パリ〜ニース2018 第7ステージ山頂ゴールをサイモン・イェーツが制し総合首位に サンチェスは上りで大失速

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 フランスで開催中のパリ〜ニース第7ステージは3月10日、ニースからヴァルドゥブロール・ラ・コルミアーヌまでの175kmで争われ、サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が1級山頂ゴールのクイーンステージを制し、総合でも首位を奪取した。前日までリーダージャージを着ていたルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナプロチーム)は4分22秒遅れのステージ26位と大失速、総合17位へと転落した。

クイーンステージで勝利し、雄叫びを上げながらフィニッシュするサイモン・イェーツ Photo : Yuzuru SUNADA

“逃げ屋”デヘントが本領発揮

 この日のゴールとなるヴァルドゥブロール・ラ・コルミアーヌは、登坂距離16.3km・平均勾配6.2%と、グランツールでは超級山岳クラスの難易度の高い上りだ。この他にも途中1級山岳が1つ、2級山岳が3つ設定されている厳しいコース。総合優勝をめぐって、クライマー同士の山岳バトルが繰り広げられると予想されていた。

 クイーンステージを迎えたことと、悪天候も重なり、レースをリタイアする選手が続出した。ポイント賞ジャージを着用するアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)はスタート前にリタイアを決めた。自身2度目の勝利を狙うミラノ〜サンレモに備えてとのことだ。

 レース開始後には、昨年総合3位のダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ)やアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチーム・エミレーツ)も体調不良を引きずっていたこともありバイクを降りた。この日だけで計17人がリタイアとなった。

世界屈指の逃げのスペシャリストであるトマス・デヘント。大量のポイントを獲得して、山岳賞ジャージを獲得した Photo : Yuzuru SUNADA

 この日の逃げは8人。メンバーは、トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシングチーム)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシングチーム)、トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)、ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)、アマエル・モワナール(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)など非常に強力なメンバーが揃った。最大2分30秒程度のリードを築いて、レースは進行した。

 道中4つのカテゴリー山岳では、山岳賞ランキングで2位につけるデヘントが全て1位通過し、この日だけで31ポイントの大量得点を獲得。計60ポイントとし、ゴール後の山岳賞ジャージを確定させた。

デマルキが崖下に転落するも無事

 逃げグループでは残り29km地点、ダウンヒルのコーナーでデマルキとパンタノが落車のアクシデントが発生。デマルキはガードレールを乗り越えて、崖下に転落してしまった。乗っていたバイクのサドルが吹き飛んでいる様子から、かなり衝撃があったようだ。

 崖下から救出されると、自力で立ち上がり歩行する姿が見られた。幸いなことに大きなけがはなく、再びバイクに乗ってステージを完走する鉄人ぶりを見せていた。

ぽつぽつと雨が降るなかを走行するプロトン一行 Photo : Yuzuru SUNADA

 レースも終盤。山岳ポイントを十分に稼いだデヘントが集団に戻るなど、逃げ集団は人数を減らし、ガロパン、ロッシュ、モワナールの3人となった。そして、いよいよ最後の1級山岳に到達。上りに入ると、まもなくモワナールとロッシュが脱落し、逃げはガロパン1人になった。

 30秒後方に迫るメイン集団ではバーレーン・メリダとアスタナがコントロールを開始。すると総合9位のエステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)がたまらず遅れてしまった。

 単独で逃げるガロパンを吸収しながら、しばらくの間はアントニオ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、オマール・フライレ(スペイン、アスタナプロチーム)、ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナプロチーム)が代わる代わる集団を牽引して、各チームのエースたちに大きな動きはなく、集団も40人ほど人数を残していた。

総合首位のサンチェスが失速

 アントニオ・ニーバリ、ヴァルグレンが仕事を終えて集団から離れると、残り6.4km地点、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ミッチェルトン・スコット)が強烈なペースアップを仕掛けた。リーダーチームのアシストがいなくなったところを見計らった攻撃だ。

 前日ステージ優勝のルディ・モラール(フランス、グルパマ・エフデジ)らが続々と遅れだす強烈な引きにより、ここで総合首位のサンチェスも遅れだした。

ここまで完璧なレース運びをしてきたサンチェスだったが、長くて険しい上りに耐えきれなかった Photo : Yuzuru SUNADA

 マイヨジョーヌの危機に、ミッチェルトン・スコットは攻撃の手を緩めなかった。クロイツィゲルのペースアップが継続するなか、残り4.3km地点でサイモン・イェーツがアタック。ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)のみが反応し、2人で集団から抜け出した。

 メイン集団はダビ・デラクルス(スペイン、チーム スカイ)が先頭で牽引。先頭の2人とのタイム差は15秒前後で推移して、差は広がりもせず縮まってもいなかった。

 残り2km地点、総合2位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が苦しむ姿を確認した総合11位のディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)がアタックを仕掛けた。これによりアラフィリップは完全に千切れてしまう。

 トゥーンスのアタックには総合5位のティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が反応し、続いて総合4位のゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)、総合10位のパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がチェックに入った。

 総合8位につけていた前年度王者のセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ)もトゥーンスたちのペースから遅れをとってしまった。

イェーツが独走でクイーンステージを制す

 残り1.3km、先頭では後ろにチームメイトで兄のゴルカを残しているヨン・イサギレが、イェーツの先頭交代の要求を拒否した。すると、イェーツが加速してアタックを仕掛けた。この攻撃ではヨンは遅れず、イェーツの背後をピタリとマーク。しかしイェーツは続けざまにもう一度アタックすると、今度こそヨンを突き放すことに成功した。

独走に持ち込んだサイモン・イェーツ。このまま逃げ切りステージ優勝を飾った Photo : Yuzuru SUNADA

 独走に持ち込んだイェーツはハイケイデンスを維持しながら、フィニッシュを目指す。後方から迫ってくるトゥーンスらを振り切って、山頂に到達。昨年大会に続いてステージ優勝を飾った。マイヨジョーヌを着るサンチェスは4分22秒遅れてフィニッシュ。この結果、総合首位にイェーツが浮上し、マイヨジョーヌを獲得した。

 ステージ2位には、トゥーンスが入った。アルデンヌクラシックなど短い上りを含むレースを得意としていたが、今ステージのような長い上りでも戦えることを示した。

 イサギレ兄弟は、ヨンが3位、ゴルカが4位に入り、それぞれ総合2位・3位に浮上。イェーツからヨンは11秒遅れ、ゴルカは12秒遅れと近年のパリ〜ニースらしい接戦のまま最終日を迎えることとなった。

 その最終第8ステージはニース近郊を周回する110kmで争われる。2級山岳が4つ、1級山岳が2つ設定されていて、最後の最後まで総合争いから目が離せない展開となりそうだ。

第7ステージ結果
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 5時間02分54秒
2 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム) +8秒
3 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
4 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +13秒
5 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
6 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +20秒
7 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) +46秒
8 マルク・ソレル(スペイン、モビスターチーム)
9 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナプロチーム) +48秒
10 サム・オーメン(オランダ、チーム・サンウェブ) +54秒

個人総合
1 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 27時間29分02秒
2 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +11秒
3 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +12秒
4 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) +13秒
5 ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシングチーム) +27秒
6 マルク・ソレル(スペイン、モビスターチーム) +37秒
7 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +39秒
8 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) +57秒
9 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) +1分48秒
10 アレクシー・ヴィエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +1分49秒

ポイント賞
1 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) 29pts
2 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 28pts
3 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 26pts

山岳賞
1 トマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 60pts
2 ファビアン・グリエル(フランス、ディレクトエネルジー) 31pts
3 ジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー) 25pts

新人賞
1 マルク・ソレル(スペイン、モビスターチーム) 27時間29分39秒
2 サム・オーメン(オランダ、チーム・サンウェブ) +1分15秒
3 フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) +1分36秒

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