“聖地”を走って、食べくらべ愛媛を味わいつくす自由気ままな柑橘ライド 3月開催「オレンジサイクリングラリー」<前編>

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 “聖地”しまなみ海道をはじめ、ブルーラインが整備されたサイクリングルートなどでサイクリストから人気の愛媛県。忘れてはいけない愛媛の魅力といえば、柑橘類だ。温かい気候とともにサイクリングシーズンを迎える3月には、旬の柑橘を巡るスタンプラリー「えひめオレンジサイクリングラリー」が初開催される。爽快なサイクリングと、驚くほど品種の多い柑橘類、疲れた身体を癒す温泉など愛媛の魅力ぎゅっと濃縮した自転車旅をCyclist編集部が体験した。

瀬戸内の多島美としまなみ海道を望みながら、柑橘畑に囲まれた坂を上る ©愛媛県

スタンプ数に応じた豪華賞品

 「えひめオレンジサイクリングラリー」は、3月の土日6日間(3、4、10、11、17、18日)に開催される。愛媛県各地の15カ所以上に用意されたチェックポイントを巡るスタンプラリーで、スマホアプリ「いまどこ+」を使っての応募と、応募用紙にシールを集めるという2つの参加方法が用意されている。集めたスタンプの数に応じて、特賞から1等~4等まで用意された賞品に応募できる。

 その特賞は「みかんの木オーナー権」。温州みかんの木を遠隔栽培する権利で、収穫された温州みかんはもちろん、ジュースをもらうことや、マイみかんの木で収穫体験もできる。そのほか高級柑橘の詰め合わせ、ポンジュースセットなど、賞品も柑橘尽くしだ。

柑橘狩りを楽しめる農園などがチェックポイントに ©愛媛県

 参加無料で、どのチェックポイントをどのルートでまわるかは参加者の自由。チェックポイントは、旬を迎えた品種の柑橘がどっさりと並ぶ道の駅、柑橘メニューが豊富な飲食店、柑橘狩りのできる農園などさまざま。たくさんのチェックポイントをまわって豪華賞品を目指すもよし、自分の好きなルートを走りながら少しだけ寄り道してスタンプを集めるもよしだ。

サイクリスト優遇サービスとみかんジュースがお出迎え

 愛媛は国内トップの41品種を生産する“柑橘王国”。サイクリングと柑橘の魅力を一度に味わえるコースを紹介してくれたのは、プロマウンテンバイクライダーの門田基志さんと、愛媛の自転車女子ユニット「ノッてる!ガールズEHIME」の大川由生子さん。今治市出身で愛媛のサイクリング振興に尽力している門田さんにとって、柑橘をテーマにしたサイクリング企画は念願だったという。

空港内の更衣室で着替えてサイクリングに出発できる ©愛媛県

 愛媛の玄関口である松山空港では、サイクリストのためのサービスがいくつも提供されている。四国の文化であるお遍路さんと共用の更衣室が設けられているほか、インフォメーションセンターでは輪行箱や輪行袋を無料で預けることができ、工具の貸し出しも行っている。さらに空港のビルから出るとサイクルラックが用意され、そこでバイクの組み立てができる。「空港に着いたらまず移動」ではなく「空港からそのままサイクリングへ出発」できる拠点となっているのだ。

松山空港内に出店している「オレンジバー」 ©愛媛県

 また“柑橘王国愛媛”を象徴するように、到着ロビーの目の前にあるショップ「オレンジバー」では、「愛媛は蛇口からみかんジュースが出るらしい」という都市伝説を実現させた「蛇口からみかんジュース」が販売されている。3種類の柑橘をブレンドしたここでしか飲めないオリジナルジュースで、甘みが強いのにすっきりとした味わい。松山に降り立ってすぐに“柑橘王国”の一端を味わってから、サイクリングへ出発できる。

「蛇口からみかんジュース」を注いでくれた、ノッてる!ガールズEHIMEの大川由生子さん ©愛媛県

自転車を持ち込める乗り物がアクセントに

 えひめオレンジサイクリングラリーは目的地もルートも自由なので、どう楽しむかは参加者の好み通りに設定できる。この日は門田さんと大川さんに案内されながら、松山から北上して、チェックポイントや愛媛の魅力あるサイクリングスポットを巡りながら今治港を目指した。

 このエリアには、自転車をそのまま載せられる乗り物があり、サイクリングのアクセントとしても楽しめる。三津の港内をショートカットする「三津の渡し」は、市道の一部として扱われている渡し船だ。男性が1人で動かす小さな船で、約80mの区間を往復している。市民の生活の足として長年使われ、ママチャリを載せるのも当たり前。スポーツバイクも同じように無料で載せられる。

オレンジ色にカラーリングされた伊予鉄道の車両が、梅津寺駅に停車 ©愛媛県

 松山~今治間を全て走りきるのもいいが、便利な電車を使うこともできる。松山の中心市街から各地へ伸びる伊予鉄道は、土日祝日のみサイクルトレインとして利用できる。1列車につき先着10台まで、車両内の決められた「自転車持ち込みスペース」を使用するというルールはあるが、乗車券+自転車持込料の100円を支払うことで自転車を解体したり輪行袋に入れたりしなくても載せられる。交通量の多い市街地を電車で抜けて、走りやすいエリアだけおいしいとこどりで走り、愛車と一緒に電車に揺られるのもよさそうだ。

 また、松山から北へ向かう伊予鉄道高浜線は、趣ある木造駅舎の終着駅、高浜駅がテレビドラマ「ガリレオ」劇場版のロケ地として登場。隣の梅津寺駅はオーシャンビューをホームから眺めることができ、「東京ラブストーリー」で使用された。大川さんは「桜が有名なので、時期によっては花見も楽しめるかもしれません」。サイクルトレインを利用できる駅で、印象深い景観に出会える貴重な体験だ。

伊予鉄道では、土日祝日はサイクルトレインとして自転車の持ち込みが可能になる ©愛媛県

サイクリストを導くブルーライン

松山観光港にあるカフェ「ツクモハーバーテラス」 ©愛媛県

 少し早い昼食のため立ち寄ったのは、高浜駅から少し走ったところにある松山観光港。ここには一面ガラス張りで店内からオーシャンビューを楽しめるカフェレストラン「99(ツクモ)ハーバーテラス」があり、名産を生かしたグルメ、柑橘を使ったドリンクなど愛媛の食材を使ったメニューがそろっている。

 人気メニューのひとつ「宇和島風鯛めしセット」は、愛媛県南部の郷土料理をアレンジしたメニュー。鯛の刺身や卵黄、薬味をご飯に乗せ甘めの醤油ダレをかけた丼ぶりで、鯛といえば淡白なイメージがあるが、タレと卵黄によってうまみが引き立てられ、鯛のプリプリとした歯ごたえも楽しめる。ドリンクも、みかんの素材をそのまま感じられる「愛媛のつぶ入り蜜柑ジュース」、鮮やかなブルーが南国を思わせる「しまレモンスカッシュ」などバリエーション豊富だ。

ツクモハーバーテラスの人気メニュー「宇和島鯛めしセット」 ©愛媛県
「愛媛のつぶ入り蜜柑ジュース」と「ブラッドオレンジジュース」 ©愛媛県
「しまレモンスカッシュ」など柑橘類のドリンクはメニューが豊富 ©愛媛県

 観光港はまだまだこの日のルートの序盤。ここからしばらく海沿いや街中を進んでいくと、ブルーラインの敷かれた国道196号に合流できる。愛媛をはじめ四国各県はブルーラインの整備が進んでいるが、松山の道後温泉~今治間はそのなかでもさきがけとなった区間だ。ラインが引かれているだけでなく、ピクトと呼ばれる案内表示が目的地までの距離や交差点で進行方向を知らせてくれるので、地図とにらめっこしなくてもサイクリングに集中して楽しむことができる。

瀬戸内海を望みながら、道後と今治を結ぶはまかぜ海道を走る ©愛媛県

醍醐味は柑橘の食べ比べ

 国道196が海沿いの通りにぶつかると、ビーチのすぐそばにある道の駅「風早の郷 風和里(ふわり)」に到着した。オレンジサイクリングのスポットのひとつで、サイクルラックやテーブル・イスなどがあって休憩にはもってこい。実はここまでドリンクでしか柑橘を味わえていなかったが、いよいよ柑橘とのご対面だ。

 風和里の青空市場の一角には、柑橘類が10品種ほどの柑橘がどっさりと並んでいた。関東で生活している筆者にとっては見慣れない名前の柑橘類も。ほどよく走ってきたことで、甘くてさわやかな柑橘はとても魅力的な“エイド”に見える。せっかくなので遠慮なく色々な品種を手に取った。

10品種ほどの柑橘類がずらりと並ぶ道の駅「風和里」(ふわり) ©愛媛県

 大川さんが数ある柑橘のなかでも特に好きだという「甘平(かんぺい)」は、サイズにもよるが大きなものなら300円以上することもある品種。大きさとは裏腹に、ぎゅっと粒がつまった食感や繊細な味が。こちらも高級品種の「紅まどんな」は甘みが強くてジューシー、ゼリーのような食感でスプーンですくう食べ方もあるのだとか。筆者は紅まどんながお気に入りだ。

いろんな品種の食べ比べは“柑橘サイクリング”の醍醐味 ©愛媛県

 ほかにも、さわやかな味わいの「はれひめ」など、何を食べてもおいしい。お気に入りは紅まどんなだけれど、ほかの品種もいくら食べたって飽きないのだ。大川さんは「何人かのグループでサイクリングして、何種類か食べ比べしたら楽しいですよね。試食もできるので、好きなものを選んで買ってみてください」と話す。道の駅のスタッフにオススメを聞くのもいいだろうし、気になった柑橘は手にとってみて間違いはないだろう。

“宝探し”のような柑橘狩り

 ブルーラインを少し逸れて次に訪れたのは、ジュースやマーマレードなどの加工品も生産している果樹園「三皿園」。農薬、除草剤、化学肥料なしの有機栽培で、10品種ほどの柑橘を育てている。オレンジサイクリングが開かれる3月は、旬を迎えるデコポンやあまなつを狩ることができるという。通常は柑橘狩りを行っていないが、今回はチェックポイントに指定されているため特別に体験できる。

好きな色や形の柑橘を見つけるのは宝探しのような楽しさ ©愛媛県
3月の三皿園はデコポンやあまなつが頃合を迎える ©愛媛県

 よく手入れされたハサミを手に取った大川さんは、「どれにしましょうか」と目を輝かせる。「柑橘狩りって、実は愛媛出身の人でもあまりやったことないと思います」と意外な一言。となれば県内外の人にとって、貴重な経験ができるイベントということ。鈴なりの柑橘のなかからおいしそうなものを探し出すのは宝探しのようで、食べ比べとは違った贅沢感だ。

 この日の最終的な目的地は弓削島。しまなみ海道よりも東側に位置する「ゆめしま海道」の一角で、今治港からフェリーで1時間ほどで辿り着く。フェリーに乗る際、自転車は乗組員に預けて船上でまとめて保管してもらう。日が沈み暗くなっていくなかで、翌日走ることになるしまなみ海道・ゆめしま海道のシルエットを遠くに見ながら船に揺られる。

プライベートな露天温泉からオーシャンビュー

 この日の宿泊地は、「アイランド・シー・リゾート・フェスパ」。全室オーシャンビューの客室や温泉が魅力。自転車を受付で預かってもらえるほか1、2台であれば客室内に持ち込める。なお、フェスパは高台に建てられているため、自転車で訪れると最後はかなりの激坂が待っている。

弓削島の温泉宿泊施設「インランド・シー・リゾート・フェスパ」を出発 ©愛媛県

 天然温泉を使った大浴場は、木の香りが漂う和風と、リゾート気分を味わえる南国テイストの浴室の2タイプで、男女で日替わりとなる。さらに、一部の客室には露天風呂がついているので、朝には日の出とオーシャンビューをプライベート空間で楽しめる。気持ちよくサイクリングに出発するのには絶好のシチュエーションだ。

「インランド・シー・リゾート・フェスパ」の夕食 ©愛媛県
露天の温泉がついている豪華な部屋も ©愛媛県

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サイクリング しまなみ海道 ゆめしま海道 愛媛県

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