体に負担をかけないことが予防にサイクリング中にも起こりうる「突然死」のリスク もしもの時のAED

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 サイクリングにはどんなに気をつけていても交通事故の可能性が存在していて、なかには死亡事故に発展してしまうケースもある。さらに事故以外の原因でも、体に負担をかける状況での運動が、心臓が正常に拍動できない「心停止」状態を引き起こすリスクが潜んでいる。まず大切なのは、そのリスクが高くならないよう予防することだが、万が一心停止状態になってしまった時には、1秒でも早くAED(自動体外式除細動器)を使用することが突然死を防ぐことにつながる。

オムロンのAED「HDF-3500」 ©OMRON

気をつけたい心停止のケース

 道路を通行する以上、サイクリストはクルマや歩行者などとの衝突・接触事故に最大限注意しなければならない。こうした事故だけでなく、操作ミスや悪い路面コンディションによって単独落車してしまう恐れもある。落車の際に、心臓がハンドルや周辺の物と強くぶつかるようなことがあれば、それが心停止につながることもある。

 また、寒い時期には低体温に陥ったり、春から夏にかけての時期は脱水したりするのも心停止につながる可能性を高める。冬なら隅々まで温かくする、夏なら水分をこまめに補給するなど、気象条件による体調不良には常に注意を払っているサイクリストも多いはずだ。

 これらのトラブルにはほとんどのサイクリストが気をつけていそうだが、サイクリストにとっての日頃の習慣が、突然の心停止のリスクを高めていることもある。「自分はなるわけない」と思うような人でも、心停止のリスクを高めてしまっているかもしれない。心臓病、生活習慣病、高齢などはリスクを高める大きな要因だが、それに当てはまらない人が心停止になった件数が心停止者の全体の40%を占めるだけに、どんな人にとっても他人事ではないのだ。

睡眠不足やストレスは要注意

 睡眠不足はリスクを上げる要因の一つ。週末のレースやサイクリングイベントに睡眠不足のまま現地に向かい、体調が万全ではない状態で走っている人などは要注意だだ。早朝は体温も低い可能性があるので、寒さ対策も欠かせない。

チームで走っているからといって、無理をしすぎると心臓に負担をかけることにつながりかねない Photo: iStock.com/ImagesbyTrista

 生活習慣病の予防・改善のために休日に自転車に乗っているけれど、日頃あまり運動していないという人であれば、急激に負荷の強い運動にならないよう、ペース配分に気をつけたり、ウォームアップやクールダウンしたりして体をケアしたい。また、レース中やチームメイト、仲間と一緒にサイクリングするなかで、走行ペースを合わせ無理についていこうとする人も負荷がかかりやすいので注意が必要だ。

 また、ストレス耐性の弱い人も心停止が起こりやすいという。レースなどの大会前に緊張して心臓がバクバクしてしまうような人は、なるべく気持ちを落ち着かせられるようにしたい。

迅速な対応がカギ

 心停止の主な原因とされるのは、致死性の不整脈「心室細動」「心室頻拍」。心室細動は心臓がけいれんしてしまう。心室頻拍は筋肉が非常に早いリズムで心臓を収縮させる状態のことを指す。これらは心臓の血液を送り出すポンプ機能を失った状態になる。AEDはこの状態の心臓に電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための機器。意識がなく、普通に呼吸できていなければ心停止の恐れがある。そうなった時がAEDの出番だ。

パットを直接肌に貼り、心臓の状態を解析、必要があれば電気ショックを与える ©OMRON

 使ったことがない人にとっては、そうした状況で正しく扱えるか心配になるかもしれないが、安心して使える理由がふたつある。ひとつは、AEDの電源を入れ、あとは音声ガイドに従えばいいということ。AEDの操作は電源を入れ、パッドを右胸と左脇腹の2カ所に貼り、電気ショックのボタンを押すというステップだが、パッドの貼る位置や電気ショックが必要かどうかは音声で知らせてくれる。心臓マッサージなど電気ショック前後の行動も案内されるのでそれに従っていけばいい。

 もうひとつ安心して利用できる理由として、AEDにはパッドを貼った後にまず心電図で心臓の状態を解析し、必要な場合にのみ電気ショックのボタンを押すよう「音声で指示」する機能がある。そのため倒れて意識がない人がいた場合には、少しでも早くAEDを使用するのが理想だ。

AEDの設置場所を調べる

 交通事故によって死亡にいたるケースに比べると、心停止が起きた場合の方が死亡にいたっている割合が圧倒的に高い。逆に言えば、AEDを使用できればより多くの人命を助けられるということになる。

 救急車を呼んでから到着するまでには時間がかかるが、心室細動が起こってから電気ショックを与えるまでの時間が長びくと、1分ごとに生存率が10%近く低下していく。もしサイクリング中に仲間が突然心停止に陥ってしまった場合、必ずしも近くにAEDがあるとも限らないが、救急車が到着するまでにAEDを使える状態なら自分が使うことで生存率を高めることができる。

※総務省消防庁統計資料(H28年版)、警察庁 交通事故の発生状況、消防白書(H28年版)より引用 ©OMRON
※AHA 心肺蘇生と救急心血管治療のための国際ガイドライン2000、救急蘇生法の指針2010(市民用)、総務省消防庁 統計資料(H28年)より引用 ©OMRON

 AEDの設置場所は「日本救急医療財団 全国AEDマップ」などのウェブサイトで調べることができる。スマホ用アプリも用意されているので、これらを活用すればライド中の突発的な事故に対処できる可能性を高められるだろう。

オムロンは講習会で普及活動

 AEDを製造しているオムロンヘルスケアは、納品時の講習会を原則的に実施し、社会貢献の一環として少年野球大会や、チャリティーマラソン大会「淀川 寛平マラソン」といったスポーツイベントや学校などで講習会を開催している。

「伊豆大島御神火ライド2017」で福田萌子さんらが行ったAEDの講習会 Photo: Naoi HIRASAWA

 また、昨年Cyclistが企画・運営したロングライドイベント「伊豆大島御神火ライド2017」でも前夜祭のステージで講習を実施。ゲストのモデル、福田萌子さんが大島町消防本部のメンバーと一緒にオムロンのAEDを使用して模擬演習を行った。

 オムロンはこうした活動のほかにも、ウェブ上でもAEDの使用法の紹介や、AEDを使用する事態にならないよう呼びかけるなど啓発に努めている。

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