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栗村修の“輪”生相談<122>17歳男性「ロードレースデビューに向けて、自転車に乗らずにできる練習は何ですか?」

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 競技をしている友達に誘われて、先月初めてロードバイクを買いました!

 一応その友達のいるショップのチームにも入ったので、来季からはレースにも出たいと思っています。ただ、自分は高校のサッカー部に所属しているため、週に一度のオフの日にしか乗れません。

 来年部活を引退したら本格的に始めたいと思っています。それまでに自転車に乗れなくてもできることは何ですか? ちなみに、昔から自転車は大好きで、5年ほどマウンテンバイクに乗っていました。

 質問とは別に、栗村さんの輪生相談の本を買ってこのサイトを知りました、これからも頑張ってください! 今後の自転車業界の発展を祈っています。

(17歳男性)

 日本から強い選手が安定的に生まれるためには、質問者さんのように他競技から転向する人が増えることが大事です。これは、僕の取り組みの核にある、極めて重要な考えです。

 また、「輪生相談本」をご購入いただいたあとにこのサイトにたどり着いたというのはとても嬉しいですね!長期間この連載を続けてきてよかったです。

 さて、なぜ転向が大事かですが、ロードバイクしか乗っていないと、体作りという観点で偏りが生まれちゃうんですね。自転車競技がキツイのは確かですが、乗りかたを工夫しないと、人が持つ能力のうち、ごく一部しか鍛えられません。自転車以外のスポーツでなければ鍛えられない能力があるんです。だから、中学校くらいまでは他のスポーツもやったほうがいいと思います。

 新城幸也選手は、高校までハンドボールをやっていましたが、転向後たった6年でツール・ド・フランスを完走しています。質問者さんは、焦る必要はありません。

高校を卒業してから自転車競技を始めた新城幸也選手。競技歴6年、24歳でツール・ド・フランスに初出場、日本人として初めての完走を果たした Photo: Yuzuru SUNADA

 とはいえ、来る自転車への転向のために、やれることはあります。まずは体を左右均等にすること。実は僕も、サッカーから自転車に転向した人間なのですが、自転車を始めて最初に苦しんだのは、体が左右アンバランスになっていることでした。

 最近のサッカーは左右両足でボールを蹴るかもしれませんが、僕はそうじゃありませんでした。だから、たぶん蹴る瞬間のインパクトの影響などで、体が歪んでいたんでしょう。あと神経系、つまり利き脚とそうではない脚の「器用さ」も、右脚と左脚で大きな差がありました。こういったアンバランスのせいで、きっちり左右均等にポジションを出しても、左右がズレているように感じてしまったり、起用な方の脚ばかりが発達してしまい(ペダリングスキルにも左右差が生じた)、余計に左右非対称の体になってしまうなど、これらを改善するのに少なくない時間を費やしました。

 一方で、上記のような「体のクセ」や「致命的なケガ」に気をつけていれば、激しい球技系のスポーツから得られる利点というのは、決して少なくないと考えています。優れたバランス感覚や強靭な体幹、また、落車時に体を守る感覚も身につくかもしれません。

 ですので、質問者さんが高校を卒業するまでサッカーを続けることは決して悪いことではないと感じています。いまサッカーをしながら将来のためにできることとしてお勧めなのは、30分でも良いので固定ギアの自転車で3本ローラーに乗りたまにダンシングを織り交ぜながら走る練習と、休日は、昔乗っていたMTBでテクニカルなダートを走ったり、ロードバイクに乗るならば、広い駐車場(許可を得た上で)などでスラロームや急ブレーキなどを含んだジムカーナ的な練習を行うことです。

 サッカーで鍛えた強靭な体、ペダルを綺麗に回すためのペダリングスキル、自転車に効率よく乗るためのバランス感覚など身に付けた上で、18歳から本格的にロードレースを始めたならば、むしろ子供の頃からロードバイクにしか乗っていなかった子よりも、伸び代は大きくなるような気がします。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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