スポークとハブがない一輪車も備蓄可能な「ストックバイク」がアワード選出 東京サイクルデザインの卒業制作展

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 日本初の“自転車の専門学校”である「東京サイクルデザイン専門学校」が2月12日から14日まで、東京都港区にあるスパイラルガーデン青山で2017年度の卒業制作展を開催した。会場には生徒が作り上げた個性豊かな作品が集結。TCDアワードも発表され、今井保友さんの備蓄可能な組み立て式自転車「ストックバイク」が選出された。

備蓄可能な組み立て式自転車「ストックバイク」を製作し、グランプリに輝いた今井保友さん Photo: Shusaku MATSUO

優れた社会性が受賞理由

 ストックバイクは835mm×420mm×160mmとコンパクトな箱に収納可能な組み立て式小径車。災害を見据えて備蓄をしておき、いざという際には人々の足として機能するバイクを目指して制作された。パイプの接合部にはネジ山が設けられており、同じ色の部位を接合することで簡単に組み立てることができる。

接合部は同じ色のリングを合わせることで、説明書が無くても簡単に組み立て可能 Photo: Shusaku MATSUO
835mm×420mm×160mmの箱に収まるコンパクトさ Photo: Shusaku MATSUO

 作成者の今井さんは「バラバラの4カ所のねじ山を作り、アライメントをとるのが一番時間がかかり苦労しました。同級生や先生からのアドバイスもあり、最後までやり遂げることができました」と振り返った。高橋政雄コースディレクターは「備蓄ができる社会性が素晴らしい。組み立てるのに言葉がいらず、誰でも簡単に可能な点も良かった」と講評した。

チェーンやハブもない個性的な造りの「A ROUND」 Photo: Shusaku MATSUO

 本来ならグランプリのみの選出だが、今回は完成度の高さから準グランプリが急きょ用意され、宮永大輝さんが制作した一輪車「A ROUND」が選ばれた。この自転車はハブやスポークがない車輪にハンドルやサドル、クランクを装着。独創的なデザインながら、実際に走行も可能な自転車として制作された。作成者の宮永さんは「まず、どう設計していいか前例がないためわからない。普通のフレーム作成に使う冶具も使えず苦労しました」と明かした。

準グランプリに輝いた宮永大輝さん制作の「A ROUND」 Photo: Shusaku MATSUO
「今年は大豊作だった」と総括した疋田智さん Photo: Shusaku MATSUO

 また、栃木県那須町で地域密着型プロチーム「那須ブラーゼン」を運営するNASPOから特別賞が伊藤界円さんへと贈られた。伊藤さんは全てクロモリを素材に使ったエアロロードバイクを作成。エアロロードバイクの主流はカーボンだが、どこまでクロモリで対抗できるかと考案したのが制作のきっかけだという。

 賞を決めたNASPO代表の若杉厚仁さんは「いい作品が多く、最後は直感で決めました。もともと選手だったこともあり、乗りたいと思わせたのがこのバイクです」と理由を説明した。那須ブラーゼンでは東京サイクルデザインの卒業生がメカニックとして勤めており、選手たちのバイク整備や組み立てを担当している。

「乗って速い」をコンセプトに製作した伊藤界円さんのエアロクロモリバイク Photo: Shusaku MATSUO

 「パイプの一部だけ空気抵抗を削減したロードバイクは今までありましたが、全部エアロにしてみたかったのを実現しました。タイヤのクリアランスや内装工作が苦労しましたが、速いバイクが完成しました」と笑顔で語った。卒業後はトレックに就職予定だという。

タイヤのクリアランスや、内装工作が苦労したと伊藤さんは解説する Photo: Shusaku MATSUO
「私自身が乗りたいバイク」とNASPO特別賞に選出した那須ブラーゼン代表の若杉厚仁さん Photo: Shusaku MATSUO
トラス構造を採用したシティサイクル「Brackish」 Photo: Shusaku MATSUO

 賞の選考に携わった自転車活用推進研究会の疋田智理事は「今年は大豊作。グランプリ級の作品が5つ、6つと多かったです。未来志向のA ROUNDや、優れた社会性のストックバイクには感銘を受けた。卒業生は未来の種なので、進路でも頑張ってほしい」と総括し、エールを送った。会場には賞を取った作品のほかにも、個性的でテーマを持った自転車が数多く展示。正統派のロードバイクやピストバイク、トラス構造でフレームが組まれたシティサイクル、重い荷物でも安定して運ぶことを目的としたまるでオートバイの様なライディングスタイルになる個性派バイクまでが揃い、来場者の目を楽しませていた。

グラベルロード「WOLF」のダウンチューブはステンレスの板からパイプを作成 Photo: Shusaku MATSUO
重量物を低く、車体の中心に置いた「Scarab」 Photo: Shusaku MATSUO

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