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旅サイクリスト昼間岳の地球走行録<2>パソコン、カメラ、自転車パーツに工具 60kgの荷物を載せ走る秘訣は「どう止まるか」

by 昼間岳 / Gaku HIRUMA
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 世界一周のスタート地、アラスカの空港から漕ぎ出した感触は今でもはっきり覚えている。ハンドルは左右にとられ、ペダルを漕ぐ足がとてつもなく重たかった。その後、少しでも軽量化すべく要らない物を捨てていった。だが、捨てた量より買い足した装備品の方が圧倒的に多く、結果60kgほどの荷物を載せて走ることになった。

荷物満載の自転車はどこでも注目を集める Photo: Gaku HIRUMA

 装備が重量級になるポイントとなる物がいくつかある。まず第一にパソコン。今やほとんどの自転車旅行者が持って旅をしている必需品だが、これがかなり大きい分かれ道だ。

 必要最低限のネットを使うのであれば、スマホやタブレットで十分だが、走ること以外に宿にいる時間も長い自転車旅行にとって、データの管理や情報収集、ブログやSNSなどへの投稿をスムーズに行うために、どうしても必要になってくる。パソコンだけでも重たいのに、充電器・外付けハードディスクなども持つのでなおさらだ。

走行中もらった大きなメロン Photo: Gaku HIRUMA

 次にカメラ。はじめはコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)ひとつで旅をしていたが、絶景のなか旅をしているので、できるだけ綺麗な写真を撮りたくなり、一眼レフを買った。一眼レフを買うとコンデジが要らなくなるのかと言えばそうではない。治安の悪い町で一眼レフなんかぶら下げていたら、襲ってくださいと言ってるようなものなので、結果コンデジも捨てられない。

ホローテックⅡのBB割れを直す。工具は重たいが自分ですぐ対応できる Photo: Gaku HIRUMA

 そして自転車のリペアパーツと専用工具。自転車旅行でリペアパーツは当然必要になる。タイヤチューブやパンク修理のパッチなどは世界中どこでも手に入るからいいが、発展途上国ではタイヤやチェーンなどは自分の自転車に合う品がない場合や、クオリティが低いこともあるので、先進国で多めに買う必要がある。

 また専用工具で、サイクリストの意見を二分するのがスプロケット外しだ。非常に重たい工具だが、スポークが折れた際、次の自転車店がある大きな町まで行くまでに、下手をすれば車輪ごと駄目にしてしまう恐れがある。なので僕は、少しでも軽量化しようと柄の部分を短く切り落とし持っていて、実際に重宝した。

アルメニアで出会ったジャンベを積んだサイクリスト Photo: Gaku HIRUMA

 そして極めつけは楽器だ。ギターやジャンベ(打楽器)などは言葉の通じない人たちと通じ合える最良のコミュニケーション手段だし、テントでも宿でもどこでも奏でられるなんて素敵だが、いかんせん重量とかさばりが気になって僕は手が出なかった。

 こういった物を載せることで、どんどん荷物が増える。当然初めは平地でもフラフラで足も腕もパンパンになるが、走るにつれ4000mのオフロードの峠なども問題なく走れるようになる。

 むしろ気を付ける点は、走り方ではなく止まれないことだ。オフロードの下り坂は本当に恐怖で、フルブレーキをかけていても、ほとんどと言っていいほどスピードが落ちない。渾身の力で引いて、なおかつ足を地面につけてブレーキにしてどうにか止まるというのを繰り返し、スピードが出ないように細心の注意を払って下る。

オフロードの峠はブレーキが全然効かず、足でも踏ん張り必死で止める Photo: Gaku HIRUMA
強い風が吹くパタゴニアで、風が避けられそうな場所でテントを張らせてもらう Photo: Gaku HIRUMA

 さらに風の影響はもろに受ける。向かい風もきついが、それよりも横風の方が危ない。南米のパタゴニアのオフロードでは強烈な横風に煽られて何度も倒され、全く自転車に乗れなかったほど。舗装路ではなんとか自転車に乗れるが、一瞬の突風に突かれ、自転車ごと自ら対向車に突っ込みそうになるくらいだった。

 また荷物が多いとトラックなどに抜かされるときに風圧で吸い込まれることがある。そこで活用したのが、ヘルメットに付けるリアミラー。クルマやトラックを確認して、事前にふら付かないように身構えられるので重宝した。

パタゴニアは決まった方向から強風が吹きつづけ、サイクリストを翻弄する Photo: Gaku HIRUMA
昼間岳昼間岳(ひるま・がく)

小学生の時に自転車で旅する青年を見て、自転車で世界一周するという夢を抱いた。大学時代は国内外を旅し、卒業後は自転車店に勤務。2009年に念願だった自転車世界一周へ出発した。5年8カ月をかけてたくさんの出会いや感動、経験を自転車に載せながら、世界60カ国を走破。2015年4月に帰国した。『Cyclist』ではこれまでに「旅サイクリスト昼間岳の地球写真館」を連載。ブログ「Take it easy!!

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