ティレーノ~アドリアティコ2018 第3ステージ激坂ゴールをログリッチェが制す 初山翔が200km超のエスケープ敢行

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 2018年のUCIワールドツアー第7戦「ティレーノ〜アドリアティコ」第3ステージが3月9日、フォッローニカからトレーヴィへの239kmで争われ、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNL・ユンボ)が最大勾配20%の激坂区間を制してステージ優勝を飾った。7秒差のステージ4位に入ったゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)が総合首位に浮上した。また、初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ)が200km以上に渡って逃げ続けて、共に逃げに乗った山岳賞ジャージを着用するチームメイトのニコラ・バジョーリ(イタリア)の山岳ポイント獲得に貢献した。

激坂フィニッシュを独走で勝利したプリモシュ・ログリッチェ Photo : Yuzuru SUNADA

初山のロングエスケープ

 第2ステージはティレニア海沿いの街・フォッローニカをスタートし、先日開催されたストラーデ・ビアンケのコースの南側を沿うように、東の内陸部の街・トレーヴィに向かって、今大会最長の239kmを走るステージだ。距離1.5km・平均勾配11.5%・最大勾配20%の激坂区間を2度上ってフィニッシュとなる難易度の高いステージで、クライマーたちによる総合争いが繰り広げられると予想されていた。

 このロングステージで、今大会に参戦している唯一の日本人選手である初山が逃げに乗った。

200km以上にわたって逃げ続けた初山翔 Photo : Yuzuru SUNADA

 チームメイトのバジョーリのほか、ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)、ステパン・クリアノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)、デニス・ファンウィンデン(オランダ、イスラエルサイクリングアカデミー)らプロコンチネンタルチームの5人と共に逃げ集団を形成。メイン集団からは最大8分程度のリードを築いた。

チームメイトの山岳賞ジャージキープに向けて、好アシストを見せた初山翔 Photo : Yuzuru SUNADA

 コース前半に設定されている3つの3級山岳では山岳賞ジャージを着用するバジョーリが全て1位通過を果たした。初山はバジョーリをアシストしつつ、ライバルにポイントを奪われないよう自身も上位で通過を果たして、計8ポイントを獲得。山岳賞ランキングで3位に浮上した。

 一方中間スプリントポイントでは、モスカが2カ所どちらも1位通過。ポイント賞ジャージを獲得した。

 リーダージャージを着用するパトリック・ベヴィン(ニュージーランド)を擁するBMCレーシングチームが中心となってコントロールするメイン集団は、逃げ集団とのタイム差をじりじりと詰めていき、残り30km地点で3分程度まで縮めていた。

初山翔のコメント

 自分がジャージを獲得したわけでも、上位入賞したわけでもないが、今のコンディションや自分のレベルを考えると今日は良いレースができたと思う。今日はバジョーリの山岳賞キープを第一の目標とし、さらに可能なら自分も逃げに乗るというオーダーだった。0kmアタックで逃げが決まり、自分は少し遅れて追いつき、その後は5選手で最後までうまく回った。山岳賞を狙うライバルチームもあったが、バジョーリのポイント差を広げるために、監督の指示もあり、最初と2番目は自分がバジョーリに次いで2位通過した。コンディションが確実に上がっている実感がある。明日からのステージはミーティング次第だが、またチャンスをみて逃げを狙っていきたい。
(NIPPOのプレスリリースより)

ログリッチェが激坂区間でアタック敢行

 最初の勝負どころとなる、残り13km地点から始まる激坂区間に初山を含む逃げ集団が到達するも、メイン集団は14秒後方に迫っていた。10%を超える厳しい上りに入ると、初山はお役御免とばかりに先頭から後退し、メイン集団に吸収された。そしてバジョーリが単独で粘るも、クリストファー・フルーム(イギリス)を擁するチーム スカイがコントロールするメイン集団に飲み込まれた。

激坂区間を集団内で走行するクリストファー・フルーム Photo : Yuzuru SUNADA

 一旦下る間に上りで遅れていた選手たちも次々とメイン集団に復帰を果たす。チーム スカイは7人全員残っており、集団前方を陣取っていた。

 残り2.5km地点からゆるやかに上りが始まると、チーム スカイに代わってバーレーン・メリダが集団コントロール。カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ)がペースを刻むが、激坂区間へと突入した残り1.4km地点で再びチーム スカイがペースメイクを開始。ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)が先頭に立つ。

 すると残り1.2km地点で、集団からログリッチェがアタック。ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナプロチーム)が即座に反応するものの、ログリッチェのハイペースについていけず、ログリッチェは集団からリードを築くことに成功した。

 前日の集団落車に巻き込まれた影響もあり、2分33秒遅れの総合102位だったログリッチェに対して、チーム スカイは無理に差を詰めようとはせず、クウィアトコウスキー、ジャンニ・モスコン(イタリア)、トーマスを中心に引き続きメイン集団をコントロールしていた。

スカイのトーマスが総合首位に浮上

クライマーたちと競り合いながら総合2位をキープしたグレッグ・ヴァンアーヴェルマート Photo : Yuzuru SUNADA

 残り1kmを切ると、メイン集団から総合1位と同タイムのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)がアタック。すかさず、モスコンがチェックしてこれを抑えた。

 続いてアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がアタックを仕掛けた。先頭をひた走るログリッチェを目掛けて猛追し、これをトーマスが先頭に立ちメイン集団が追う展開となった。

積極的な走りでステージ2位に入ったアダム・イェーツ Photo : Yuzuru SUNADA

 フィニッシュまで残り200mに迫るなかでも、ログリッチェの勢いはとどまることを知らなかった。アタック開始からずっとハイペースを保ったログリッチェが独走でフィニッシュした。

 ステージ2位には3秒差でアダム・イェーツ、更に3秒差で3位にはストラーデ・ビアンケ勝者のティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)、トーマスはその1秒遅れの4位に入った。ヴァンアーヴェルマートはログリッチェから16秒遅れのステージ18位だった。

 この結果、トーマスはヴァンアーヴェルマートと同タイムながら総合首位に浮上。トップから10秒遅れのステージ12位にまとめたフルームが、3秒差で総合3位となり、大きく総合成績の順位が入れ替わった。

総合首位に立ったゲラント・トーマス Photo : Yuzuru SUNADA

アタックから最後までハイペースを維持

 Velonが公開しているデータによると、ログリッチェは残り1.2km地点では平均出力660W・最大出力740Wでアタックを仕掛け、残り1kmから残り300mまでの区間で平均出力460W、残り300mからフィニッシュまでの区間でも平均出力575Wを記録していたとのことだ。2017年世界選手権個人TT2位となったようにTTスペシャリストらしい、高出力を一定時間保つ走法で最後までスピードを落とすことなくフィニッシュまで駆け抜けた。

表彰台でテレマーク姿勢のポーズをしながら、はにかむログリッチェ Photo : Yuzuru SUNADA

 元スキージャンパーという異色の経歴から、表彰台ではもはやお馴染みとなったスキージャンプの着地姿勢であるテレマークを決めるパフォーマンスも飛び出した。

 翌第4ステージは、登坂距離13.1km・平均勾配7.3%のサッソテットの山頂フィニッシュとなる本格的な山岳ステージだ。第3ステージ以上に激しい総合争いが展開されることだろう。

第3ステージ結果
1 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNL・ユンボ) 6時間17分23秒
2 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +3秒
3 ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) +6秒
4 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +7秒
5 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +10秒
6 ミケル・ランダ(スペイン、モビスターチーム)
7 ジャンニ・モスコン(イタリア、チーム スカイ)
8 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール)
9 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チームサンウェブ)
10 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)

個人総合
1 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) 10時間52分22秒
2 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム) +0秒
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +3秒
4 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム) +8秒
5 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ) +9秒
6 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
7 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チームサンウェブ) +19秒
8 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) +30秒
9 トム・デュムラン(オランダ、チームサンウェブ) +33秒
10 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +39秒

ポイント賞
1 ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) 18pts
2 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNL・ユンボ) 12pts
3 マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) 12pts

山岳賞
1 ニコラ・バジョーリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 20pts
2 ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア) 10pts
3 初山翔(日本、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ) 8pts

ヤングライダー賞
1 ハイメ・ロソン(スペイン、モビスターチーム) 10時間53分06秒
2 ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) +0秒
3 ジャンニ・モスコン(イタリア、チーム スカイ) +16秒

チーム総合
1 チーム スカイ 31時間52分16秒
2 クイックステップフロアーズ +1分05秒
3 モビスターチーム +1分37秒

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