福光俊介の「週刊サイクルワールド」<2018新春特別編・4>ツール・ド・フランス2018のレース展開はどうなる!? 有力選手の戦いぶりを大予想
「週刊サイクルワールド」新春特別編・1に続き、今回はツール・ド・フランス2018のレース展開を予想してみたい。あくまでも筆者の独断ではあるが、すでに主催者が発表している各ステージのコースレイアウトを参考に、パリ・シャンゼリゼに向けてのマイヨジョーヌの行方やステージ優勝者を考えていく。読者のみなさまもご一緒に、ツール全体の、はたまたひいきの選手の戦いぶりを予想しながら、フランスでの3週間への思いを馳せてみてほしい。
チームTTとパヴェがマイヨジョーヌ狙いの選手たちを翻弄する第1週
昨年10月のコース発表と同時に、各ステージ分のコースプロフィールが明らかになった。具体的な走行ルートなどは、現時点で一部ステージのみに限定されているため、ステージごとに細かい予見をしていくのは難しいが、ひとまずは発表されているコースプロフィールをもとにレースの予想をしてみたい。

開幕から4ステージは、フランス北西部・バンデ県が舞台。平坦なコースで争われる第1ステージ(ノワールムティエ・アン・リル~フォントネー・ル・コント、189km)は、勝者がそのままこの大会最初のマイヨジョーヌ着用者となる。多くのスプリンターがこのステージに賭けて臨むことだろう。各ステージのスプリントトレインが入り乱れ、激しい争いになることは必至だが、そんな混戦の中から勝負強さを発揮できる選手となれば、筆者はマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ→チーム カチューシャ・アルペシン)を挙げたい。もしこのステージをキッテルが制したならば、4年ぶりにマイヨジョーヌに袖を通すことになる。
第2ステージ(ムユイロン・サン・ジェルマン~ラ・ロッシュ・シュル・ヨン、183km)も平坦だが、前日からの勢いのまま、ここもキッテルがゲット。ここ一番でのスピードには、やはり一日の長があると見た方がよいだろう。

大会序盤にして形成に変化が生まれるのは、チームタイムトライアルで競う第3ステージ(ショレ~ショレ、35km)。細かなアップダウンが、よりチーム力を明確にする。グランツールにおけるチームTTに自信を見せるのは、BMCレーシングチーム、チーム スカイ、モビスター チーム、ミッチェルトン・スコットあたり。ツールやUCIロード世界選手権など、大きな舞台で結果を残してきたBMCレーシングチームがここでも力を発揮すると予想。もし総合エースのリッチー・ポート(オーストラリア)がチームの先頭でフィニッシュするとなれば、マイヨジョーヌも舞い込んでくるだろう。続く第4ステージは再び平坦。ここはスプリンターに任せて、総合順位を視野に入れる選手は安全にフィニッシュすることが最優先だ。

バンデ県を離れると、中級山岳ステージが始まる。ただ、第5ステージ(ロリアン~カンペール、203km)はアップダウンが繰り返される一方で、勝負を揺るがすほどの難所は少なめ。フィニッシュ前も上ってはいるものの「上れるスプリンター」なら太刀打ちができそうだ。失格処分となった昨年の雪辱を期すペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がいよいよ本領発揮か。ポイント賞のマイヨヴェール奪還を見据えるうえで、このステージはしっかりとものにしておきたいところ。

同じく中級山岳の第6ステージ(ブレスト~ミュール・ド・ブルターニュ、181km)は、3年ぶりに復活のミュール・ド・ブルターニュへフィニッシュ。フィニッシュ前2kmの平均勾配は6.9%だが、上り口の勾配は10%前後。3年前の第8ステージでは、最も勾配が厳しい区間でプロトンが粉砕された。今年も同様の展開が予想される。各チームの山岳アシストやサブエースクラスがペースアップを図りながら、総合エースのポジション確保に奔走。かたや、自由を与えられた実力派ライダーがステージ優勝狙いに躍起。短い上りへの対応力が求められるこの日は、クラシックハンターのジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が勝利し、ホスト国フランスに初勝利をもたらすと見る。マイヨジョーヌ候補たちは、数秒後ろでにらみ合いながらのフィニッシュとなりそう。

フランス北部に針路をとる第7ステージ(フージェール~シャルトル、231km)、第8ステージ(ドルー~アミアン・メトロポル、181km)は、再びスプリンターチームの出番。序盤好調だったキッテルや、マイヨヴェール最有力のサガン、さらにはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チーム ディメンションデータ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)といったベテランも意地を見せたい。昨年ステージ1勝のアルノー・デマール(グルパマ・エフデジ)、ツール初勝利を目指すナセル・ブアニ(コフィディス ソリュシオンクレディ)やブライアン・コカール(ディレクトエネルジー→ヴィタルコンセプト)といったフレンチスプリンターも割って入りたいところ。
第1週の最後は、3年ぶりにツールへと帰ってきたパヴェステージ。第9ステージ(アラス・シタデール~ルーベ、154km)は、ツール史上最長となるパヴェ総延長21.7km。全15セクターあり、セクション別では短いところで700m、最も長いところで2700m。ほとんどが1500m前後の区間となっているほか、最終セクターがフィニッシュ前8kmとあって、一度遅れてしまうとそれを取り戻すには距離が短いことも挙げられる。
天候に恵まれた2015年の第4ステージでは有力選手が一団となってフィニッシュしたが、雨中のレースとなった2014年の第5ステージはぬかるんだ路面に各選手が悪戦苦闘。今回は「北の地獄」パリ~ルーベと一部同じルートが採用される点を踏まえると、天候に関係なく差が発生すると見る。仮にパヴェ巧者が総合エースのアシストではなく、ステージ優勝狙いにシフトするならば、サガンやグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)、オリバー・ナーセン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、ズデニェック・シュティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ)らが実力を発揮する。

マイヨジョーヌの行方に転じると、やはりパヴェに強いアシストに守られながらできる限り前方でレースを終えておきたい。チームオーダー通りには事が運ばない1日ではあるが、パンクやメカトラブル、落車といった「アクシデントを回避」したと仮定して、このステージでいよいよクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が浮上してくると予想する。チームにはゲラント・トーマスやイアン・スタナード(ともにイギリス)、ミカル・クフィアトコフスキー(ポーランド)といったパヴェに強いアシスト候補がそろう。特にトーマスやクフィアトコフスキーは、その後の山岳ステージでも計算できる選手。パヴェでも堅実な走りでフルームを支えるはずだ。このステージをしっかり乗り切って、本格的な山岳入りを前にマイヨジョーヌを手に入れるのではないかと捉えている。
2014年にステージ3位と快走したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)や、同年にステージ20位とまとめたポート、同じく有力選手がそろう集団で終えているロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)あたりも、フルームとの差を最小限にとどめておきたいところ。実力はもとより、経験値もある彼らがアドバンテージを得る可能性も大いにある。ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)もツールのパヴェステージ経験者だが、できることならオールラウンドに力を発揮できるベテランのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)とともに前方をうかがいたい。
アルプス2連戦はノーガードのアタック勝負か
第2週はアルプス山脈と中央山塊をめぐる。
第10ステージ(アヌシー~ル・グラン・ボルナン、159km)は、コロンビエ―ル峠などカテゴリー山岳を4つ越えるが、マイヨジョーヌ争いにおいてはさして重要な1日とはならないか。翌日以降のステージを考えると、まずはしっかりと終えておくことが先決。ようやく、山岳逃げを得意とする選手たちがステージ狙いへと転じられそう。

今年のツールを象徴するのが、「山岳ショートステージ」。1つ目が108kmで争われる第11ステージ(アルベールヴィル~ラ・ロジエール・エスパス・サン・ベルナルド)。3つのカテゴリー山岳を越え、最後も頂上フィニッシュだが、何よりマイヨジョーヌ候補たちの攻撃的な走りが楽しみなところ。フルーム擁するチーム スカイがプロトンをコントロールするが、それを崩すべくキンタナやバルデらが次々とアタックを繰り出すことだろう。それらの間隙を縫って、しっかりとレースの流れを見極めたニーバリが力強い走りでステージを獲ると予想。ライバルに対し大差で勝つことは難しいだろうが、フルームとのタイム差を数秒から十数秒縮められそう。

名峰アルプ・デュエズの頂上にフィニッシュするのが第12ステージ(ブール・サン・モリス・レザルク~アルプ・デュエズ、175km)。この日は前日と打って変わって、総合上位陣はアルプ・デュエズに入ってからもにらみ合いを続ける。ステージ優勝は逃げメンバーに譲りつつ、ライバルからどのようにして抜け出すかを探ることだろう。強力なアタックを武器に正攻法の勝負となれば、躍動するのはキンタナ。前日のニーバリに続き、キンタナがパヴェで失った差を徐々に取り戻す。このあたりから、キンタナはミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイから移籍)とのコンビネーションが冴えてきそうだ。一方、フルームはジロ・デ・イタリアからの連戦の疲れが見え隠れしはじめる。
アルプスでの戦いを終え、第13ステージ(ル・ブール・ドアザン~バランス、169km)は久々の平坦。この頃には、サガンが得意の「ポイント貯金」でマイヨヴェールを着用していることだろう。勝利量産を狙うキッテルや、タフさならサガンにも負けないマイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)らもステージ優勝争いに加わる。
中央山塊をゆく第14ステージ(サン・ポール・トロワ・シャトー~マンド、187km)も頂上フィニッシュが設けられ、フィニッシュ手前3kmから10%を超える勾配が控える。ただ、上りの距離が短いことを考えると、有力選手間にそう大差はつかないだろう。
第2週最終日の第15ステージ(ミヨー~カルカソンヌ、181km)は、逃げが容認されることとなりそう。この日最後のカテゴリー山岳を越えると、フィニッシュに向かってのダウンヒル。最後は独走、または数人でのスプリント勝負になると見られる。ここに新城幸也(バーレーン・メリダ)が含まれるとなれば、チャンスは大きく膨らむ。多くの選手がこのステージを狙うなか、激闘を制して歴史的な1日とできるか。
ここまでを終えて、マイヨジョーヌは依然フルームがキープすると予想。運命の第3週へと移っていく。
第3週でダウンヒラーが猛追!?
昨年同様、頂上フィニッシュが5ステージ(昨年は3ステージ)と少なめのツールだけに、マイヨジョーヌを手繰り寄せるためにはフィニッシュへと向かうダウンヒルでの攻撃も必要となる。第3週は、捨て身のアタックを繰り出す選手たちの姿が見られるはずだ。

まずは第16ステージ(カルカソンヌ~バニェール・ド・ルション、218km)。レース後半に3つの山岳が控えていることから、前半から逃げる選手たちにステージ優勝を譲る可能性こそあるが、この日最後の山頂からフィニッシュ直前までの約10kmの下りで総合を争う選手たちの一部が攻撃に転じると見ている。最有力なのは、ダウンヒラーとしての顔も持つバルデ。逃げに送り込んだアシストを上りで待たせ、彼らとともにフィニッシュまで駆け下る姿が筆者の頭には浮かんでいる。これが決まって、総合トップのフルームとの差を縮める。

ライバルたちが次々と見せる攻撃に苦しむ姿も見られるフルームだが、そこは百戦錬磨の男。さすがに黙ってはいないだろう。「ツール2018の象徴」もう1つの山岳ショートステージである第17ステージ(バニェール・ド・ルション~サン・ラリー・スラン、65km)で意地のアタック。スタート直後からキンタナやランダのモビスター勢、山岳での攻撃が魅力のダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ→UAEチーム・エミレーツ)らがアタックしレースをかき乱すが、フルームがそれらを力でねじ伏せる。また、かつてのチームメートとしてフルームの走りを知り尽くすポートや、粘り強さが持ち味のアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)らも好走し、上位戦線をにぎわせる。
第3週で初めての平坦となる第18ステージ(トリ・シュル・バイズ~ポー、172km)。この頃にはサガンのマイヨヴェールが濃厚となっているだろう。山岳ステージでは中間スプリントまで逃げ、ポイントを次々と加算。このステージでも、確実に上位フィニッシュをしているはずだ。ピュアスプリンターたちはステージ優勝で一矢報いることができるか。
この大会最後の山岳となる第19ステージ(ルルド~ラランス、200km)は、3日前同様に上り以上に下りの重要性が高い1日となるだろう。中盤にはおなじみのトゥールマレー峠を越えるが、それほど勝負に影響は及ぼさないと見ている。最後の上りを終えると、フィニッシュまでの約20kmをダウンヒル。この大会、安定して上位をキープしてきたニーバリが得意の下りでアタック。ライバルの追随を許さぬ圧倒的な走りで数十秒の差をつける。そして、ついにフルームの手からマイヨジョーヌが離れる時がやってくる。奪取するのはもちろんニーバリ。残り2ステージとなって、マイヨジョーヌ争いはニーバリを筆頭にタイム差2分の間に総合上位陣が多数ひしめく大混戦となる。

この大会の個人タイムトライアルは、31kmで争われる第20ステージ(サン・ピー・シュル・ニヴェール~エスプレット)のみ。総合争いにおいては、チームTTとパヴェをこなす第1週と、第2週以降の上級山岳の比重が一見高いように思える。だが、有力選手が数多く、群雄割拠の様相を呈するツール2018。最終決戦となるのは個々の走力が試される第20ステージとなるのではないだろうか。
総合上位陣がわずかの差で迎えるこの日のステージ。アップダウンが多く、いつもは個人TTに苦しむクライマーでも対応ができそうなコースレイアウト。それでも、TTの強さで測るなら、過去に幾度となく圧倒的な走りを見せてきたフルームが頭一つ抜け出ている印象だ。ジロからの連戦で疲労を感じながらも、強力アシストに平坦・山岳と守られ、最後の最後に自力でまとめてくる。前日失ったマイヨジョーヌも土壇場で奪還。

また、TT能力に長けるポートもここで期待通りの走りを見せて順位アップに成功。総合表彰台圏内に食い込んでくる。前日総合トップに立ったニーバリも粘りを見せ、順位こそ落とすが、総合表彰台は堅実に確保。彼らに対し、キンタナやバルデ、イェーツらは健闘しながらもトップ3には届かない。昨年総合2位と躍進したウランも、今年はあと一歩及ばない。
大会最終日、第21ステージは慣例としてパレード走行を行い、総合順位を競うことはないため、この時点でマイヨジョーヌに袖を通したフルームが総合4連覇、通算5度目の優勝に王手をかける。
そして、最後はパリ・シャンゼリゼへの凱旋。フィナーレを飾るスプリントは、キッテルが制覇。結果的に、昨年のステージ5勝に近い勝利数を挙げることになるのではないか。
「週刊サイクルワールド」ツール・ド・フランス2018 順位予想
※2018年1月3日現在
・個人総合時間賞(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)
2 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
3 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
・ポイント賞(マイヨヴェール)
ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
・山岳賞(マイヨアポワ)
バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
・新人賞(マイヨブラン)
ジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
・チーム総合時間賞
モビスター チーム
フルームの薬物問題次第で形成に大変化も
新春恒例となった筆者によるツール大予想、いかがだろうか。
正直なところ、今年は例年と比較しても予想が難しかった。なぜなら、ここ3年姿を消していたチームTTやパヴェの存在が悩ませる要素となったからだ。また、フランス北部を走る大会前半は、風の強い地域を走ることもあり、コンディション次第では集団分断によってマイヨジョーヌをはじめとする4賞すべての争いに影響を与えることもあり得る。これらを踏まえていくと、レースの流れを細かく読んでいくのはさすがに困難を極めた。

それでも、フルーム優位の筆者予想はブレなかった。後続との差が年々縮まり、それにともないマークが厳しくなる中でも、オールラウンドに実力を発揮できる点や、計算できるアシストがそろうあたりで、ライバルを上回っているように思う。ただ、個人TTの総距離が短く、山頂フィニッシュが少なかった昨年のように、圧勝とはならないだろう。出場を宣言しているジロとの連戦となることも念頭に置く必要がある。マイヨジョーヌに最も近いと見る一方で、1つでも歯車が狂えば他の選手の後塵を拝するだろうとも感じている。
そして何より、昨年末に発覚した薬物問題をクリアにすることも求められる。そんなわけで、あくまでも「出場できた場合」との前提のもとでの予想であることも断っておきたい。
フルームに続き総合表彰台を固めるのは、ポートとニーバリか。勝負が大会終盤までもつれたならば、個人TTの走りがすべてを決定づける。そこで力を発揮できるであろうポートと、上位でまとめられる力を持つニーバリ。平坦・山岳・TTすべてのバランスを見たうえでの上位進出との見方だ。

ポイント賞のサガンは、昨年の雪辱でマイヨヴェール奪還。平坦ステージでは勝利を狙い、山岳ステージでは逃げに潜り込んで中間スプリントのトップ通過に集中。得意の戦術でポイントを確保していきながらも、総合エースのラファウ・マイカ(ポーランド)のアシストもこなす器用な姿が見られるに違いない。
山岳賞のマイヨアポワは、第1週でつまづいた選手の中から狙いを切り替えた選手のもとへ。狙って簡単に獲得できる賞ではないが、山岳逃げを得意とし、なおかつ場合によってはステージ優勝も狙って攻められる選手となってくると、おのずと人数が限られてくる。昨年、逃げでステージ1勝したモレマを筆者は挙げたが、この賞こそレース展開に大きくゆだねられるといえる。

一昨年はアダム、昨年はサイモンと、ここ2年はイェーツ兄弟が仲良く獲得してきたマイヨブランは、彼らの“卒業”により新鋭が獲得へ。ツールのメンバー入りを果たすことが絶対条件となるが、昨シーズン後半からステージレースを中心に活躍の場を広げている1993年生まれのヘイグのブレイクに期待したい。チームにはツール出場を予定するアダム・イェーツが控えるが、その山岳アシストとして従事しながら自身のチャンスもうかがっていきたい。
各ステージのチーム内上位3選手のタイム合算で争われるチーム総合は、選手層の厚さを誇るモビスター チームへ。キンタナ、ランダ、バルベルデの3枚看板はいずれも総合上位を狙うことができる。チーム方針でキンタナの総合順位が最優先となるが、ランダやバルベルデが重要ステージをどう走るかも注目。実力通りに走れば、山岳ステージではこの3人のフィニッシュタイムが反映されることとなるだろう。
◇ ◇
<2018新春特別編・5>は、春のクラシックを展望。ミラノ~サンレモから北のクラシック、そしてアルデンヌクラシックまで、シーズン前半を彩るレースの数々と、活躍が期待される選手たちをピックアップしていきたい。

サイクルジャーナリスト。自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、今ではロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。現在は国内外のレース取材、データ分析を行う。UCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」ではメディアオフィサーとして、チーム広報やメディア対応のコントロールなどを担当する。ウェブサイト「The Syunsuke FUKUMITSU」