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旅サイクリスト昼間岳の地球走行録<3>サイクリストは乾季のウユニ塩湖を目指す 自由気ままには走れない夏と冬の走行プラン

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
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 海外の自転車旅は自由気ままに走行できるかと言えば、そうではない。まず第一にビザの有効日数でその国を走り抜けなければならない。幸い日本のパスポートは信頼度が高くビザなしで滞在できたり、国境で取れたりする国が多い。苦労する地域は西アフリカや中央アジアなどの限られた地域しかないが、宿で会った中国人旅行者は、「日本人なら楽にビザが取れる国でも何日もビザが発行されるのを待ってるんだ」と苦笑いしていた。

 そして自由がきかない最大の理由は季節だ。冬には走行できない地域もあるので、季節に準じて、走行プランを練る。南北アメリカの場合、アラスカの走行時期はもちろん夏だ。僕は7月上旬にスタートしたが、もう少し早くても良かったと思う。南下し一度目の冬は温暖な中米で迎える。

乾季のウユニ塩湖走行は南米のハイライトのひとつだ Photo: Gaku HIRUMA

南米では5月の大雪に直撃

大雪の中なんとかウシュアイアに辿り着いた Photo: Gaku HIRUMA

 南米は季節が逆転するので、最南端のパタゴニアのウシュアイアは南米の夏のシーズンである12月~3月くらいまでに走れるようにする。僕は遅れに遅れ、5月にウシュアイアに辿り着いた時は大雪の中だった。ボリビアのウユニ塩湖は日本だと雨季の鏡張りが人気だが、サイクリストは乾季の塩原を走れるように目指す。

冬を避けようと思っても、雪を完全に避けるのは難しい Photo: Gaku HIRUMA
やけに静かだと思ったら、朝起きたらテントが雪に埋もれていた Photo: Gaku HIRUMA
乾季ではなんてことない峠でも、雨季では越えることができず、結局別ルートに迂回した Photo: Gaku HIRUMA

 またパタゴニアで人気を博す、世界一美しい林道と言われるチリのアウストラル街道。僕がパタゴニアに取り掛かっていた4月はすでにシーズンオフの雨季に突入していた。別ルートとして古い歴史のあるアルゼンチンのルート40号線(ルータクワレンタ)がある。往年の自転車冒険家たちもこのルートを通った、パタゴニアの古いルートだ。ほぼ未舗装路で原始的な風景が続くのが魅力だが、台風並みの強風が、24時間片時も止むことがない。

 雨のアウストラルか、風のルータ40か。悩みに悩んでルータ40を選び、強烈な風と向き合ってきたが、走れなかったアウストラル街道には未だに憧れがある。

走行を中断して“越冬”

 アフリカの走行シーズンは特にないが、マラリアのリスクを避けるために乾季で蚊が少ない6月から10月くらいまでに、東アフリカなどの地域を抜けるようにしていた。

ネパールのエベレストトレッキングのシーズンは短く、それに合わせてやって来た Photo: Gaku HIRUMA

 東西に長いユーラシア大陸はどこかで必ず冬に捕まるので、余程の強者でない限り、多くのサイクリストが走行を一旦止めて越冬する。温かい南の地域へ飛んで走行するか、日本人宿で管理人をさせてもらい宿泊費を抑えたり、自転車では行けなかった地域にバックパックで旅行したりと様々だ。

 僕は中央アジアのハイライトでもあるパミール高原のベストシーズンの夏に合わせて、2月にトルコからアジア走行をスタートさせた。真冬のトルコはとても寒かったが、雪の少ない地域を選び走行した。パミール高原をベストな夏に走りたいという理由のほかに、真夏のイランや砂漠のトルクメニスタンは自転車では避けた方が賢明なほど暑いからだ。僕はここも遅れて、真夏にトルクメニスタンを走行したが、比較的涼しい日の出前と日没後に距離を稼ぐ必要に迫られるほど、日中は地獄のように暑かった。

暗いうちの走行はリスクがあるが、そうしないとトルクメニスタンは暑くて走れない Photo: Gaku HIRUMA
昼間岳昼間岳(ひるま・がく)

小学生の時に自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ「Take it easy!!

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