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つれづれイタリア~ノ<番外・おしゃれ編>マルコの辛口ファッションチェック ワールドチームの2018年ジャージデザインを採点

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 今年もお楽しみのUCIワールドチームジャージのファッションチェックの時間がやってまいりました。今回は初めて2月公開となりました。なぜここまで待っていたのか。いつも高評価のチーム、エフデジのジャージの発表が遅れたためです。今シーズンは多くのチームがジャージのデザインを変えたので、ファッションチェックはとても楽しみにしていました。そしてわかったのが、今年のトレンドは何と言っても「水色」です。アスタナのメインカラーだった水色を、アージェードゥーゼール ラモンディアール、カチューシャ・アルペシン、モビスター チーム、あの黒軍団チーム スカイでさえ起用しています。それでは、ファッションチェックに付き合ってください。

UCIワールドチームの2018年ジャージの採点は? Photo: Yuzuru SUNADA

マルコのチェックポイント!

・カラーコーディネート(7:2:1)の原則
・デザイン柄
・オリジナル性
※あくまでも個人的な意見ですので、笑いながらご覧ください。コメントもどしどしください。

合格ラインを越えた12チーム

■100点:ベストレッサーで賞

 クイックステップフロアーズ(ベルギー)はシンプル、すっきり!クラシック!しかもエレガント。昨年の路線を見事に維持して、異なる業界のスポンサーをジャージ中に散りばめても、主張が強すぎずでしゃばりません。胸にある斜めのロゴもアクセントになり、競技用のジャージとしてよくできています。袖にあるスポンサー、ドイツ大手スーパーのリドル社の黄色がアクセントとなり、素晴らしいジャージです。

クイックステップフロアーズ Photo: Yuzuru SUNADA
EFエデュケーションファースト・ドラパック Photo: Yuzuru SUNADA

■90点:元気ハツラツで賞

 昨年キャノンデール・ドラパックチームのメインスポンサーが離れ、消滅しそうになったEFエデュケーションファースト・ドラパック(アメリカ)。ウェブで資金を集めるという斬新な方法などで運用資金集めに成功し、不死鳥のように蘇りました。ジャージも元気のなかったグリーンから変わり、チームの意気込みを物語っているでしょう。

 写真だけを見るとあまりパッとしませんが、このジャージは派手で存在感が抜群です。かつてランプレチームが使用したショッキングピンクを2倍ほど面積を広げ輝かせ(太陽の光が当たると、蛍光色のオレンジも混じっているように感じるほど)、とにかく目を引きます。「いますよ!生きてますよ!」を語っているようです。昨年輝かしい活躍をしたキャプテンのリゴベルト・ウラン(コロンビア)の活躍に注目できるでしょう。ブラーボのひとことです。フロント部分が少し寂しいので、満点にならず。でもオリジナリティーの側面から高得点です。

■80点:似てすぎで賞

 アスタナ プロチーム(カザフスタン)、モビスター チーム(スペイン)、バーレーン・メリダ(バーレーン)、トレック・セガフレード(アメリカ)の4チームがコンセプトとデザイン性で同得点。ジャージから黄色を控えたアスタナと、濃いブルーから水色に変わったモビスター。赤に統一したバーレーン・メリダと同じことを選択したトレック・セガフレード。しかもどのチームもビブ部分は黒に。どれをとっても美しい爽やかな色とデザインです。でもどう考えても似てすぎです。とあるチームの関係者の話によると、前傾姿勢になっている選手の識別は困難を極まります。誰にボトルを渡すかわかりにくく、「ヘルメットの形状で所属の選手を判別しろ!」と言われる始末。実況中継の人は大変でしょうね。

アスタナ プロチーム Photo: Yuzuru SUNADA
モビスター チーム Photo: Yuzuru SUNADA
バーレーン・メリダ Photo: Yuzuru SUNADA
トレック・セガフレード Photo: Yuzuru SUNADA

■75点:無難で賞

 昨年、ランプレの解散から生まれたUAEチーム・エミレーツですが、このジャージは昨年から大きく変わりません。もちろん、新鮮味がかけているものの、安定感があります。どこから見ても、サイクリングジャージの鑑。実は多くのイタリア人が、このジャージを愛してやまない理由があります。UAEというアラビア半島の小さな国がスポンサーを務めているにも関わらず、スタッフはほぼイタリア人。フロント部分にある国旗が似ているため、この点ではアラビアとイタリアの文化をうまく融合しています。今年、イタリアナショナルチャンピオンのファビオ・アール選手が活躍するのを楽しみにしています。

UAEチーム・エミレーツ Photo: Yuzuru SUNADA
ロットNL・ユンボ Photo: Yuzuru SUNADA

■70点:ツール・ド・フランス狙いで賞

 黄色、黄色、黄色!ロットNL・ユンボ(オランダ)はツール・ド・フランス優勝を狙ったのでしょうか。黄色を全面的に出した今年!実にお見事です。このチームのジャージはいつもどう評価するか、悩んでいましたが、今年は色の変化はないものの、黄色の面積を増やし、昨年うるさかったボールのデザインを小さくし、一気にオシャレ感が増しました。気になるのが、やはりツール・ド・フランスで起用するジャージです。規定では、総合リーダーの色である黄色を使ってはいけません。そのため多くのチームは黄色を避ける傾向にあります。特別仕様のジャージで出ることになると思いますが、とてもよくできたジャージです。

■65点:忍術で賞

 珊瑚レッドと白を強調していたカチューシャ・アルペシン(スイス)のジャージは、謎の変化。水色ブームの波に飲まれ、この色を追加したのだと思いたいですが、戦術的な理由からこの色を起用したのでしょう。事前に相手チームの動きを察知したカチューシャのスタッフが、遠くから見るとどのチームかわからないようにして、逃げ集団に選手をうまく滑り込ませることができると確信したでしょう。おそるべき忍術です。微妙な組み合わせで慣れるまで時間がかかりますが、作戦という観点からすると合格点です。

カチューシャ・アルペシン Photo: Yuzuru SUNADA
ロット・スーダル Photo: Yuzuru SUNADA

■65点:女子力が高いで賞

 白に赤。いつもシンプルでクラシック路線に走るロット・スーダル(ベルギー)ですが、今年は遊び心満載。白を全面的に出し、フロント部分は1970年代に活躍したイタリアの強豪ファエ、あるいは初代ウルトラマンを連想させます。後ろポケットの巨大な水玉。あまりにも似かよったジャージの中でヘリコプターの映像からきっと目立つのでしょう。女子力の高いジャージです。

■60点:流行遅れで賞

 長い間親しんだオリカというスポンサーが去り、名前を変更したミッチェルトン・スコット(オーストラリア)。全面的にネイビーを使っていましたが、今年は黒を起用。チーム スカイが黒をやめた途端にほとんどのチームは黒を捨てましたが、おそらく器材を提供するスコット社が大きく関わっているのでしょう。危険も冒険もないデザインですが、安心して着られます。

ミッチェルトン・スコット Photo: Yuzuru SUNADA
アージェードゥーゼール ラモンディアール Photo: Yuzuru SUNADA

■60点:やっとおしゃれになったで賞

 おやおや?いつも酷評のアージェードゥーゼール ラモンディアール(フランス)。この手があったのかと驚きました。フランスの銀行をメインスポンサーとするこのチームはどうしても茶色、水色、白を使いたがります。基本的に合わないカラーリングです。特に茶色系は地味で戦闘力のかけらもない!が、しかし、配色を変えるだけでこのようにオシャレに変身できるとは、驚きました。ファッションデザインを習う学生は見習うべきです。見事に合格ラインを通過。今年はこのチームのファンがきっと増えるでしょう。

ここから不合格ライン

■55点:マトリックスで賞

 世界チャンピオンのペテル・サガン(スロバキア)のファンには申し訳ないですが、ぎりぎり合格点だったボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)のジャージは、今年は不合格に。黒を控え、ミントグリーンを全面的に打ち出したことで印象は冷たくなり、活気を感じられません。まるで凍りつく北海の海底か、SF映画マトリックスの世界観を演出しているようです。素晴らしいチームですが、完全にジャージ負けしています。少しがんばれば、合格点に復帰!

ボーラ・ハンスグローエ Photo: Yuzuru SUNADA
ディメンションデータ Photo: Yuzuru SUNADA

■50点:どこから見ても手抜きで賞
 ディメンションデータ(南アフリカ)は今年もシンプルというか、手抜き?になったデザイン。ヨーロッパでグリーンは「希望」を意味します。そのため、緑色は増えたのでしょう。そして言うまでもなく、ツール・ド・フランスにおいてグリーンはポイントリーダージャージの色です。今年こそマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)がポイント賞をサガンの手から奪い返したいという思いの表れでしょうか。とにかくどこかでやる気のない寂しいジャージです。

■40点:存在感が薄いで賞

 うん…。チーム スカイ(イギリス)はお葬式カラーと揶揄されたジャージでしたが、昨年のツール・ド・フランスから180度方向転換。白と水色に! 白はたしかにさわやかで清潔感がある色ですが、水色も主張が弱く、全体的に存在感が薄くなりました。黒のビブと喧嘩してしまいます。なぜこの色を選んだのでしょう。キャプテン、クリス・フルームが潔白だと言う訴えでしょうか。もしくは自転車を提供するピナレロ社の希望が強く反映されているのでしょうか。確かに水色と白はピナレロ本社が本拠地を置くトレヴィーゾ市のメインカラーです。でも印象として血の気がなく、威圧感、戦闘力を感じられません。残念の一言です。

チーム スカイ Photo: Yuzuru SUNADA
チームサンウェブ Photo: Yuzuru SUNADA

■35点:いつまでトラックの下敷きになるので賞

 チーム サンウェブ(ドイツ)は昨年とほぼ同じ、変更なしのジャージです。目立った特徴もなければ、相変わらず胸に謎の黒い線2つ。大型車やトラックに轢かれた跡にしか見えませんので、選手達がかわいそう。もちろん、とても強いチームです。そのためジャージもがんばってもらいたい。

■30点:どうしてこうなるで賞
 ジャージファッションチェックの時期を遅らせたのが、何と言ってもこのチーム、グルパマ・エフデジ(フランス)です。グルパマがメインスポンサーに就き、デザインも一新! しかし、箱を開けてみたら、唖然としました。洗練された前シーズンのジャージは一気に寂しくなり、2015年のカチューシャのジャージをトレス。色を白に潰し、とにかく慌てて作った感が強すぎます。残念の一言です。せめてミラノ~サンレーモで見事な活躍を見せてくれたキャプテンのアルノー・デマールの活躍に期待しましょう。

エフデジ ©FDJ
BMCレーシングチーム Photo: Yuzuru SUNADA

■30点:サイケデリックで賞

 かつては洗練され、いつも高評価だったBMCレーシングチーム(アメリカ)のジャージ。袖にある某高級時計メーカーの白と襟のブルーの登場で一気にデザインの暴走が始まりました。白、ブルー、赤、黒、グリーン…。あとは何が足りない?黄色?このごちゃごちゃ感がひどく、低評価につながりました。いくらスポンサーロゴがチームの生命線でもこの配置は見苦しい。色をたくさん使わない選択もあったのでしょうにと担当者に問います。今年のクイックステップから学んでほしい。

■20点:いちごポッキーで賞

 出た!迷走しつづける日本ナショナルチームジャージ。謎々のシマウマデザインから卒業したと思ったら、いちごポッキー時代へ。日本と全く関係のないシマウマから日本の某菓子メーカーの商品に変わった点ではポイントアップにつながりましたが、これが代表チームに相応しいジャージなのでしょうか。

ジャパンナショナルチーム Photo: Naoi HIRASAWA

 背中部分は悪くないとして、なぜフロントにいちごポッキーにしか見えない棒が配置されたのでしょうか。そして、なぜ日本の文字はこんなに小さいのでしょうか。聞いた話では、「JAPAN」の文字をファスナーで切ってはならないということのようで、国の名前は胸の左側に小さく埋め込まれています。ウールジャージやハーフファスナーの時代なら大きく書いても問題はなかったのですが、フルファスナーになっている現代では、名前を切っても誰も気にしないことです。験担ぎのような古いしきたりがデザインの邪魔をしているのでしょう。

 白と赤の組み合わせは、どうしても扱いにくいので、発想を変え、違う色を探ってみてはどうでしょうか。イタリア代表チームのベース色は青空色で、オランダに関してはオレンジ。日本サッカー代表やほかの競技のジャージを参考にしてほしい。まぁ、メーカーを変える勇気があっただけで未来に希望を持てましょう。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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