 次のポッジオの上りに向けて、優勝を狙うチームが集団前方で激しく位置争いをするなか、チーム スカイは集団後方に位置を下げていった。

 すると、ポッジオの上りの手前で集団落車が発生した。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)が中央分離帯に衝突し、前方宙返りしながら地面に叩きつけられ、さらに後続選手に追突された。カヴェンディッシュはレースに復帰できず、これで3戦連続で、落車を原因とするリタイアに見舞われた。幸いなことに、深刻なけがはなかった

ポッジオでニーバリが独走に持ち込む

 落車の混乱を避けた集団前方の選手たちは、いよいよポッジオの上りに到達。すると、マークス・ブルグハート(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がアタックを仕掛けた。集団からはジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシングチーム)がブリッジすると、その勢いのままブルグハートを置き去りにして独走に持ち込んだ。

 集団から5秒ほどのリードを築いて逃げるドリュケール。一方集団では、ソニー・コルブレッリ(イタリア)を擁するバーレーン・メリダが先頭に立ち、じわじわとドリュケールとの差を縮めていた。

 残り7.2km地点、集団からクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエルサイクリングアカデミー)の飛び出しに、ニーバリがチェックに入る。2人はドリュケールをかわして、集団からあっという間に大きな差を開いていくと、残り6.5km地点でニーバリがニーランズを振り切って独走に持ち込んだ。

クリスト・ニーランズを振り切って、独走に持ち込んだヴィンチェンツォ・ニーバリ Photo : Yuzuru SUNADA

 集団では、クウィアトコウスキーがアタックを仕掛けるシーンも見られるが、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム・サンウェブ)といったエース級の選手が集団前方を固めており、アシスト選手を使った組織的な追走体勢が整わない。

 ニーバリが先頭で山頂を通過すると、ボーラ・ハンスグローエのダニエル・オス(イタリア)が牽引するメイン集団とは10秒程度の差が開いてた。

 フィニッシュまで残り4kmのダウンヒルの最中に、集団からマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)がアタックを仕掛けた。サガン自らトレンティンを追うも、トレンティンはサガンらを振り切って独走で先頭のニーバリを追いかける格好となった。

イタリアに12年ぶりの歓喜をもたらす

 ダウンヒルを終えた残り2km地点で、ニーバリと集団との差は9秒。集団も平地に入ったことで、ようやくアシストを前に出して追撃体制の整えた。メイン集団のペースが上がり、残り1.3km地点でまずトレンティンを吸収。残り1kmのゲートをくぐったところで、ニーバリとのタイム差は7秒程度だった。

 クイックステップフロアーズが先頭の集団が猛然と迫りくるなか、ニーバリはただひたすらにペダルを回していた。

 残り200mで集団はエーススプリンターたちがそれぞれスプリントを開始。だが、ニーバリは逃げ切りを確信し、ガッツポーズしながらフィニッシュラインを越えた。独走での逃げ切り勝利は2008年のファビアン・カンチェラーラ(スイス)以来10年ぶりだ。

最後は後方を確認し、勝利を確信しながらガッツポーズでフィニッシュしたヴィンチェンツォ・ニーバリ Photo : Yuzuru SUNADA

 そしてイタリア人がミラノ〜サンレモを制したのは12年ぶり。地元ファンが待ち望んだ久々のイタリア人による勝利を、グランツール(3大ステージレース)全制覇の経験を持つイタリアの英雄が成し遂げた。フィニッシュ地点は「ニーバリ」「ヴィンチェンツォ」コールが鳴り止まなかった。

 またニーバリは昨年、クライマークラシックと呼ばれるイル・ロンバルディアで勝利しており、年をまたいでクライマー向け・スプリンター向けの両クラシックを制覇する快挙を演じた。これは1991〜1992年にかけてのショーン・ケリー(アイルランド)以来26年ぶりで、快挙づくしの勝利となった。

左から2位のカレブ・ユアン、優勝したヴィンチェンツォ・ニーバリ、3位のアルノー・デマール Photo : Yuzuru SUNADA

 集団はあと一歩でニーバリを捕まえることができず、同タイムの2位にカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、3位には2016年大会の勝者であるアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)が入った。逃げ続けた初山も、15分03秒遅れの150位で完走を果たした。

ミラノ〜サンレモ レース結果
1 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 7時間18分43秒
2 カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +0秒
3 アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)
4 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)
5 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシングチーム)
6 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
7 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)
8 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナプロチーム)
9 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
10 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
150 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) +15分03秒

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