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御神火ライド2018

パリ〜ニース2018 第8ステージ雨の混戦、わずか4秒差でソレルが逆転総合優勝 デラクルスが2年連続最終ステージ勝利

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 フランスで開催されたパリ〜ニースは3月11日、最終の第8ステージがニース近郊を周回する110kmのコースで争われ、3人のグループで逃げ切ったマルク・ソレル(スペイン、モビスターチーム)が4秒差で逆転総合優勝を飾った。ステージ優勝は昨年の最終ステージに引き続きダビ・デラクルス(スペイン、チーム スカイ)が2年連続の勝利をあげた。マイヨジョーヌを着用していたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)は、終盤にアシストを失った状況で苦戦を強いられ、ソレルから35秒遅れのステージ6位となり惜しくも総合優勝を逃した。

逃げ切りで逆転総合優勝を飾ったマルク・ソレル Photo : Yuzuru SUNADA

デヘントが山岳賞を確定

 パリ〜ニースの最終ステージは、毎年恒例のニースをスタートし、近郊を回って再びニースに戻りフィニッシュする。110kmと短いコースに、カテゴリー山岳が6つも組み込まれ、絶え間なくアップダウンをこなすこととなり、毎年のようにドラマチックな展開が繰り広げられていた。

大雨のなか多くの選手がレインジャケットを着用するメイン集団 Photo : Yuzuru SUNADA

 大雨が降る悪天候のなか、最初の平坦区間は集団が一つのまま進んでいった。2級山岳ルヴァン峠の上りに入ると、デラクルス、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナプロチーム)、オマール・フライレ(スペイン、アスタナプロチーム)、トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)といった強力な選手が逃げを試みた。

 山岳賞ジャージを着用するトマス・デヘント(ベルギー)を擁するロット・スーダルとしては、逆転の可能性のあるガロパンを逃がすわけにはいかないため集団をハイスピードで牽引し、逃げを吸収。山岳ポイントはデヘントが先頭通過を果たした。デヘントはこの後に登場する2級山岳を4位で通過し、山岳賞ジャージを確定させた。

 ルヴァン峠の山頂から3.5km先に設定されている中間スプリントポイントではボーナスタイム獲得を狙って総合系選手が積極的に動いた。

 11秒遅れの総合3位のゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)が1位通過を果たし、2位には12秒遅れで総合4位のティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)、3位には総合1位のサイモン・イェーツという順位だった。

 一連の動きにより、ハイペースで進む集団から脱落する選手が続出。メイン集団は早くも24人まで絞り込まれていた。総合上位の選手は残っていたものの、アシストの大半を失っている状況だった。

 するとメイン集団から、フルサング、フライレと、1分48秒遅れで総合9位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が飛び出して3人の逃げグループを形成し、50秒ほどのリードを築いた。

 しかしシャトーヌフ峠からのダウンヒルで、フルサングが落車してしまう。目立ったけがはなかったようだが、逃げからは脱落しメイン集団へと戻った。

 ダウンヒル巧者のフライレとアラフィリップは、メイン集団に対して最大1分10秒ほどのリードを持って、残り59km地点の2級山岳を通過して、いよいよ勝負どころである1級山岳ペイユ峠の麓に到達した。

1級山岳でソレルとデラクルスが先行

 登坂距離6.6km・平均勾配6.8%の厳しい上りに差し掛かると、先頭からアラフィリップが遅れてしまう。

 残り47km地点で、デラクルスがアタック。37秒遅れで総合6位のソレルと11秒遅れで総合2位のヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)がチェックするも、ヨンはデラクルスとソレルのハイペースについていけずにメイン集団に戻った。

 1級山岳ペイユ峠の山頂にたどり着く頃に、先頭のフライレに、ソレルとデラクルスが合流した。メイン集団に対して1分20秒のリードを築き、ソレルはバーチャルリーダーとなった。

トンネルを抜ける集団 Photo : Yuzuru SUNADA

 ミッチェルトン・スコットはマッテオ・トレンティン(イタリア)、バーレーン・メリダはアントニオ・ニーバリ(イタリア)しかアシストを残せていなかっため、推進力に乏しいメイン集団は逃げとのタイム差をなかなか縮めることができない。

 1分前後のタイム差で推移しながら1級山岳エズ峠を越えて、残り14.5km地点から始まる最後の2級山岳へとたどり着いた。登坂距離5.5km・平均勾配5.5%ながらも、ここまでハイペースでレースを展開してきた選手にとって、十分パンチ力のある上りだ。

 メイン集団からは、ずっと先頭を引いていたトレンティンが脱落。イェーツのアシストが一人もいなくなったタイミングで、ヨンがアタックを敢行した。

 イェーツ自ら追走を余儀なくされるが、ヨンとの差を詰めることができない。イェーツに脚がないと判断したウェレンスが、アタックを仕掛けると、イェーツは遅れを喫してしまった。それでもイェーツは大崩れすることはなく、自分のペースで上っていく。

 ゴルカ、総合5位のディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)、リカルド・カラパス(エクアドル、モビスターチーム)が反応し、ウェレンスとともにヨンに合流。抑え役のカラパスを除いた4人で先頭との差を縮めていった。

 その先頭ではデラクルスが断続的にアタックを仕掛けて独走に持ち込んだ。しかし、ソレルは粘りの走りを見せ、山頂付近でデラクルスに追いつき、その後の下りでフライレも追いついてきた。

 イサギレ兄弟の追走集団は先頭から47秒遅れ、イェーツは1分以上遅れて山頂を越えた。

イサギレ兄弟の落車で追走が失速

 先頭を追うイサギレ兄弟らの追走集団。しかしウェットでスリッピーな路面のダウンヒルを慎重かつアグレッシブに攻めるなかで、弟のヨンがコーナーで落車してしまった。背後を走っていた兄のゴルカも巻き込んでしまい、痛恨のタイムロスとなった。

 イサギレ兄弟は、遅れていたイェーツと合流し、兄弟での表彰台を守るために、積極的に集団を引いて前との差を詰めていった。逆にイサギレ兄弟を失ったウェレンスとトゥーンスはペースダウン。

 結局、イサギレ兄弟とイェーツの集団はウェレンスたちに追いついて、再び1つの集団となった。

 残り2km地点で、先頭とのタイム差は45秒。仮にソレルがステージ3位になると、ボーナスタイム4秒を考慮して、イェーツは31秒以内にフィニッシュしないと総合優勝できない。イサギレ兄弟は20秒以内までタイム差を縮めたいところだ。

 先頭の3人は、1秒でも早くフィニッシュしたいソレルが前を引き、ステージ優勝狙いのデラクルスとフライレはお互いに牽制しあう状況だった。1人で引くソレルと、総合優勝や表彰台に向けて全開で引くマイヨジョーヌ集団。人数に勝る後続集団の方が有利かと思われたが、ソレルは粘りに粘った。

 残り1.1km地点で、タイム差は40秒。実質的に9秒のリードをもって、フラムルージュをくぐり抜けた。

2年連続ステージ優勝を飾ったデラクルス(左)。昨年もスペイン人3人(ソレルとコンタドール)で逃げ切っての勝利だった Photo : Yuzuru SUNADA

 ステージ優勝を狙うフライレが先にスプリントを開始。しかし、デラクルスより長い時間逃げていたフライレはスピードに乗り切れない。残り50mで横に並んだデラクルスが、フィニッシュラインぎりぎりで差し切ってステージ優勝を飾った。昨年の最終ステージに続き2年連続の勝利となった。

 ソレルは2人から3秒遅れてフィニッシュ。振り返ると、イェーツの集団は最終ストレートに差し掛かっていた。

 ゴルカ、ウェレンスが牽引するなか、フィニッシュへ到達。タイム差は38秒で、この瞬間ソレルの逆転総合優勝が決まった。その差はわずか4秒だ。3年連続で総合1位と2位のタイム差が4秒以内という超接戦となった。

左から山岳賞のデヘント、総合2位のサイモン・イェーツ、総合優勝と新人賞のソレル、総合3位のゴルカ・イサギレ、ポイント賞のウェレンス、ステージ優勝のデラクルス Photo : Yuzuru SUNADA

 ソレルにとってこれがワールドツアー初勝利。2015年のツール・ド・ラヴニール総合優勝した若手の超有望株がいよいよ本領を発揮した。アルベルト・コンタドールが引退したいま、スペイン自転車界の次代を担うスター選手への一歩を踏み出した。

 終盤はアシストを失い苦戦を強いられたイェーツは、うなだれるようにフィニッシュした。イサギレ兄弟も落車さえなければ、先頭を捉えていたかもしれず、ヨンも首を振りながらのフィニッシュする姿があった。

第8ステージ結果
1 ダビ・デラクルス(スペイン、チーム スカイ) 2時間53分06秒
2 オマール・フライレ(スペイン、アスタナプロチーム) +0秒
3 マルク・ソレル(スペイン、モビスターチーム) +3秒
4 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +38秒
5 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
6 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)
7 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)
8 リカルド・カラパス(エクアドル、モビスターチーム)
9 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
10 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)

個人総合
1 マルク・ソレル(スペイン、モビスターチーム) 30時間22分41秒
2 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +4秒
3 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +14秒
4 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +16秒
5 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
6 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム) +32秒
7 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +44秒
8 アレクシー・ヴィエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +1分54秒
9 ダビ・デラクルス(スペイン、チーム スカイ) +2分15秒
10 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +2分35秒

ポイント賞
1 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 37pts
2 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 31pts
3 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 28pts

山岳賞
1 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 69pts
2 オマール・フライレ(スペイン、アスタナプロチーム) 37pts
3 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 21pts

ヤングライダー賞
1 マルク・ソレル(スペイン、モビスターチーム) 30時間22分41秒
2 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +2分35秒
3 リカルド・カラパス(エクアドル、モビスターチーム) +3分47秒

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