サントス・ツアー・ダウンアンダー2018 第6ステージ(最終)“ミスター・ダウンアンダー”グライペルがスプリント勝利 総合はインピーが初制覇

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 オーストラリアで開催された2018年UCIワールドツアー第1戦、サントス・ツアー・ダウンアンダーは1月22日に最終日を迎えた。大会のフィナーレを飾る第6ステージは、アデレード市街地での周回レース。これを制したのはアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)。第1ステージに続く、今大会2勝目、ダウンアンダーのステージ勝利記録を伸ばす通算18勝目を挙げた。総合争いでは、前日のステージでリーダージャージを獲得したダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット)が首位を守り切り、初の個人総合優勝に輝いた。

第6ステージを制し、ツアー・ダウンアンダーのステージ通算18勝目を挙げたアンドレ・グライペル Photo: Yuzuru SUNADA

有力選手やチームの思惑が入り乱れたレース展開に

 1月14日に行われたオープニングクリテリウム「ピープルズ・チョイス・クラシック」で始まった今大会は、いよいよ最終日。前日行われた第5ステージまでを終えて、インピーと総合2位につけるリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)とはタイム差なしの大接戦。後続も僅差で続き、リーダージャージの行方は最後の第6ステージの結果にゆだねられた。

リーダージャージを着用してスタートしたダリル・インピー Photo: Yuzuru SUNADA

 この日のレースは、アデレード市街地に設けられた4.5kmのコースを20周回する合計90km。例年スプリントフィニッシュとなるが、途中のスプリントポイントでは3位通過までにボーナスタイムが付与されることもあり、総合順位のアップをもくろむ選手やチームが仕掛けるシーンがこれまで数多く見られてきた。そして今回も、総合上位の選手たちの思惑が入り乱れたレース前半となった。

 スタート直後から逃げを狙って数選手が前方をうかがうが、その動きが容認されるまでに時間を要した。ようやく逃げが決まったのは5周回目。トルルス・コルシャイス(ノルウェー、アスタナプロチーム)とローガン・オーウェン(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が抜け出し、さらにローラン・ディディエ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)が合流。3人が逃げグループを形成した。

メイン集団内を走る新城幸也 Photo: Yuzuru SUNADA

 この日1回目の中間スプリントが設置された8周回目に入り、コルシャイスとディディエが意識的にメイン集団へと戻る動きを見せる。その集団では、トレック・セガフレードを中心に一気にペースアップ。逃げグループから下がってきた2人も自チームのアシストに加わり、総合17位でスタートしたルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナプロチーム)と同13位のルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード)の引き上げに成功。トップ通過こそオーウェンに譲ったが、2位通過のサンチェスは2秒、それに続いたゲレイロは1秒のボーナスタイムを獲得し、この時点で総合順位をジャンプアップさせた。

 これらの間隙を縫って、メイン集団からベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)がアタック。オーウェンに追いつくと、10周回目途中に設置された山岳ポイントを1位で通過した。さらに、集団からアントワーヌ・デュシェーヌ(フランス、エフデジ)が飛び出し、単独で追走を開始。12周回目に設けられた2回目の中間スプリントは、先行した3人が上位通過し、メイン集団に待機した総合上位陣が動くことはなかった。

 残り5周回を迎えたあたりからメイン集団のペースが上がっていく。グライペル擁するロット・スーダルや、リーダージャージのインピーとエーススプリンターのカレブ・ユアン(オーストラリア)が控えるミッチェルトン・スコットが主に前へ出て、集団のペースをコントロール。先頭2人に追いつくことができなかったデュシェーヌや、オーウェンのアタックに対応できなかったオコーナーをあっという間に吸収。粘り続けたオーウェンも、残り3周回に入ったところで集団に飲み込まれた。

グライペルが通算勝利記録を伸ばす快勝

 逃げていた選手を吸収してからは、スプリントを意識した動きへとシフト。各チームがトレインを形成して集団でのポジショニングに集中する。最終周回の180度ターンで総合9位につけていたジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNL・ユンボ)ら数人が落車したが、レース全体に影響を及ぼすことはなく、プロトンはフィニッシュを目指して進行。今大会を通じてアシストとしての働きが光っていた新城幸也(バーレーン・メリダ)が先頭へ出る場面もあった。

フィニッシュラインめがけてバイクを投げ出すアンドレ・グライペルとカレブ・ユアン。軍配はグライペルに上がった Photo: Yuzuru SUNADA

 主導権争いが混沌としたまま最終局面へ。クイックステップフロアーズのトレインがスピードアップすると、逆サイドからユアンが一気に加速しライバルとの差を広げにかかる。しかし、この動きをしっかりとチェックしていたグライペルが猛追。最後はフィニッシュライン手前でユアンをかわし、鮮やかにステージ優勝を決めた。今大会2勝目、ステージ通算では18勝目となり、“ミスター・ダウンアンダー”の呼び名に応える快勝となった。

 注目された総合争いは、終始冷静な走りを見せたインピーがジャージを守り切り個人総合優勝を確定させた。ステージ優勝こそなかったものの、連日上位フィニッシュを繰り返し、さらにはウィランガ・ヒルを上った第5ステージでも2位と好走したことが勝因になった。UCIワールドツアーのレースでは初の総合タイトルを手にした。

個人総合優勝を決め記念のシャーレを高々と掲げるダリル・インピー Photo: Yuzuru SUNADA

 その他の最終成績は、スプリント賞がペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、山岳賞がニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ)、新人賞はエガン・ベルナル(コロンビア、チーム スカイ)がそれぞれ獲得した。

 また、日本人選手の総合成績は新城が43位、別府史之(トレック・セガフレード)が63位。ともにチームのエースを総合上位に送り込むなど、アシストとして貢献度の高さをうかがわせている。

 UCIワールドツアー次戦は、1月28日のカデル・エヴァンス・グレートオーシャンロードレース。今大会と同じくオーストラリアでのレースとなる。その他、UCIワールドツアー以外のレースも始まり、世界各地で2018年のサイクルロードレースシーズン開幕を迎えている。

第6ステージ結果
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) 2時間1分19秒
2 カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +0秒
3 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4 フィル・バウハウス(ドイツ、チームサンウェブ)
5 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
6 スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、UniSA・オーストラリア)
7 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ)
8 マッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)
9 カルロス・バルベロ(スペイン、モビスターチーム)
10 マッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)
49 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)
59 別府史之(日本、トレック・セガフレード)

個人総合(最終成績)
1 ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) 20時間3分34秒
2 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +0秒
3 トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ) +16秒
4 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチーム・エミレーツ) +20秒
5 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)
6 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム スカイ)
7 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
8 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナプロチーム) +23秒
9 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード)
10 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +24秒
43 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +9分0秒
66 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +16分22秒

スプリント賞(最終成績)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 64pts
2 カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 56pts
3 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) 52pts

山岳賞(最終成績)
1 ニコラス・ドラミニ(南アフリカ、ディメンションデータ) 48pts
2 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 36pts
3 スコット・ボウデン(オーストラリア、UniSA・オーストラリア) 26pts

新人賞(最終成績)
1 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム スカイ) 20時間3分54秒
2 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード) +3秒
3 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアール) +4秒

チーム総合(最終成績)
1 バーレーン・メリダ 60時間11分50秒
2 ディメンションデータ +26秒
3 クイックステップフロアーズ +1分4秒

敢闘賞
ローガン・オーウェン(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)

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