新型グラベルバイク①スペック紹介キャニオンから2階建てハンドルバー搭載 「GRAIL」登場 遅れて来た過激で保守的なグラベルバイク

by 森本禎介 / Teisuke MORIMOTO
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 ドイツのバイクブランド「CANYON」(キャニオン)が3月15日、新型のグラベルロードバイク「GRAIL」(グレイル)を発表しました。「上ハン」部分が2階建て構造になった、専用のステム一体型ドロップハンドルが特徴的なモデル。発表に先駆けて、フランス・ニースで行われたメディア発表会に日本から唯一参加したTKC Productions(ティーケーシープロダクションズ)代表の森本禎介さんにレポートしてもらいました。

グレイルCF SLX 8.0 Di2 © CANYON

南仏で発表された驚愕のハンドルバー

 キャニオンは2月23日に南仏コートダジュールはニースのホテルでグラベルバイクGRAIL(グレイル)を発表。そのホバー・システムと呼ばれる独自のハンドルバーは長年新製品を見てきたメディアすらも驚愕に陥れた。この数年、ディスクブレーキの普及に伴いグラベルバイクが多数各社からリリースされており、昨年アメリカ市場で最も成長したカテゴリーだ。タイヤサイズで分類すると、大まかに3系統に分けることができる。

 主流は細かいブロックパターンを持つ700x42C前後のタイヤを履いたもの、次に650B x 38〜48mmのスリックタイヤ、そして更に太い650Bx2.1″前後のブロックタイヤを履くもので、これは見た目も性能もMTBのドロップハンドル版に近くなる。ここに、キャニオンは衆目を集めやすいファットタイヤでは無く、700x40Cという手堅いサイズでグラベルバイクのマーケットに参入してきた。ちなみに、グレイル(GRAIL)はグラベル(GRAVEL)とトレイル(TRAIL)からとられたネーミングだ。

プロダクト・エンジニアのプレゼンテーション ©CANYON

 キャニオンはコンシューマー・ダイレクトという現代的な方法で製品を販売しているが、対照的に、そのものづくりは保守的だ。例えば29erのDHバイクはまだラインナップに持たず、ブースト規格のMTBもやや遅れて投入、フラットマウントに142mmのスルーアクスルの700Cモデルも業界の先陣を切って取り入れた訳では無い。

二階建て構造のホバー・バー ©CANYON
大胆なデザインを採用したホバー・バー ©CANYON

 しかし、グレイルを最も特徴づけているホバー・バーは保守的だった同社が180度方向転換したのかと自分の目を疑う大胆なデザインを採用している。

 これは従来のドロップハンドルバーが抱えていたパラドックス、—つまりリラックスしたい時に握る上ハン部分は径が太く、剛性の高いステムでクランプされたエリアに最も近いためにフレックスが少なく、逆にスプリント時や荒れた路面の時に握りたい下ハン部分は径が細く、ステムのクランプ部分から最も遠いため剛性が低いという点—、これを120gのエクストラで解消したものだ。

ホバー・バーのデザインプロセス ©CANYON

 同社はダブル・デッカー、つまりロンドンを走る2階建てバスと同じ呼び方でホバー・システムを表現するが、2階部分に相当する上ハンは同社のステム一体型ドロップハンドルバー、H31エルゴコクピット比で垂直方向に7倍のフレックスを持ち、下ハン部分の左右は接続されているためフレックスを減らすことに成功している。

VCLS2.0シートピラー ©CANYON

 グレイルは先進的であるのと同時に、保守的でもある。グラベルバイクである以上、路面からの衝撃を緩和するソリューションが必要だが、キャニオンのアプローチは極力不要なトラブルを避け、軽さを追求するため可動部を排除したピボットレスだ。ホバー・バー以外にもシートクランプを廃して15gの軽量化を実現しながらも、上部が前後で分割され、フローティングしたサドルレール・クランプを持つVCLS2.0シートピラーの固定部分を限界まで下げ、垂直方向に+15%のフレックスを得た。

 結果的にフレーム重量はMサイズのグレイルCF SLXで830g、バイク全体ではアルテグラDi2を採用した最上位モデルがMサイズで8.22kgという軽量を誇る。

 サイジングでも抜かりは無く、業界最多クラスの2XLから2XSまで7サイズをラインナップに持ち、下から2つのサイズは650Bx40mm、以降は700x40Cのタイヤを与えられおり、昨年発表された同社のシクロクロスバイクであるインフライトが下から2サイズは650Bのホイール径を採用したのと同じ手法を踏襲している。MTBの世界では27.5″と呼ばれるが、近年見直された650BはMTBの世界では26″に代わるスタンダードとして普及しており、グラベル向けのタイヤも多くリリースされているのでタイヤ選びにも困ることは無いだろう。

グレイル CF SL WMN XSサイズはホイール径650B ©CANYON

 女性向けモデルは2XSからMまでの4サイズが用意されており、フレームのジオメトリーは共通だがサドルはセライタリアの女性モデルとなり、VCLS2.0シートピラーは大腿骨が短い女性を考慮してセットバックの少ないものとなる。プレスキャンプではXSの実車が展示されていたが、筆者は説明を受けるまで700CのSサイズだと思っていたほど、見た目も違和感無く仕上がっていた。

現代のMTBから生まれたジオメトリー

 ホバー・バーの強烈さに目が行きがちだが、グレイルの肝は同社のエンデュランスロードに比べて40mm長いロングホイールベースを採用したジオメトリーにある。つま先が前輪にオーバーラップするのを防ぎ、より太いタイヤを受け入れることを可能とし、なにより安定性が高くなる。現代のMTBはヘッドアングル寝かせ、フロントセンターを延長して35mm程度の短いステムに780mm幅超のハンドルバーでポジションを出す傾向にあるが、これを習ったものだ。グレイルはMサイズで440mm幅と幅広のハンドルバー、従来の仮想ステム長で言うと75mmの短いステムを採用している。いつの時代も最新トレンドはMTBから誕生する。

専用品のトピーク製バッグを装備したバイクパッキング仕様©CANYON

 バイクパッキングへの対応も忘れてはいない。フォークとシートステーの内側に目立たないよう、フェンダーのアイレットが用意されており、完璧にフィットする専用のフェンダーが用意される。バッグ類は関係の深いトピークがフレームやハンドルにフィットする専用品を用意する予定で、フレームにはバッグのストラップでカーボンが擦れて傷が入るのを防ぐ、3M製最新の保護材が付属する。

 シニア・プロダクトマネージャーのピーター・キンツェル氏とプロダクト・エンジニアのダニエル・ヘイダー氏によるプレゼンテーションが終了後、実車を前に各国のメディアから彼らに向かって次々と質問がぶつけられた。試乗は明日だ。

(次回へ続く)

→「GRAIL」を南仏で実走テスト

GRAIL CF SLX 8.0 Di2

価格:509,000円(完成車、税抜)※配送費用別途
サイズ:650B-2XS,XS、700C-S,M,L,XL,2XL
カラー:Meteor Grey、Storm Green
フレーム、フォーク:カーボン(フレーム単体830g)
コンポ:Shimano Ulttegra Disc Di2
ギヤ比:50×34T、11-34T
ホイール(リム内幅):Reynolds Assault ATR Disc Carbon(23mm)
タイヤ:Schwalbe G-One Bite Tubuless Easy 40mm
シートポスト:Canyon S15 VCLS 2.0 CF
サドル:Fizik Aliante
重量:8.22kg(Mサイズ平均重量)

GRAIL CF SL 8.0 SL

価格:399,000円(完成車、税抜)※配送費用別途
サイズ:650B-2XS,XS、700C-S,M,L,XL,2XL
カラー:Meteor Grey、Carbon Copper
フレーム、フォーク:カーボン(フレーム単体1,040g)
コンポ:Shimano Ultegra Disc
ギヤ比:50×34T、11-34T
ホイール(リム内幅):Reynolds Assault ATR Disc Carbon(23mm)
タイヤ:Schwalbe G-One Bite Tubuless Easy 40mm
シートポスト:Canyon S15 VCLS 2.0 CF
サドル:Fizik Aliante
重量:8.46kg(Mサイズ平均重量)

GRAIL CF SL 8.0 Di2

価格:369,000円(完成車、税抜)※配送費用別途
サイズ:650B-2XS,XS、700C-S,M,L,XL,2XL
カラー:Meteor Grey、Carbon Copper
フレーム、フォーク:カーボン(フレーム単体1,040g)
コンポ:Shimano Ulttegra Disc Di2
ギヤ比:50×34T、11-34T
ホイール(リム内幅):DT Swiss C 1800(22mm)
タイヤ:Schwalbe G-One Bite Tubuless Easy 40mm
シートポスト:Canyon S15 VCLS 2.0 CF
サドル:Fizik Aliante
重量:8.54kg(Mサイズ平均重量)

GRAIL CF SL 8.0

価格:289,000円(完成車、税抜)※配送費用別途
サイズ:650B-2XS,XS、700C-S,M,L,XL,2XL
カラー:Meteor Grey、Carbon Copper
フレーム、フォーク:カーボン(フレーム単体1,040g)
コンポ:Shimano Ulttegra Disc
ギヤ比:50×34T、11-34T
ホイール(リム内幅):DT Swiss C 1800(22mm)
タイヤ:Schwalbe G-One Bite 40mm
シートポスト:Canyon S23 VCLS CF
サドル:Fizik Aliante
重量:8.4kg(Mサイズ平均重量)

GRAIL WMN CF SL 7.0

価格:249,000円(完成車、税抜)※配送費用別途
サイズ:650B-2XS,XS、700C-S,M
カラー:Meteor Grey、Copper Red
フレーム、フォーク:カーボン(フレーム単体1,040g)
コンポ:Shimano 105 Disc
ギヤ比:50×34T、11-34T
ホイール(リム内幅):DT Swiss C 1800(22mm)
タイヤ:Schwalbe G-One Bite 40mm
シートポスト:Canyon S23 VCLS CF
サドル:Selle Italia X1 Lady Flow
重量:8.6kg(Mサイズ平均重量)

GRAIL CF SL 7.0

価格:249,000円(完成車、税抜)※配送費用別途
サイズ:650B-2XS,XS、700C-S,M,L,XL,2XL
カラー:Meteor Grey、Carbon Copper
フレーム、フォーク:カーボン(フレーム単体1,040g)
コンポ:Shimano 105 Disc
ギヤ比:50×34T、11-32T
ホイール(リム内幅):DT Swiss C 1800(22mm)
タイヤ:Schwalbe G-One Bite 40mm
シートポスト:Canyon S23 VCLS CF
サドル:Selle Italia X3
重量:8.62kg(Mサイズ平均重量)

GRAIL CF SLX フレームセット

価格:289,000円(税抜)※配送費用別途
サイズ:650B-2XS,XS、700C-S,M,L,XL,2XL
フレーム、フォーク:カーボン(フレーム単体830g)
カラー:Meteor Grey

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