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栗村修の“輪”生相談<121>50代男性「筋肉量を増やしトルクを上げるのにスクワット500回ではだめですか?」

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栗村さん、いつもためになる回答ありがとうございます。

 私は1日おきにスクワット500回(フルスクワットではなく、腿が地面と水平になるぐらいで止めるやり方)をしておりますが、トレーニングの講座を受講すると、もっと回数を減らした形でやる方法にすべきと何度か言われました。

 その1つは重りなどをつけて負荷を高める方法。もう1つは体幹を意識しながらゆっくりとフルスクワットを30回程度行う方法。

 臀筋の筋肉量を増やしトルクを上げたいと考えてますが、どのようなやり方でどれぐらいの頻度スクワットすれば、そのような効果が得られるでしょうか? 諸説言われて迷ってます。何とぞ、よろしくお願い致します。

(50代男性)

 ウエイトトレーニングは僕の専門ではありませんが、自転車に乗れない日もトレーニングをしたい!という方も多いと思いますので、僕が考えるウエイトトレーニングの効果について答えてみます。ただ、負荷や回数などの専門的なことは、専門家の意見を優先してくださいね。

 さて、これまでも何度も言ってきたことではありますが、自転車選手にとってウエイトトレーニングはとても重要なトレーニングのひとつだと考えています。とくに、筋肉量の少ないカラダの線の細い方にとっては、必ず取り入れるべきトレーニングだと断言できます。

 僕も元々は細身だったんですが、20代前半に、ウエイトトレーニングに取り組んだことがあるんです。ベンチプレスとか、スクワットとか、ごく基本的なメニューでしたが、体重は3〜4kg増えましたね。

 その結果、明らかにポジティブな変化がありました。当たり前ですが、まず、短時間・高強度の走りが改善されました。自転車ロードレースは、どんなレースでもある程度のダッシュ力(インターバル)を要求されます。いくら上りが得意だったとしても、そこに至るまでに度重なる加速で体力を削られてしまっては、肝心の上り区間で本領を発揮することはできません。たしかに体重は増えますが、必要な筋肉によって増えた体重というのはデットウエイトになることはありません。ウエイトトレーニングで効率的に筋肉量を増やし(最大出力を上げる)、それをペダルをまわすための筋力へと正しく変換できれば、目に見えた成果を挙げることができるでしょう。僕自身もウエイトトレーニングを本格的に取り入れたあとに成績が一気に向上しました。

プロ選手もウエイトトレーニングを取り入れていることが多い Photo: Yuzuru SUNADA

 メリットは他にもあって、フリーウエイトトレーニング(マシーンではなくダンベルやバーベルを用いたレジスタンストレーニング)を取り入れることによって、重要な体幹部分の強化とバランス感覚を鍛えることができます。フリーウエイトトレーニングは基本的に左右対称の運動ですから、同じく左右対称の自転車競技にはプラスになります。体幹がしっかりして、しっかりとペダルに体重を乗せることが可能となるでしょう。

 そして、僕が考える最大のメリットは、神経系です。ウエイトトレーニングを取り入れることで、特定の筋肉を意識して使ったり鍛えたりすることで、筋肉にシグナルを送る神経系が発達するのです。これは、ピンポイントで筋肉を鍛えるウエイトトレーニングでなければ、なかなか身につかない能力ですが、効率よく自転車を進める上では確実に役立つと思いますよ。

 このように、ウエイトトレーニングはパワー(筋力)とスキル(神経系)、そして優れたボディバランスが同時に身につく、非常に効果的なトレーニングだと思っています。問題は、ご質問にもあるように回数や内容ですが、それは何を狙うかで変わってきます。詳細はわかりませんが、500回のスクワットというのは、1回1秒としても8分以上ですから、ほぼ有酸素運動能力のトレーニングだと思うんです。もし筋力アップを狙うなら、もっと低回数・高強度になると思いますが、内容は狙いによって変わりますので、どれが正解とは言えません。

 一般的には、オールアウトに至る回数が少ないウエイト(重いウエイト)ほど最大出力を上げる効果が高いと言われていますが、テクニックが伴っていないとあっという間にけがをする可能性も高いので、まずは10回〜15回ほどでオールアウトするウエイトを基本とした全身メニューを組み、締めで自重の500回スクワットで有酸素能力も鍛えるというのはいかがでしょうか。

 ちなみに僕のウエイトトレーニングのイメージというのは、冬の間にみっちり行う基礎トレーニングというイメージになります。多少無駄な筋肉がついても良いので、全身の基礎的な筋力をバランスよく強化し、シーズンが進むにつれて徐々に無駄な筋肉を削ぎ落しつつ「自転車に乗るカラダ」へと仕上げていく。しかしウエイトトレーニングで得た必要な筋肉や神経系のスキルは残るので、それまでよりも高いパワーを効果的に発揮できるようになるでしょう。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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