title banner

つれづれイタリア~ノ<110>ロードレースのトレーニング合宿に新しいメッカ スペイン・カルペにプロチーム大集結

  • 一覧

 みなさん「ホラ~(¡Hola!)」。UCIプロコンチネンタルチーム、NIPPO・ヴィー二ファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニのトレーニング合宿を取材するために、スペイン南部カルペ市に来ました。ヨーロッパのほとんどの国を訪れましたが、スペインは初めて。そしてさまざまな意味で驚きの連続です。カルペは人口2万人に満たない小さな街ですが、どちらかというと海のリゾートのイメージが強い。地元の経済を支えるのは観光業とオレンジ栽培。バレンシア州特有のオレンジ畑が延々と広がっています。とてものどかな場所です。

合宿中のNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニの選手らがTTバイクのテスト。一般ライダーも次から次へ現れる Photo: Marco FAVARO

どこを見てもロードバイク

 しかし、この街についた途端に信じられない光景を目にしました。どこを見てもロードバイクに乗っている人、人、人!途切れることがありません。そして重要な事実がわかりました。多くのプロチームがここで冬合宿を行っています。

バーレーン・メリダのチーム。ツアー・ダウンアンダー組以外、全員カルペで集合 Photo: Marco FAVARO
他のチームに遭遇。日常的に見かける風景 Photo: Marco FAVARO

 確認しただけでもアスタナ プロチーム、クイックステップフロアーズ、チーム サンウェブ(男女両チーム)、EFエデュケーションファースト・ドラパック、ディメンションデータ、バーレーン・メリダ、CCC・スプランディ・ポルコウィチェ、イスラエルサイクリングアカデミー、コフィディス ソルシオンクレディ、チーム ノボノルディスク、WB・アクアプロテクト・ヴェランクラシックなど。

すれちがうNIPPOとバーレーン・メリダ Photo: Marco FAVARO

 さらにマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ、フランコ・ペリツォッティ(ともにイタリア、バーレーン・メリダ)らチャンピオン級の選手があちらこちらにいます。ナショナルチームや、あまり見かけない無数のコンチネンタルチームとエリートチームもここに集結しています。

 まるでジロ・ディタリアに来ているかのような錯覚に陥っています。NIPPOもこの街で合宿を行うのは初めてですが、多くのチームがカルペに集まる理由を探ってみました。

フェリーを利用し、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニのトラックとバスも現地入り Photo: Marco FAVARO
ホテルのレストランは自転車関係者で溢れる Photo: Marco FAVARO

温暖でアクセスや道路環境も良好

 2000年代から多くのプロチームが合宿でスペインを訪れていました。今まで有名だったのが、カナリア諸島のテネリフェ島でした。アフリカ大陸の西側に位置するスペイン領で気候が良く、2000mを超える山があるため多くのプロチームを引きつけていました。

 しかし、最近カルペ市も冬の合宿場所として選ばれています。地中海に面するこの街は1月に雨がほとんど降らないうえ、平均気温は18度。冬の嵐がヨーロッパを襲っているなかでも、こちらでは昼になるとTシャツ1枚で過ごせます。

1月でも、水着姿で日光浴できる日があります Photo: Marco FAVARO
プロ以外は、カルペ周辺のコースを走るサイクリストが多い Photo: Marco FAVARO

 テネリフェ島と比べてアクセスしやすいのもメリットで、ヨーロッパのほとんどの国が飛行機で100分圏内。時差の心配もありません。この街は海のレジャーで生きているだけに、ホテルが充実しています。冬はオフシーズンのため全体的に静かで交通量も少なく、宿泊料も安い。

道はきれいで走りやすい環境が整っている Photo: Marco FAVARO

 走れるコースにも魅力があります。道幅が広く、アスファルトの状態は良好。海岸線に適度なアップダウンが続き、内地に入ると600mを超える山間部が広がっています。トレーニングや身体テストを行うにはちょうどいい高さです。また、クルマのドライバーは自転車への理解度が驚くほど高い。無理な追い越し、幅寄せをしないうえ、クラクションも鳴らさない。イタリアや日本と正反対です。どこから見ても良いことづくめです。カルペ観光局が発行するサイクリスト用のルートガイドがあり、プロもほぼこのコースを走ります。

バレンシア地方の荒々しい山間部 Photo: Marco FAVARO
NIPPOの練習前の和やかな雰囲気 Photo: Marco FAVARO

UCIレースカレンダーの影響

 かつて合宿の代名詞といえば、イタリア南部またはイタリア中部を位置するトスカーナ州でした。スペインと同様に冬は比較的に暖かいです。本来ならイタリアのチームはスペインまで行く必要はありませんでしたが、近年の気候変動の影響で雨と雪が多く、合宿を行うことが困難になりました。

 もう一つ、スペインを目指す理由がUCIレースカレンダーの変化です。数年前までは、3~4月にヨーロッパで行われる春のクラシックレースから本格的にロードレースシーズンがスタートしていました。選手たちは2月にフランスやスペイン、イタリアで行われるワンデーレースに参加しながら、クラシックレースまでに調子を整えることができました。

ベルギーのプロコンチネンタルチーム、WB・アクアプロテクト・ヴェランクラシック Photo: Marco FAVARO

 しかし、1~2月に南半球や中東で開かれるレースが増え、選手たちはそこでもベストのコンディションで挑まなければなりません。そのため、中東のステージレースなどで優勝を狙うチームもアクセスしやすく、練習が邪魔されない場所を探し求めた結果、カルペ市に落ち着いたのです。ここにやってくる選手のほとんどが、すでに体内脂肪は6%前後にあり、5%になるまで体を絞ります。

多くのホテルがジムとスパを完備。選手たちはさまざまなトレーニングができる Photo: Marco FAVARO
ホテルの窓から眺める夕景 Photo: Marco FAVARO

 もちろん、合宿の目的はレースで戦える体を作り上げることですが、もう一つの重要な目的があります。レースで離れ離れとなる選手やスタッフの団結力を高めることです。その様子はまた今度お伝えしようと思います。その前に、次回は1年に1回のジャージファッションチェックをお楽しみください。新しくなった日本ナショナルチームのジャージにもメスを入れます。ご期待ください。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

関連記事

この記事のタグ

つれづれイタリア~ノ

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

自転車協会バナー
CyclistポケットTシャツ

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載