新城、別府の両日本人選手も出場ワールドツアー開幕戦 ツアー・ダウンアンダーの見どころ・有力選手を紹介

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 2018年のワールドツアー初戦となるサントス・ツアー・ダウンアンダーが1月16日に開幕する。束の間のオフシーズンを経て、本格的なサイクルロードレースの到来を告げる6日間のステージレースの見どころと、有力選手についてプレビューしていく。

2017年大会の総合優勝はリッチー・ポート。地元オーストラリア人選手が活躍することの多い、南半球唯一のワールドツアーのステージレースだ Photo : Yuzuru SUNADA

温暖な南半球でのステージレース

 ツアー・ダウンアンダーはオーストラリア・アデレードを中心に開催され、非常に多くの観客を動員している。2013年には一連のイベントを通じて延べ76万人動員した。2016年からは女子レースも始まり、2018年からは女子ワールドツアー(WWT)の一つ下のカテゴリーである2.1クラスに昇格している。

海水浴も楽しめそうなビーチを通過するステージもあり =サントス・ツアー・ダウンアンダー2017 第5ステージ Photo : Yuzuru SUNADA

 日本とは反対の南半球に位置するアデレードは現在夏である。1月の平均最高気温は29.3度で、過去には最高気温45.7度も記録したことがあり、かなり温暖な気候だ。さらに1月の平均降水量は19.0mmと、東京で最も降水量が少ない1月でも月間48.6mmなので、アデレードは温暖でカラッとした過ごしやすい気候だといえよう。

 オセアニア地域では唯一のワールドツアーのステージレースということもあり、地元オーストラリアの選手たちはトップコンディションに仕上げていることが多い。ゆえに、ワールドツアーに昇格した2008年(※当時はプロツアー)以降、10回中7回オーストラリア人選手が総合優勝を果たしている。そんなツアー・ダウンアンダーの2018年のコースの見どころを紹介していく。

例年よりアップダウンが多くクライマー向き

 かつてはスプリンターが総合優勝することも珍しくなかったが、近年は上りに強いクライマーやパンチャーが総合優勝することが多くなっている。上りに強い選手が活躍できるステージが増えてきたからだ。

 また、ツアー・ダウンアンダー本戦の前々日にはピープルズ・チョイス・クラシックというレースが行われる。1周2.3kmの周回コースを22周するクリテリウム形式で開催される。UCI公認レースではなく、ジャパンカップサイクルロードレースにおけるジャパンカップクリテリウムのようなもので、本戦に向けてスプリンターの調子を図る絶好のレースだ。なお、カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が2連覇中である。

 スプリンター向きのステージは第1、3、6ステージだ。いずれも、最終ストレートの長さは確保されており、シンプルにポジション争いと純粋なスプリント力によって勝敗が決するステージだといえよう。

サントス・ツアー・ダウンアンダー2018 第4ステージコースプロフィール ©Santos Tour Down Under

 他の第2・4・5ステージがクライマー、パンチャー向きのステージとなっているが、第2ステージは上りが得意なスプリンターにも勝機があるステージだ。フィニッシュ地点のスターリングに向けて、約8kmほど上りとなっている。上りの前半の前半の4.6kmは平均勾配3%、少し下ってからフィニッシュまでの2.4kmは平均勾配3.8%となっている。それほど勾配が厳しい訳ではないので、例年50〜100人ほどの選手がトップと同タイムでフィニッシュしている。

 とはいえ、上りが苦手なピュアスプリンターはなかなか勝負に絡めることはできないだろう。総合狙いの選手にとっては、ボーナスタイムをめぐる攻防が繰り広げられる。

ツアー・ダウンアンダー2018 第5ステージコースプロフィール ©Santos Tour Down Under

 第4ステージはツアー・ダウンアンダー初登場となるウレイドラへフィニッシュする。残り13.2km地点から登坂距離5.8km、平均勾配5%のテリンギーの上りが設定されている。フィニッシュまでの7.4kmはさらにアップダウンを含んでいる。上りでアタックを仕掛けて独走に持ち込むような走りが得意なパンチャーにうってつけのステージだろう。

 第5ステージは名物ウィランガヒルへとフィニッシュするクイーンステージだ。登坂距離3km、平均勾配7.5%となかなかのパンチ力を持っている上に、沿道に凄まじい人数の観客が埋め尽くし、ツール・ド・フランスさながらの熱気のなかで山岳バトルが繰り広げられる。

ウィランガヒルの上りは、ツール・ド・フランスのように沿道は切れ目なく観客で埋め尽くされている Photo : Yuzuru SUNADA

 ウィランガヒルの上りはリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が非常に得意としており、2014年から4連覇中である。

 ツアー・ダウンアンダーの総合争いは秒単位での接戦となることも多く、各ステージには設定されているボーナスタイムの獲得が鍵を握ることが多い。1位には10秒、2位は6秒、3位は4秒のアドバンテージを得ることができる。

昨年4勝のユアンと通算16勝のグライペル

2017年大会は4勝をあげたカレイブ・ユアン Photo : Yuzuru SUNADA

  続いて有力選手をスプリンターと総合優勝候補に分けて紹介していく。2016年は2勝、2017年は4勝と猛烈なスプリントを見せていたユアンには再び大きな期待がかかる。

 リードアウトはダリル・インピー(南アフリカ)と、直前にオーストラリアチャンピオンになったアレクサンダー・エドモンソンが務め、盤石の布陣となっている。今年も最多勝の筆頭だといえよう。

4年ぶりの参戦となるアンドレ・グライペル。2014年はステージ2勝をあげている=ツアー・ダウンアンダー2014 第4ステージ Photo : Yuzuru SUNADA

 4年ぶりに参戦するアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)は、ツアー・ダウンアンダーとの相性がとても良い。2008、2010年大会で総合優勝し、通算16勝をあげている。

 ミラノ〜サンレモやパリ〜ルーベなど春のクラシックを目標の一つにしているグライペルは、例年シーズン序盤のコンディションは非常に良く、2016、2017年と2年連続でシーズン初戦を勝利している。

2年連続参戦のペテル・サガン。意外にもステージ勝利はまだない Photo : Yuzuru SUNADA

 もちろん世界チャンピオンの証であるアルカンシェルを身にまとうペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も注目の選手だ。昨年は3回2位に入るなど、あと一歩のところでユアンに及ばなかった。今年こそツアー・ダウンアンダー初勝利を狙う。

 チーム スカイから移籍したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)は、ファビオ・サバティーニ(イタリア)とのコンビネーションが復活する。スカイ時代は潤沢なリードアウトに恵まれなかったが、クイックステップの強力トレインの力を借りて勝利なるか。

 2016年U23世界選手権ロード王者、2017年ツール・ド・ラヴニール1勝&ポイント賞のクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チーム スカイ)のワールドツアーデビュー戦にも注目が集まるだろう。

ポートは総合2連覇、ウィランガヒル5連覇を狙う

 昨年総合優勝したポートが、今年も優勝候補の最有力候補だろう。2位に48秒差をつけての勝利だったが、2008年以降の総合成績では最も開いたタイム差であり、まさに圧勝劇だった。年々磨きのかかっているウィランガヒルで5年連続勝利も狙う。

通算4度の総合優勝を誇るサイモン・ゲランスは、今季BMCレーシングチームに移籍した =ツアー・ダウンアンダー2016 Photo : Yuzuru SUNADA
昨年はリッチー・ポートのアシストに回ったローハン・デニスは、直前のオーストラリア国内TT選手権で3連覇達成 =ツアー・ダウンアンダー2015 Photo : Yuzuru SUNADA

 さらにポートのチームメイトには、2006、2012、2014、2016年に総合優勝しているサイモン・ゲランス(オーストラリア)、2015年に総合優勝したローハン・デニス(オーストラリア)もいる。BMCは誰が勝っても不思議ではない強力チームとなっている。

スターリングの上りスプリントを制したジェイ・マッカーシー(右) =ツアー・ダウンアンダー2016第2ステージ Photo : Yuzuru SUNADA

 ポートの対抗馬として期待されるのは、昨年総合3位のジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)だ。直前のオーストラリア選手権では2位に入り、ツアー・ダウンアンダーに向けて上々の仕上がりを見せている。

 上りだけでなく、スプリントにも優れた選手なので第2、4ステージでは勝利を期待できる。大量のボーナスタイムを獲得できれば、ウィランガヒルでポートの後塵を拝しても総合優勝を狙うことも可能だろう。

ウィランガヒルでステージ2位に入ったネイサン・ハース(中央) =ツアー・ダウンアンダー2017第5ステージ Photo : Yuzuru SUNADA

 同じくオーストラリア人選手からネイサン・ハース(カチューシャ・アルペシン)も優勝候補に挙げたい。昨年大会は総合4位で、ウィランガヒルではポートから20秒遅れのステージ2位に入っていた。

 ジャパンカップで2度勝利を収めているが、未だワールドツアーでの勝利経験はない。カチューシャに移籍したことで、心機一転更なる飛躍を期待したい。

 オーストラリア選抜チームの一員として出場するネイサン・アール(オーストラリア、イスラエルサイクリングアカデミー)は、昨年大会は総合11位だった。チームUKYOで走っていた日本でもお馴染みの選手であり、UKYOでの活躍もあって、今季はイスラエルサイクリングアカデミーへ移籍を決めた。イスラエルで開幕する今年のジロへの出場が有力視されているチームであり、出場メンバーに選ばれるためにもアピールしていきたいところだ。

2月21日に開幕するアブダビツアーに向けて、良い状態で挑むと思われるルイ・コスタ =アブダビツアー2017第3ステージ Photo : Yuzuru SUNADA

 オージー軍団への対抗馬として、ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチーム・エミレーツ)の名を挙げたい。UAEに本拠地を置くチームにとって、2月に行われるアブダビツアーでの活躍は必要不可欠である。昨年は見事にルイ・コスタが総合優勝を飾っており、もちろん今年も優勝を狙っているだろう。

 となると、1月のこの時点でコンディションを高めておく必要がある。だからこそ好調オーストラリア勢に対抗することができるのではないだろうか。

2018年シーズンもワールドチームで走る2人 Photo : Yuzuru SUNADA

 そして、新城幸也(バーレーン・メリダ)、別府史之(トレック・セガフレード)も出場する。新城は昨年に続いての出場で、別府は念願かなって初出場となる。

 新城はヨン・イサギレ(スペイン)のアシストが主な任務となりそうだ。トレック・セガフレードにはエーススプリンターと呼べる選手が出場していないため、別府が集団スプリントに加わる可能性もあるかもしれない。

 いずれにせよ両日本人選手の活躍も楽しみにしたいところだ。

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