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つれづれイタリア~ノ<109>プロコンチームの栄養士から学ぶダイエット法  痩せるための4つのポイント

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年末年始の休暇で、おなか周りに変化がある人も多いのでは…? Photo: iStock.com/riskms

 年末年始の休みが終わり、仕事に復帰している人が多いと思います。そして毎年のように、この時期になるとあの悩みがやってきます。「太ってしまった!」ということです。ロードレースやトライアスロン、持久系のスポーツをある程度真面目に取り組んでいる人にとって、体重増加は大きな障害です。何とかして1gでも体を絞りたい。が、しかし!年末年始の長期休暇の影響でどうしてもたくさんのおいしいものを食べてしまい、結果はお腹周りが無残な姿に。

ガスプロム・ルスヴェロの栄養士として活動するエリカ・ロンバルディさん(左から2人目) ©Gazprom-RusVelo

 確かに息抜きは精神的に大事です。でも春に向けて元の姿、いやそれ以上にスリムな姿を戻したい人のために、今日のコラムが役に立てばと思います。電話インタビューに応じてくれたのが、多くのアスリートやトップチームの栄養士を務める元アスリート、エリカ・ロンバルディ博士です。ロンバルディさんは、UCIプロコンチネンタルチーム「ガスプロム・ルスヴェロ」の栄養士として活動中。さて、太る原因と痩せるためのポイントを聞いてみましょう。

エリカ・ロンバルディさんのプロフィール

 クロスカントリーランニングの元イタリア代表選手。食事療法に失敗し、選手を引退。スポーツと食事との関係を調べ、イタリアオリンピック委員会医学院で研修を受け、シエナ大学医学部に入学。2004年アテネオリンピックのマラソンで金メダルを獲得したステファノ・バルディーニの指導に当たる。2009年にベビージロ・ディタリア「ジロ・ビオ」の栄養士として自転車競技に携わる。現在、ダイエット・コーチやUCIプロコンチネンタルチーム、ガスプロム・ルスベロの栄養士としても活動。

――ロンバルディさん、体重減は持久系スポーツに挑む人の永遠の課題です。どうすれば効率のいい体になれますか。

栄養士としてチームを支えるエリカ・ロンバルディさん ©Gazprom-RusVelo

 まず、本気で体重減に取り組みたい人は、スポーツ医師やスポーツ栄養士の元で指導を受けないと、簡単にスポーツに生かせる体になれないと思います。でも軽い体はスポーツだけでなく、日常生活にも役に立つのでぜひ誰にでも取り組んでもらいたいと思います。イタリアも最近、過食する人が多く、世界中に共通する問題だと思います。

――年末年始で太った体は取り戻す方法はないですか。

 一旦太ってしまった体型を取り戻すには時間がかかります。プロの選手やセミプロ市民レーサーを目指す人だと、スポーツ医師や栄養士の指導のもとBMI(世界共通の肥満度の指標)などを分析し、栄養プログラムを組むことが有効な方法です。インターネットで書かれている方法は参考になりますが、自己流は逆効果をもたらすこともあります。今回は、一人でできる簡単な方法を教えます。まずは太る原因を説明したいと思います。

 太る原因は、運動量に対しカロリーと塩分を過剰摂取することです。冬は練習量が減る一方、食べる量は変わらない人が多いので、脂肪が簡単に蓄積されます。これが生き物として備え付けられた自然の仕組みです。塩分に関しても注意しなければなりません。本来、自然界ではどの食べ物にも入っていますので、強いて言えば摂取しなくてもいいです。しかし、現代社会では、保存食の腐敗を避けるため使用されているので、常に過剰摂取になりかねません。

――なぜ過剰摂取はいけないのでしょうか。

 塩分は、体内でナトリウムとなって骨や血液、消化液などに運ばれます。しかし、ナトリウムの運び役であるカリウムの摂取が不足すると、カリウムの変わりに細胞が水分を取り込み、塩分濃度を薄めようとします。塩辛い食べ物を食べると、のどが渇く現象です。塩分濃度を薄めるため、体が血液などに水分を多く取り込み、塩分が含んだ水分を外に出そうとします。

 血液量が増えると、血圧が高くなるし、体の中で溜め込んだ水分が細胞からあふれると細胞周囲にたまり、むくみや体重増加の原因になります。冬は汗をあまりかかないので、体内の水分が溜まる一方です。なるべくハンバーガーやジャンクフードを避けてほしいものです。

――炭水化物の摂取に関しても注意する必要がありますか。

プロチームの食事には欠かせないパスタ Photo: Yuzuru SUNADA

 実は炭水化物は体に欠かせないものです。脳や神経は糖分のみを消費するので、生きる上で最低でも1日に120gの炭水化物を取る必要があります。そうでないと、脳に必要な糖分を得るために体がタンパク質を分解します。これが逆に筋肉の萎縮につながります。逆説的なことに聞こえますが、痩せたい人は、炭水化物を取らないと痩せることができません。専門的なことを言いますと、(ドイツの科学者)ハンス・クレブスが発見したクエン酸回路(サイクル)を調べれば、そのメカニズムがわかります。

――具体的にどうすればいいですか。

 基本的に4つのルールを守れば、痩せることができると思います。1つは「食事の分散」です。食事制限よりも食事を分散させたほうが、空腹感を抑えることができます。朝昼晩の間に間食を入れて、1日に5回食事をしましょう。特に仕事の後、夕方に練習する習慣のある人ほど、間食はトレーニングのための必要なエネルギーも与えてくれますし、翌日に疲労感も残りにくいです。

――間食は意外でした。次は何を意識すればいいですか。

 2つ目は「食事と間食の栄養バランス」を考えることです。炭水化物の中でも食物繊維の多いものを摂るようにしましょう。そしてプロテインをお忘れずに。実は脂質も敬遠しがちですが、ドライフルーツやオリーブオイルを少し摂ると、急な血糖値の低下を抑えることができます。日本の食文化に合わせる必要があると思いますが、イタリアだと次のようなメニューをお勧めしています。

バランスの取れた食事のなかには糖質も含まれる ©Gazprom-RusVelo

【朝食】全粒粉パンや玄米(炭水化物と食物繊維)、へゼールナッツクリーム(脂質と糖質)、ジャム(糖質)、ドライフルーツまたはバター(脂質)、牛乳またはヨーグルト(タンパク質)

【間食】全粒粉パンと少しクリームチーズ(炭水化物、食物繊維とタンパク質)。トレーニング前の間食を行う場合、バナナと蜂蜜(糖質)も取り入れましょう。トレーニング後の間食には、炭水化物入りのシリアル(炭水化物)、ヨーグルト(タンパク質)と好きなフルーツ(糖質)を取り入れたほうがいいです。

【昼食と夕食】サラダまたは野菜スープ(糖質と食物繊維)、お米(炭水化物)、魚は鶏肉(タンパク質)。日本人は同時に多くの食材を摂るので、実は正しい食べ方です。イタリア人は大きなパスタやピザを食べて、空腹を満たそうとします。これはある種の偏食で、体を重くする原因となります。

――3つ目のルールはなんでしょう?

 「なりたい体型を意識し食事を摂る」ことです。純粋に痩せるだけなら、食事の量を減らし筋肉の量を増やさないと、意味がありません。一方、体重を減らすだけでなく、目的にあった食事を変えたほうがいいと思います。スプリンターのようにパワーを必要とする人の場合、タンパク質を多めに。長距離選手を目指す人は、タンパク質と食物繊維を多めにとったほうがいいです。

 いずれにしても意識してほしいのが、全粒粉パンや玄米を摂ること。食物繊維の豊富な野菜、豆類、フルーツを摂ること、そして脂質の少ないタンパク質源(お魚、鶏肉、豆腐、卵の白身)を取ることです。

――では、最後のひとつは?

 同じ食事でも人によって違うパフォーマンスが出ます。多くの選手に提案しているのが、「食事日記を記録する」ことです。高パフォーマンスな時は、裏で食事が大きな影響を与えます。日記をつけることで自分の体に合ったベストな食事のヒントが得られると思います。ぜひ試してみてください。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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