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栗村修の“輪”生相談<120>30代男性「トレーニングの義務感からか、体調を崩すようになってしまいました」

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 初めまして ロードバイクに乗り始めはや4年ほどたつ者です。

 最近ちょっと困っています。乗り始めた頃はほんの趣味として乗っていたロードバイク。もともとスポーツするのが好きで凝り性なのもあり、どんどんのめりこむようになりました。最近では富士ヒルクライムや乗鞍ヒルクライムを、自分なりに本気で取り組むようになり、今年は去年より1分タイムを縮められました!

 しかし一方で次第に増すトレーニング時間。もっと練習しなければという変な義務感からか、ここの所体調を崩したりするようになってしまいました。ヒルクライムでタイムを縮めるため体を絞っているのですが、レースが終わった今になっても体重が増える事が怖くて十分に食事を取れなかったり、逆に週末の夜になると吐くほど食べて飲んでしまったりしてしまいます。学生時代、陸上の選手だった頃は、ここまでナーバスなほうじゃなかったのに、正直困惑しています。

 最近会社の健康診断で初めてバリウムを飲み、先日診断結果が来た時、自分ももうそう若くはないのだと改めて悟りました。無理なトレーニングではなく効果的なトレーニング、体を健康に保てるような自転車ライフを送りたい、そう思っています。どうすればこの悪循環から抜け出せるでしょうか? また、栗村さんには選手時代にこうした経験はありましたか?

(30代男性)

 非常によくあるケースです。僕は選手として、また、監督として、同じような状態に陥った選手たちをずいぶんと見てきました。濃淡はあれど、ほとんどの選手が陥る可能性のあるアリ地獄のような症状ではないでしょうか。

 あまり思い悩まないでくださいね。こういう悩みを抱える方は、えてして真面目でストイックなものですが、そもそも強くなるためには真面目でストイックでなければなりません。その意味では、乗り越えるべき障害といえます。もっとも、才能があれば多少チャラチャラしていても強くなりますが、それは例外であり、偉大なチャンピオンになるためには「真面目」は必須条件なわけですから。

 まずやるべきことは、ちゃんと「回復」を織り込んだトレーニングプランを作ることです。トレーニングは体の破壊です。負荷を掛けて破壊した体を、食事と睡眠で回復させて初めてトレーニングが終わるんです。家に帰ってシャワーを浴びた時点では、まだトレーニング中なんですよ。このことを忘れるとオーバートレーニングに陥ります。

 そして、重要なポイントは、メンタルにも目を向けることです。ヒルクライムや速く走るためのストイックなダイエットは、当然メンタルにも負担をかけます。だから、肉体だけではなく、メンタルも回復させなければなりません。それを忘れると、心理的なオーバートレーニングに陥ります。たぶん、今の質問者さんは、心身ともにオーバートレーニング状態直前なのかもしれません。

トレーニングをする日々に疲れてしまった… Photo: iStock.com/bee32

 ドカ食いをしてしまう、とありますが、これは心理的オーバートレーニングの代表的な症状です。僕も無理なダイエットをしていた現役時代、あるとき突然「爆発」して、大量に買い置きしていた補給食を一気に平らげてしまったりしていました。で、夢中で食べた後は自己嫌悪。よくあります。

 なので、心理的な回復も必要、という事実にもちゃんと目を向けてプランを立てるべきでしょう。たとえば、1週間のうちに休養日を設けるみたいに、敢えて「今日は気にせず食べる日」とかを最初から設定するとか。質問者さんのように真面目な人ほど休養やドカ食いに対して嫌悪感を感じるものですが、あらかじめプランのなかに「強くなるために必要な項目」として入れておけば、罪悪感もわかなくなると思います。

 ベテラン選手ほど、休むのが上手いものです。乗らないときは乗らない。食べるときは食べる。無理は禁物です。心理的オーバートレーニングは、最悪、サプリメント依存になったり、心身の疲労で1シーズンを棒に振ったりといいことはありません。強くなるためには、ナマモノである自分自身のカラダとココロに、「鞭」だけではなくて時に「飴」も必要だという事実と向き合ったプランを立ててみてください。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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