サイクリスト

御神火ライド2018

意外に多い肩や背中、首の悩み脚だけでないサイクリストの身体の“凝り” 「Dr.ストレッチ」で解消法を体験

by 平澤尚威 / Naoi HIRASAWA
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 サイクリングは身体に急激な負担をかけずにできるため、運動前後にストレッチをしない人もいるかもしれないが、同じ姿勢で長時間にわたって走れる分、身体のどこかに負荷がかかり続けている。ストレッチ専門店「Dr.ストレッチ」トレーナーの川鍋里佳さんは、サイクリストへのストレッチを通して「足腰よりも肩や背中、首など上半身に悩みをもっている人が多い」ということに驚いたという。Cyclist編集部は川鍋さんによるストレッチを体験し、サイクリストに効果的なストレッチなどを聞いた。

Cyclist編集部が、ストレッチ専門店「Dr.ストレッチ」でサイクリストに効果的なストレッチを体験した Photo: Naoi HIRASAWA

スポーツ後に身体をリセット

Dr.ストレッチ自由が丘店の店内 Photo: Naoi HIRASAWA

 筆者がストレッチを受けたのは今回が初めて。ストレッチというとスポーツ前の準備運動や柔軟体操など1人でもできるものを連想していたが、専門家から指導されながら施術を受けるストレッチには、どのようなメリットがあるのかが気になるポイントだ。

 Dr.ストレッチは、東京を中心に関東、近畿、福岡など全国に100以上の店舗を展開する専門店。この日、取材のためDr.ストレッチ自由が丘店を訪れると、そこで待っていたのは元住吉店で店長を務める川鍋さん。2017年9月に開催されたCyclist企画・運営のロングライドイベント「伊豆大島御神火ライド2017」のDr.ストレッチブースで、大会参加者へのストレッチを担当していた女性だ。

全国に100以上の店舗をかまえるDr.ストレッチ Photo: Naoi HIRASAWA
Dr.ストレッチ元住吉店で店長を務める川鍋里佳さん Photo: Naoi HIRASAWA

 ストレッチはどのタイミングで、どんな用途で受けるべきなのか、さっそく聞いてみた。川鍋さんは、用途は人それぞれとしながらも「おすすめしたいのは、スポーツ後のケアとして来てもらうことです」と話す。運動によって固まったり、こわばったりした身体を、疲労していない状態にリセットできることがストレッチのメリットで、時間が経ってからではなく運動の直後にストレッチをするのが効果的だ。また、運動前にストレッチすることもパフォーマンスを上げるための効果があるという。

サイクリストに重要な肩甲骨や大胸筋

「伊豆大島御神火ライド」で参加者から好評だったDr.ストレッチブース Photo: Naoi HIRASAWA

 川鍋さんは伊豆大島御神火ライドのブースで初めて多くのサイクリストにストレッチし、そこで印象的だったのは「上半身の悩みが多い」ということだったという。

 サイクリストは脚の筋肉量が多く、筋肉のつき方はマラソンなどランニング系のスポーツに近い。しかし、マラソンは下半身に悩みを抱える人が多い一方で、「脚を使うので、お尻から下が固くなっているだろうと思っていましたが、肩、背中、特に首に疲労を感じている方が多かったです」と意外な実態がわかった。

サイクリストの“意外な悩み”について話した川鍋里佳さん Photo: Naoi HIRASAWA

 川鍋さんが気になったのは肩甲骨や大胸筋。ロードバイクに乗ると前傾姿勢になり、ブレーキといった手先の動きで腕肩も使うため、肩甲骨まわりが固まりがちになっている。また上半身に体重がかかり血管や神経を圧迫すると、けがのリスクがより一層高くなるため、大胸筋のストレッチも重要だ。

 また、上半身の悩みが多いとはいえ、やはり脚も重要だ。特に、脚を上げることはしっかりできるが、股関節の左右の動きは苦手な人が多い。同一方向の動きだとそこにしか筋肉が使われないが、左右の動きもできると負荷が一点に集中しなくなるので、身体のパフォーマンスは上がるという。

力を抜くことで効果が最大に

脚や腕をさまざまな方向に動かしてほぐしながら可動域もチェック Photo: Naoi HIRASAWA

 こうしたサイクリストの気になる箇所のストレッチを、実際に受けてみた。まずは下半身から。仰向けの状態で脚を伸ばしたまま上に上げ、股関節をしっかり動かすように回し、次はひざを曲げて同じように回す。次に、ひざを曲げたまま身体に寄せたり、内側に倒したり、逆に外側に開いたりと、さまざまな方向に動かす。脚を動かすときに、ひざから下の向きを少し変えるだけで、伸びる筋肉が変わってくるのがはっきりと感じられる。

脚の曲げ方や動かす方向によって、伸びる筋肉が異なってくる Photo: Naoi HIRASAWA

 股関節を回す時にも、片側はスムーズでも、回す向きを反対方向にしてみると、自分でも明らかに違いがわかるほど動きが悪かった。このように、可動域が前後や左右で違うことがわかったりする。川鍋さんはそういった特徴から、どの部位に負荷がかかっているか、日頃どのように身体を動かしているかなどがわかるという。また、このような自分の身体についての新しい発見はどこか楽しく、「普段からちゃんと動かそう」とも考えさせられる。

肩のまわりをほぐしていくと、こんな角度で曲げることも可能に Photo: Naoi HIRASAWA

 サイクリストが固まりがちだという肩甲骨まわりは、腕を外側に広げてゆっくり回し、次に内側に曲げ肩を動かて徐々にほぐしていく。ほぐれたら、胸を広げるように肩を後に引いたり、首を伸ばしながら肩を下に下げたり、逆に腕を上に引っ張って脇を伸ばしたりと、股関節の時のようにさまざまな方向に動かし可動域を広げていく。このような動きは自分1人では難しく、トレーナーに伸ばしてもらうストレッチならではだ。また、筆者の場合はこのような施術になったが、人によって、動きの悪い箇所によってメニューは変わってくる。

腕を後ろに引いて肩甲骨まわりをほぐす Photo: Naoi HIRASAWA
片方の肩を上げ、反対側は下げる Photo: Naoi HIRASAWA

 こうやってストレッチを受けてみると、1人ではできないくらいに関節が動き、身体を伸ばせていることを実感できた。ストレッチ中にはよく「力抜いてください」「息吸って、ゆっくり吐きましょう」と声をかけられる。これは「身体を全体的に脱力した状態にすることで、最大限の効果を生み出すため」だという。1人では自覚できないような箇所に力が入ってしまっていると指摘してもらえるので、高い効果を得ることが可能だ。また、自分の身体のどの部位が動きづらいのかわかることで、改善する目標がはっきりと生まれるのも大きなメリットといえるだろう。

タオルを使った肩甲骨のセルフストレッチ Photo: Naoi HIRASAWA

 コースを受ける以外にも、セルフストレッチを行うことで、効果を持続させることができる。コース時のように動かすのが難しい肩甲骨のセルフストレッチは、タオルを両手で持って、頭の後ろで上げ下げするのが効果的。肩甲骨のまわりが柔らかい人は肩幅くらいの広さでタオルを掴んでも動かせるが、固い人だと動かすことも難しいので広めに持って始めるといいそうだ。

ひざを身体の後ろにセットして、前側に体重をかけることで腿を伸ばす Photo: Naoi HIRASAWA
脚を開いた状態で腰かけ、手で反対側の脚を掴むセルフストレッチ Photo: Naoi HIRASAWA

ストレッチで痛みの解消も

ひざから下の角度を少しずつ変えながら脚を回したり倒したりする Photo: Naoi HIRASAWA

 身体の痛みを感じた場合にも、ストレッチが有効だという。例えば、けがをするとその箇所をかばうように周りが収縮していることがあるが、「こういった動きはどうですか?と聞きながら、動きの『○』『×』を判明させていくと、痛みの原因がわかってきます」と川鍋さん。腰痛や、ひざの関節、肩こり、首などどんな痛みでも、とにかく原因を追及し、その箇所のまわりからストレッチしてほぐしていくことで解消できる。

タオルを使って自分でもできる脚裏のストレッチ Photo: Naoi HIRASAWA

 また、寒い時期は血流が悪くなるだけでなく、身体が縮こまり凝り固まりやすいので、けがのリスクも増えてくる。ストレッチで血流をよくするのは予防にも効果的だが、冷え切った身体で動かすとけがのリスクが増えるので、ストレッチもウォーミングアップをしながらが理想的だ。川鍋さんは「歩けば歩くほど身体があったかくなるのは、関節を動かしているから。めいっぱい関節を動かすようにすると、血流がよくなります」とウォーミングアップのコツを語った。

 Dr.ストレッチには、スポーツはしていないが、身体の歪みや不調から、腰の痛みや肩こりなどを持っている人も多く来店する。そのような人の場合、関節をうまく使えていない人が多く、「その人が可動域を知ること」が大きなメリットになっている。「ここが動きづらい」といった発見をすることで、それを正す動きが習慣になり、よりよい状態に近づけようという好循環が生まれてくるという。

一部店舗でバイク持ち込みもOK

 Dr.ストレッチには、基本的に自転車を中に置ける店舗が多く(詳細は各店舗に要確認)、ライド後に立ち寄ることも可能。ストレッチ中に着られるウェアの貸し出しもあるので、サイクルウェアで走った後でも気がねなく利用できる。

「ストレッチで『新しい自分を見つけられた』と感動してもらえたら」と語る川鍋里佳さん Photo: Naoi HIRASAWA

 川鍋さんは、「ロードバイクに乗っている人の声を直接聞けて、必要なストレッチがわかりました。サイクリングは長時間走り筋疲労が起こりやすいので、関節まわりをどのくらい動かせるか、筋肉を伸ばせるかが大事」とライド後の疲労を取り除くことへ自信を見せる。「ストレッチで身体のことを知って『新しい自分を見つけられた』くらいの感動があれば、私もうれしいなと思っているので、そういったストレッチを提供したいです」とストレッチへの思いを語った。

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