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御神火ライド2018

坂口聖香は冷静なレース運びで2度目の優勝【詳報】シクロクロス東京の“象徴”砂浜を完全攻略 表彰台常連の竹之内悠が初優勝

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 2012年に初開催され、東京・お台場を舞台に熱い戦いが毎年繰り広げられてきたシクロクロスの祭典「シクロクロス東京」。連続開催が一旦ストップする今年、男子エリートを制したのは大会の象徴である「砂」を圧倒的な速さで攻略した竹之内悠(Toyo Frame)だった。これまで何度も表彰台に上がり盛り上げてきた大会の立役者が、念願の初優勝を果たした。女子最高カテゴリーのCL1は、追い上げられながらも冷静な走りを貫いた坂口聖香(S-FAMILIA)が2度目の栄冠を手にした。

「シクロクロス東京」名物の砂浜を攻略し、初優勝を飾った竹之内悠 Photo: Naoi HIRASAWA

攻め続けた竹之内「砂は守りに入ると漕げない」

 60分で争われた男子エリートは、竹之内がホールショットを奪い、前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)、全日本チャンピオンジャージの小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)と続いた。小坂は1周目のうちに前田をパスし竹之内を追うが、砂浜を駆ける竹之内はハイペースを刻み、リードを築いていく。

竹之内悠がホールショットを奪った Photo: Naoi HIRASAWA
スタート直後のサンドセクションは竹之内悠、前田公平、小坂光、織田聖の順番で通過 Photo: Kenta SAWANO
大勢の観客が声援を送るサンドエリア Photo: Naoi HIRASAWA
超ロングサンドセクションの折り返し地点で竹之内悠(手前)に迫る小坂光 Photo: Kenta SAWANO

 2周目は前田が小坂に食らいつき、2位争いを繰り広げるなか、竹之内は大きくリード。そのまま独走に持ち込むかという展開だったが、1周目では快調に飛ばしていたサンドエリアの途中で大幅に失速。このとき竹之内は、今シーズン悩まされてきたけがの影響で踏めなくなり、ペースを落としていた。小坂はここで竹之内に追いつき、3周目はトップでレースを展開。リードを奪い、引き離しにかかった。

3周目、超ロングサンドセクションの折り返しにトップで到着する小坂光。後方は竹之内悠 Photo: Kenta SAWANO
トップに立った小坂光 Photo: Naoi HIRASAWA

 しかし、小坂が先頭を走る4周目、竹之内はサンドエリアで猛追を開始した。徐々に追い上げながら、砂の深いインコース側を走る小坂に対し、砂の締まった波打ち際に進路をとり一気に遅れを取り戻した。竹之内は4周目後半に再び先頭を奪うと、5周目からは再び小坂とのリードを広げ始め、独走態勢に持ち込んだ。

サンドエリアを猛スピードで駆ける竹之内悠 Photo: Naoi HIRASAWA

 トップに立った竹之内は、10周回で争われたレースのなか、序盤のラップタイムを上回るタイムを次々とマークしリードを拡大。サンドエリアでレースを見守る観客たちの前を竹之内が駆け抜けていくと「速すぎる」という声が次々と響くほど、圧巻のスピードだった。2位の小坂とは1分38秒、3位の前田に2分10秒の差を付けフィニッシュ。第1回から出場してきた大会で、念願の初優勝を手にした。

2位の小坂光、優勝した竹之内悠、3位の前田公平 Photo: Naoi HIRASAWA
表彰式の締めはビールファイト Photo: Naoi HIRASAWA

 「今年は(小坂)光が調子いいのはわかっていた」と全日本王者を警戒していたが、「サンドエリアは僕が一番速かった」と自分が優位に立てるエリアを見極めそこで勝負をかけた。独走が決まってからも、「砂は守りに入ると漕げなくなる」と攻めの姿勢を崩さなかった。「途中からコースにラインができて、自分も視界が広くなってきて、走りをコースに合わせられた」と終盤にかけてラップタイムが上がった要因を説明。サンドエリアの走りについても「うまく走ると楽なんです。力がいらなくて、スピードが出ていたらあとはライン合わせるだけ」と言ってのけるほど、磐石の走りだった。

「相手も力を使っている」冷静なレース運びで勝利

 40分間の女子エリート、1周目は全日本王者の今井美穂(CO2bicycle)がトップに立った。すぐ後ろに坂口、少し開いて西山みゆき(Toyo Frame)ら国内有力選手、そして唯一の海外選手であるミラー・メレディス(ラファサイクリングクラブ)が続いた。坂口が背後に迫るなか、今井はトップを守ったまま2周目に入った。

1周目でトップを走る今井美穂 Photo: Naoi HIRASAWA
序盤、お台場のビル群をバックにサンドエリアに突入する坂口聖香(S-FAMILIA)とミラー・メレディス(ラファサイクリングクラブ) Photo: Kenta SAWANO
バイクを担いで今井美穂を抜くミラー・メレディス Photo: Naoi HIRASAWA

 しかし、女子でもサンドエリアの攻防が勝敗を大きく左右した。2周目、今井がバイクを押して進むなか、坂口はバイクに乗って勢い良くパス。このサンドエリアの間で、坂口はトップに立つと同時に大きくリード奪うことに成功した。また、3位につけていたメレディスも今井を猛然と追い上げた。

 さらにメレディスは、3周目のサンドエリアでバイクを担ぎ、バイクを押していた今井の横から抜き去るパワフルな走りを披露。このまま勢いに乗り、4周目の林エリアで大きく挽回し坂口と数秒差までタイムを縮めた。

中盤、超ロングサンドエリアで乗車したまま進む坂口聖香(手前=S-FAMILIA)にランニングで迫るミラー・メレディス(ラファサイクリングクラブ) Photo: Kenta SAWANO
坂口聖香に迫るミラー・メレディス Photo: Naoi HIRASAWA
巧みにバイクを操りサンドエリアを攻略する坂口聖香 Photo: Naoi HIRASAWA

 メレディスのトップも視野に入る展開となったが、サンドエリアでは坂口がリードを奪い返す。メレディスはピットでバイクを交換するなどタイムを失う場面もあり、再び差が広がった。

 最終周回となった5周目も、砂浜でうまくバイクを乗りこなす坂口のテクニックが光った。最後はメレディスに29秒の差をつけて、2度目のシクロクロス東京制覇。3位には1分31秒差で今井が入った。

CL1を制した坂口聖香 Photo: kyoko GOTO

 メレディスに追い上げられた坂口だったが、「そういうときこそ冷静に。ちょっとでも焦ったらくずれる」と平静を保っていた。「追いついてきてる分、相手も力を使っている」と一時リードしていたタイム差をプラスにとらえ、ミスをしないようレースを展開。そして、「砂で乗れるか乗れないかで差が出ると思っていた」という読み通り、サンドエリアで突き放し勝利を飾った。2度目の優勝だが「きつかったのは、断然今回。苦しいレースになると試走の段階から思っていた。報われて良かった」と笑顔が弾けた。

2位のミラー・メレディス、優勝した坂口聖香、3位の今井美穂 Photo: Naoi HIRASAWA
CL1上位3選手のビールファイト Photo: kyoko GOTO

3年後の開催へは「課題がある」

 メインスポンサー「チャンピオンシステム」社長で、大会の実行委員長を務める棈木(あべき)亮二氏は、多くの観客が集まった閉会式に登壇。オリンピック開催の影響で会場が使用できず、今後2年間は開催できないことが決まっているシクロクロス東京の今後について「3年後については、課題がいろいろある。ひとつはUCI(国際自転車競技連合)レース化。金銭面などいろいろなハードルがあるが、それを越えるにはスポンサーが足りない。たくさんの方に来ていただいているが、それでもメジャースポーツに比べればまだまだ」と大会の現状を説明した。

2021年の大会開催に向けて課題を語った棈木亮二実行委員長 Photo: Naoi HIRASAWA

ファンの声援に応えた男女のトップカテゴリー表彰者 Photo: Naoi HIRASAWA

 再開を確約できない段階ながら、棈木氏は「2年間、私たちは休むわけではありません、日本全国のレースに参加してもらい、見てもらいたいと思っています」とシクロクロスの発展を目指す姿勢を見せた。「まずはシクロクロスをやっていただくこと。やらなくても見てくれること。シクロクロスの話をしてくれること。多くの人が関わることで、いつかテレビでシクロクロスが流れている、そんな世界を作っていきたいと考えていると今後の展望を語り、「もしかしたら2021年に再開するかもしれません。その時は必ず来てください。本当に7年間ありがとうございました」と大会のファンや選手、関係者に感謝を述べ締めくくった。

ファンの声援に応えた男女のトップカテゴリー表彰者 Photo: Naoi HIRASAWA

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