産経WEST【デビュー】より自転車は一生乗り続けたい「相棒」~定年退職後、世界中を旅する奥野守さん(70)

  • 一覧

 定年をきっかけに自転車の旅に目覚めた奥野守さん(70)。ドイツのロマンチック街道やドイツ-オランダ間のライン川沿いのコースなど4度の海外サイクルツアーを経験し、現在はドイツの文化を学ぶNPOで幹事として同国との交流にも力を入れている。「いろんな感動や体験に巡り合わせてくれる一生の相棒」と話す自転車の魅力とは。(産経新聞大阪社会部・前川康二)

サイクリング中に出会ったオーストリア人と。道中の出会いと交流が何よりの楽しいという=平成27年7月 オーストリア・ザルツカンマーグート

――自転車との出合いは

 定年目前の58歳の時、残りの人生をどう生きていこうかなと思い、生きがい探しを始めました。合唱サークルに顔を出してみたり、旅行の添乗員の資格を取ってみたり。そんななか、本屋で一冊の本を見つけて。著者がドイツを自転車で旅する旅行記なんですけど、道中の風景や人々との交流なんかが書かれていて、一気に興味が湧きました。

――これまで自転車は

 本格的なサイクリングはしたことがなかった。だから準備には5年をかけました。週末には泊まりがけで琵琶湖や淡路島に出かけ、自転車で1周するなどのトレーニングを積みました。最初はお尻が痛かったりもしましたが、体が慣れてくると、周りの景色を見る余裕も出てきて自転車で走ること自体が楽しくなってきました。

――それ以外の準備は

 旅の行程を決めるのも大変でした。1日どのぐらい走れるか分からないし、天気の問題もある。無理な計画で飛行機に乗れないなんてこともあり得ます。あとは心配性の妻の説得。幸い、中学時代の同級生に計画を打ち明けたところ、一緒に行きたいと言ってくれた。彼は語学も堪能だし、不安はなくなりました。

――初の海外自転車2人旅

 ロマンチック街道といわれるドイツのフュッセンからヴュルツブルクまで、約480kmの道のりを16日間かけて走りました。平成21年のことです。このコースは世界中からサイクリストが集まる場所なので、他国の人と途中まで一緒に走ったり、身ぶり手ぶりを交えて道を尋ねたりしてね。見たことのない土地を、自分の力でペダルをこいで進む。すると、また新しい景色が目の前に広がっていく。宿は簡素なところばっかりでしたが、疲れて飲むビールは最高だった。出発前に「チャレンジ&コミュニケーション」をテーマにしましたが、その通りの冒険旅行になりました。

ドイツへの自転車旅行をきっかけに国際交流などの世界が開けたという奥野守さん=大阪府池田市

――帰国後は

 知人から旅行の体験を話してほしいという依頼があって、何度か講演をしました。そうこうしているうちに、ドイツとの友好を目的としたNPO「クラブ・ツークンフト」(事務局・大阪府枚方市)のメンバーにならないかと誘われたんです。私もドイツのことをもっと知りたい、学びたいと思っていたので、一緒に活動することになりました。

――NPOでは何を

 大学の研究者や現地に赴任していた会社員の方などを講師に招き、現地の文化や歴史、日本との違いなどについて学びます。また、ドイツ総領事館の職員など日本在住のドイツ人との交流会も行っています。2年前には事務局長を務め、現在は幹事として、ドイツのオペラ歌手らを招いたコンサートの企画・運営などを行っています。

――サイクリングは

 24年にはドイツのアウクスブルクからオランダのアムステルダムまでのライン川沿いのルート約1400kmを43日で走破。27年にはベルリンからオーストリアのザルツブルクまで約750kmを33日、昨年もドイツのアルペン街道約500kmを32日で走りきりました。

――今後は

 今夏、10日ぐらいかけて小学6年になる孫を連れて2人でライン川に行きたいと思います。行程は200kmぐらい。やっぱり、世界の広さとか多様さみたいなものを見せてあげたい。それで、自転車に興味を持ってくれたらうれしい。

――奥野さんにとって、自転車とは

 自分一人の力で、どこまでも行けるすてきな乗り物ですよね。それで、いろいろな感動や体験に巡り合わせてくれる。おかげで新しい世界が広がり、友人もできた。70歳になったので海外はいったん終わりと思ってますが、また次の目標を作ってチャレンジしていきたい。一生乗り続けたい「相棒」ですね。

◇         ◇
 【プロフィル】昭和22年6月、大阪市此花区生まれ。日本大建築学科卒業。就職先の大手ゼネコンではマンションの施工管理や設計のほか関連会社の役員などを務めた。現地の映像を流しながら行う自転車旅行の講演はいつも盛況で、講演をきっかけに自転車を始めた人もいるとか。現在は月1、2回、半日かけて自宅周辺をサイクリングする。大阪府池田市在住。

産経WESTより)

関連記事

この記事のタグ

ツーリング

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

自転車協会バナー
CyclistポケットTシャツ

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載