リオン・ド・カペルミュールがつなぐ新たな出会い色々な人がいるから楽しく、強くなる “ゆる強”集団「チームリオン」の魅力

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 とある休日の朝8時、黒いジャージに身を包んだサイクリストたちが東京・品川区の大井埠頭に集結していた。集団の名は「Team Lion」(チームリオン)。サイクルウェアメーカーの「ウエイブワン」が展開するブランド「リオン・ド・カペルミュール」が率いるチームだ。背中に大きく描かれた黄色い獅子に、さも強そうな気配が漂う。…が、しかし、集まった面々を見ると年齢も性別も、さらにはレベル感もバラバラな様子。強そうな人がいる一方で、自走集合ですでに脚を使っちゃった人、さらにその横で紙芝居風に練習内容を説明するライドリーダー…。何やら不思議な“ゆる強(つよ)”感?が漂う同チームの練習に潜入した。

背中に獅子の紋章を背負った「チームリオン」。なんだかとっても強そうなチームだが、その実態は… Photo: Kyoko GOTO

常にビギナー目線で練習を

 「リオン・ド・カペルミュール」とは、カジュアルなサイクルウェアブランド「カペルミュール」とは一線を画すレーシーなイメージで展開するブランド。チームリオンはもともと、この「リオン・ド・カペルミュール」の開発途中のウエアなどをテストし、製品開発にフィードバックする“テストパイロット”集団として発足した。

日曜朝8時半、大井埠頭にあるみなとヶ丘埠頭公園に集まった「チームリオン」のメンバー Photo: Kyoko GOTO

 その後、「全ての自転車乗りが楽しめるチーム」として展開し、福岡の「キャナルシティ店」(現在閉店)と東京の「渋谷cocoti店」で開催しているショップライドに参加したことがある人なら、誰でも加入できるチームとして生まれ変わった。

 そのため、チームの顔ぶれも非常に多彩。現在福岡、東京でそれぞれ20人ほどのメンバーが所属しているというが、この日のライドにも、仁王像のような脚をもつスプリンターから、ロードを始めて1年というビギナー、子育てを終えてからロードに乗り始めたという女性、張りきりすぎて埼玉から自走し、すでに脚を使い果たした人など実に個性的な11人が各地から集まっていた。

集団走行の方法を紙芝居形式で説明する太郎田能之さん。イラストのモデルは、自分だそう… Photo: Kyoko GOTO

 チームの活動としてはホビーレースやチームエンデューロイベントをメインに、定期的な練習会などを実施している。この日は「もてぎ7時間エンデューロ春」に向けての練習会。トレーニング目的で走るのではなく、「脚力に頼らない走り方」「安全な集団走行」「周回練習」といった具体的なテーマを設け、知識と実走を交えて練習をする、いわば‟速くなりたい人”のための練習の場としている。

 この日のライドリーダーを務めたのは、ウエイブワンのスタッフ・太朗田能之さん。「プロ選手やもともと速い人が語るのではなく、脚力のなかった自分がエリートで入賞するまでになった経験を練習法としてメンバーに還元したい」と常にビギナー目線での練習を心がける。

1人で練習するより成長できる

 「ツアー・オブ・ジャパン」の最終ステージとしても知られる大井埠頭は、平地練習に最適な場所とあって週末はたくさんのサイクリストたちが練習に訪れている。あまりの解放感に中には信号の存在を忘れるサイクリストもいるが、太郎田さんはルールもマナーも徹底的に守るよう強調する。車道走行の知識が曖昧なビギナーも、こうした練習を通じて正しいスタートを切ることができるのだ。

一周約8kmを周回。もてぎエンデューロを想定し、時速30~40kmをキープ Photo: Kyoko GOTO

 この日の練習では、工事中のエリアを避けた一周約6kmのコースを3周1セットとして、3セット繰り返した。1、2セット目は教わった走法を確認しながら全員で走行し、3セット目では3グループに分かれて3、4人で20秒ごとに先頭交代しながら走行した。太朗田さんいわく、チームリオンの練習における最低限のルールは「追い込まないこと」。そのため走行ペースや強度は練習会に集まったメンバーによって変えているという。

「練習の強度はまちまち。集まったメンバーで練習の強度が決まります」と太郎田さん Photo: Kyoko GOTO
脚力に応じて3チームに分かれて練習。20秒ずつ先頭交代しながら、ローテーションの練習を繰り返す Photo: Kyoko GOTO
カメラを向けると真剣な表情が消え、笑顔でポーズをとってくれる和やかな面々 Photo: Kyoko GOTO

 練習会に初めて参加したという入沢俊彦さんは、「チームエンデューロに出てみたくて練習会に参加しました。後半ちぎれることもあったけど、チームで練習すると少し“背伸び”して臨めるので一人で練習するより成長できるし、色々なことを学べます」とチーム練の魅力を語った。

 子育ても終了に近づき、乗りたかったロードを購入して自転車ライフを再開したという元田千里さんは遅咲きながら、すでにエンデューロレースでの優勝経験もある実力者。「ここで教わることがすごくためになっています。楽しくて、もっと若い時に始めていれば良かったと思っています」と自身の成長を楽しんでいる様子だった。

集団走行の練習に初参加した入沢俊彦さん Photo: Kyoko GOTO
ロード歴3年の元田千里さん Photo: Kyoko GOTO

カペルミュールだから出会える仲間がいる

 練習終了後は、多摩川の六郷橋付近にある「落馬止め天神・北野神社」へ。サイクリストの間では、別名「落車止め天神」とも呼ばれており、選手たちもレース前に落車止め祈願におとずれるという場所だ。集団で走るエンデューロで落車をしないよう、チームリオンのメンバーも全員で祈願し、練習の仕上げを行った。

“落車”止め神社ならぬ落馬止め神社として有名な北野神社をお参り Photo: Kyoko GOTO
「もてぎエンデューロ」で無事の走行を祈願 Photo: Kyoko GOTO
レース志向の人やロングライドの人など多種多様。でも練習のあとのランチの美味しさは皆同じ! Photo: Kyoko GOTO

 そしてお待ちかねのご褒美ランチだ。空腹を抱え、神社をお参りしたメンバーの腹ペコぶりはピークに達している。「練習後のごはんが美味しいんだよな~」とワクワクするメンバーは、太朗田さんおすすめのパキスタン料理屋に入店。カレーに舌鼓を打ち、ナンをお代わりしつつ、自転車やレースの話で盛り上がっていた。

 ロード歴4年でチームリオンに入って1年半にほどになる米倉裕二さんは、「皆個性的で色々な刺激を受けます。出だしは同じくらいだったチームメイトが速くなったりしていると悔しくなったり、苦手なヒルクライムも克服しようと思ったり、良い意味で切磋琢磨しています。1人だったらここまで人との付き合いも広がらないし、いつか自転車をやめていたんじゃないかな」とチームのメリットを語った。

ロードを始めて1年目の羽山智康さんとトライアスロンにも出場する八木克実(よしみ)さん。まったく方向性の異なる人同士が出会える Photo: Kyoko GOTO
チーム歴1年半の米倉裕二さん。「個性的な人ばかりでいろんな刺激を受けられて楽しい」 Photo: Kyoko GOTO

 大柄でパワフルな走りを見せていたチーム歴半年の坂大(ばんだい)一雄さんはチームリオンの魅力について「皆がぎすぎすしていない。レース志向の人がいてもそれだけでないし、色々なレベルの人が尊重し合えていると思います」と語った。同じくスプリンター系の峯(みね)司さんは、「カペルミュールというブランドでつながっている関係というのは、それだけで集まる経緯がショップライドと異なる。自分と似たような人たちばかりでなく、話も乗り方もまったく違う人たちが集まるので楽しいです」と様々な出会いを楽しんでいる様子だった。

ウエイブワンのスタッフ、吉田卓人さん(写真左)と太郎田能之さん。「チームリオンで一緒に楽しみましょう!」 Photo: Kyoko GOTO

 太朗田さんは、「自転車ショップの場合、常連が多くて興味があっても足を踏み入れられないという人が少なくありません。チームリオンはその壁を崩したい。勝敗に関わらず、走る側でも応援する側でも楽しいエンデューロなど様々なイベントを通じて、皆で楽しくやっていきたいと思っています。興味をもたれた方は、まずは気軽に直営店のライドに参加してみてください」と呼びかけた。

 なお、「カペルミュール 大阪 グランフロント店」でも4月22日(日)に第1回のチームリオンのライドイベントを開催する。詳細は大阪 グランフロント店のサイトにて近日公開予定だという。

「チームリオン」のポーズは、もちろんライオン! Photo: Kyoko GOTO

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