メンバー間の連携でも収穫トマ・ルバが総合2位でフィニッシュ UAEで開催のシャールジャ・ツアー最終ステージ

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
  • 一覧

 キナンサイクリングチームが出場した中東・UAEで開催のシャールジャ・ツアー(Sharjah Tour、UCIアジアツアー2.1)は1月27日、最終となる第4ステージが行われ、前日の第3ステージで2位となり、個人総合でも2位につけたキナンのトマ・ルバが順位をキープし、総合表彰台を獲得した。シーズン開幕戦でUCIポイント獲得の好結果で、今後のレースへの大きな弾みとした。出場した6選手が全員完走し、メンバー間の連携においても収穫の多い大会となった。

トマ・ルバを個人総合2位に送り込んだキナンサイクリングチーム。最高のシーズンインとなった。(左から)中島康晴、山本元喜、雨乞竜己、ルバ、ジャイ・クロフォード、椿大志 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

最終日はシャールジャ市内のスピードコース

 2018年の初戦としてUAEへと乗り込んだキナンサイクリングチーム。チーム力の高いUCIプロコンチネンタルチームも複数参戦したハイレベルの戦いにあって、第2ステージでは雨乞竜己が7位、第3ステージではルバが優勝争いに加わり2位と、日々見せ場を作ってきた。そして、最後のチャンスとなる第4ステージを迎えた。

石田哲也監督を中心に最終のミーティング Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 今大会唯一の山岳ステージとなった第3ステージで好走したルバが個人総合でも2位に浮上。同12位にジャイ・クロフォードがつけるほか、逃げを打った椿大志、集団内でのアシストに従事した山本元喜、雨乞竜己、中島康晴もトラブルなく走りきり、メンバー6人全員が最終日に駒を進めた。

 その第4ステージは、大会の拠点都市であるシャールジャ市内に設けられた周回コースを10周する99.10km。オールフラットで、スプリンターのために用意されたと言ってもよいほどのコースレイアウト。ハイスピードで展開されることが予想される中、180度ターンやラウンドアバウト、大小さまざまなコーナーと、集団内でのポジショニングはもちろん、落車やパンク、メカトラブルといったアクシデントへの注意が必要になる。キナンサイクリングチームとしては、第2ステージに続きエーススプリンターの雨乞で勝負に挑むことを確認。同時に、ルバの個人総合順位を落とさないことも意識づけた。

スタートまでの時間を待つトマ・ルバ Photo: Syunsuke FUKUMITSU
スタートラインについた椿大志はカメラに向かって笑顔 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

スプリント作戦は悔しい幕切れ

 レースは、1周回目で6人の逃げグループが形成され、メイン集団はしばし容認の構えを見せた。キナン勢もスプリントを意識しつつ、リーダーチームやスプリンターチームに続く好ポジションで進行。逃げと集団とのタイム差は2分前後で推移した。

運河沿いのストリートを使ってのレース。向こうに見えるのはシャールジャ首長国の政府機関が入る庁舎 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
集団内を走る山本元喜 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
ジャイ・クロフォードも終始集団の前方をキープ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 大きな動きがないまま、レースは終盤へ。UCIプロコンチネンタルチームが主にメイン集団のコントロールを担いながら、逃げる選手たちとの差を着々と縮めていく。逃げメンバーを全員捕まえ、スプリント勝負が濃厚になったのは、残り5kmを切ったタイミングだった。

 キナン勢は予定通り雨乞のスピードに賭ける。個人総合で上位につけるルバとクロフォードは安全な位置へと移り、椿、山本、中島がリードアウトを務めた。有力チームが入り乱れ、隊列を崩されることこそあったものの、雨乞を前方へと送り出して最終局面を迎えた。

スプリンターチームの後ろで隊列を組んで走るキナンサイクリングチームの選手たち Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 あとは加速するだけとなった雨乞だったが、役割を終えた他チームのリードアウトマンと接触。スピードに乗せきることができないまま、25位でフィニッシュラインを通過した。スプリントでも勝負できるチームであることをアピールすべく、高い士気で臨んだレースだっただけに、チームとしては悔しい形での幕切れ。フィニッシュ直後には、全選手での“即席ミーティング”が行われ、トライを繰り返しながらスプリントへの精度を高めることを誓い合った。

スプリントを託された雨乞竜己(左から3人目)だったが、他選手との接触もあり上位進出はならず Photo: Syunsuke FUKUMITSU
フィニッシュ直後に全選手での即席ミーティング。スプリントまでの精度を高めていくことを確認し合った Photo: Syunsuke FUKUMITSU

初戦でUCIポイント獲得と好発進

 一方で、個人総合成績ではルバが2位をキープし、総合表彰台を確保した。リーダージャージのハビエル・モレノ(スペイン、デルコ・マルセイユプロヴァンス・カテエム)がフィニッシュ直前で中切れした後方のグループに取り残されたことが関係し、最終の総合タイム差はわずか3秒だった。

個人総合2位の表彰を受けるトマ・ルバ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 また、このステージでルバや雨乞とともに前方でフィニッシュしたクロフォードが、個人総合で9位に浮上。今大会を通じてキナンサイクリングチームは、UCIアジアツアーポイントを115点獲得。ルバが90点、クロフォードが25点をチームにもたらした。

トマ・ルバは山岳賞でも2位となり表彰を受けた Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 ヨーロッパやアジア、アフリカの強豪との戦いを終えたチームは、引き続き今後のレースに向けた準備を進めていく。2月からはイベント出演やキャンプが控えており、選手はもとよりチーム全体としてモチベーションがより高まっていくことだろう。

●トマ・ルバのコメント
総合成績には満足している。タイムトライアルがあったり、平坦区間の比重が多かったレースにあって、唯一の山岳ステージで総合成績につながる走りができたことが個人的に良かった。スプリントステージの走りについては、次のレースに必ず生かしていきたい。経験を重ねていけば好結果に結びつくだろう。
シーズン開幕戦で素晴らしいリザルトを残せたのは、チームとしての意識の高さが関係していると思う。昨シーズンはツール・ド・フィリピン(クロフォードが個人総合優勝)で、そして今年はシャールジャ・ツアーで絶好のスタートを切ることができてうれしい。
ステージ編成や出場チームの顔ぶれを見ても、かなりレベルの高かったレース。とても充実している大会だと感じた。

第4ステージ結果(99.10km)
1 ヤクブ・マレチュコ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)2時間6分45秒
2 ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプトサイクリングクラブ)+0秒
3 アイディス・クルオピス(リトアニア、ヴェランダスウィレムス・クレラン)
4 モハドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)
5 ミカエル・グーラールツ(ベルギー、ヴェランダスウィレムス・クレラン)
6 ルカ・パシオーニ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)
19 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)
25 雨乞竜己(キナンサイクリングチーム)
28 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム)
32 中島康晴(キナンサイクリングチーム)+18秒
91 山本元喜(キナンサイクリングチーム)+20秒
95 椿大志(キナンサイクリングチーム)+52秒

個人総合
1 ハビエル・モレノ(スペイン、デルコ・マルセイユプロヴァンス・カテエム)8時間52分32秒
2 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)+3秒
3 ニコライ・ミハイロフ(ブルガリア、デルコ・マルセイユプロヴァンス・カテエム)+15秒
4 サリム・キプケンボイ(ケニア、バイクエイド)+17秒
5 クエンティン・パシャール(フランス、ヴィタルコンセプトサイクリングクラブ)+33秒
6 ガブリエル・レグエロ(スペイン、ヴィブスポーツ)+41秒
9 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム)+53秒
83 中島康晴(キナンサイクリングチーム)+13分53秒
86 雨乞竜己(キナンサイクリングチーム)+13分57秒
87 椿大志(キナンサイクリングチーム)+13分59秒
101 山本元喜(キナンサイクリングチーム)+16分12秒

ポイント賞
1 ヤクブ・マレチュコ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ・セッレイタリア)50pts
8 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)20pts
20 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム)10pts
22 雨乞竜己(キナンサイクリングチーム)10pts
28 中島康晴(キナンサイクリングチーム)7pts

山岳賞
1 エディ・ファンヘールデン(南アフリカ、南アフリカナショナルチーム)12pts
2 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)11pts
14 椿大志(キナンサイクリングチーム)1pts

ヤングライダー賞
1 サリム・キプケンボイ(ケニア、バイクエイド)8時間52分49秒

チーム総合
1 デルコ・マルセイユプロヴァンス・カテエム 26時間38分26秒
13 キナンサイクリングチーム +10分50秒

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

キナンサイクリングチーム

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載