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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<2018新春特別編・1>ツール・ド・フランス2018大展望 激闘必至のパヴェ、チームTT、山岳ショートステージ

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 サイクルスポーツファンのみなさま、新年あけましておめでとうございます。2018年もこれまでと変わらず、Cyclistならびに「週刊サイクルワールド」をどうぞよろしくお願いします。まもなく連載6年目となり、Cyclistイチの長寿コーナーですが、今後もレース内外のドラマを余すところなくお伝えしていけたらと考えております。ぜひ今後の展開にご期待ください。さて、年明け恒例の「新春特別編」。今年はボリュームアップし、4回に分けて注目レースの展望をお届けしていきます。第1回は「ツール・ド・フランス」4つのリーダージャージの行方と注目選手、そしてわれらが日本人選手の出場可能性について触れてみます。

ツール・ド・フランス2017の4賞獲得選手。左から山岳賞のワレン・バルギル、新人賞のサイモン・イェーツ、個人総合優勝のクリストファー・フルーム、ポイント賞のマイケル・マシューズ =2017年7月23日 Photo: Yuzuru SUNADA

2つのショートステージ山岳がツール2018の象徴に

 まずは、昨年10月に発表されたツール2018のコースを押さえておこう。

ツール・ド・フランス2018ルートマップ © A.S.O.

 今年のグランデパール(開幕地)は、フランス北西部・バンデ県のノワールムティエ・アン・リル。189kmの平坦ステージで幕を開ける。バンデ県では4ステージ行うが、大会序盤の注目となるのが第3ステージ。3年ぶりにチームタイムトライアル(TT)が復活。35kmのコースがチーム力を試す。その後はフランス北部を進み、第1週を締めくくる第9ステージに、これまた3年ぶり復活のパヴェ(石畳)ステージが登場。全15セクター、ツール史上最長となるパヴェ総延長21.7kmは、マイヨジョーヌ争いに影響を及ぼすこと確実だ。

 第2週は、アルプス山脈と中央山塊を進む。第11ステージはラ・ロジエールへ、第12ステージがツールではおなじみのアルプ・デュエズへ、それぞれ頂上フィニッシュ。どちらも複数の山岳を越えて、最後の頂上を目指す難関ステージだ。

ツール・ド・フランス2018 第20ステージコースレイアウト © A.S.O.

 覇権争いが決する第3週は、フランス南部のピレネー山脈が舞台。第16、17、19ステージが上級山岳ステージとなる。そして、マイヨジョーヌを懸けた最終決戦は第20ステージ。31kmの個人TTが設定された。ピレネーの麓を走るアップダウンに富んだコースは、フィニッシュ前3km地点に平均勾配10.2%の急坂区間が待ち受ける。TT能力だけではなく、登坂力や土壇場での勝負強さも求められる1日だ。そして、この日を終えた段階で個人総合首位に立った選手が、2018年のツール王座を濃厚とする。

 グランツールは全21ステージで争われ、ツールも例外ではないが、基本的に最終の第21ステージはパリ・シャンゼリゼ通りまでパレード走行となるのが慣例。シャンゼリゼに入ってからは逃げやスプリントなど、最後のステージ優勝争いが見られるが、総合争いは行わないのが“暗黙の了解”となっている。これは安全性を重視した動きであり、天候や路面コンディションによっては主催者側の判断によって、総合時間をニュートラル扱いとすることも少なくない。その場合は、全選手がステージ優勝者と同タイム扱いとなる。何よりも、フランスでの3週間を戦い抜いた“名誉”を最優先するツールらしさが、これらの判断には表れている。

 総距離は3329km。例年と比較しても距離が短いが、その要因の1つが「山岳ショートステージ」が複数設けられている点。第11ステージが108km、第17ステージが65km。それでいて、超級クラスの山岳をいくつも越えるコースとなっており、これらのステージがツール2018の象徴となる可能性が大いにあるといえそうだ。会期は7月7日(土)から29日(日)まで。UCI規定の変更により、1チームあたりの出走人数が昨年までの9人から8人となる。

ツール・ド・フランス2018 第11ステージコースレイアウト © A.S.O.
ツール・ド・フランス2018 第17ステージコースレイアウト © A.S.O.

各賞の有力選手をピックアップ

 ここからは、4つのリーダージャージをめぐる戦いの主役となるであろう有力選手をピックアップ。ツールへの出場意思を示している選手や、出場が見込まれる選手をメインに名前を挙げていくこととする。

マイヨジョーヌ(個人総合時間賞)

 やはり最初は、栄光の黄色いジャージ。マイヨジョーヌから。

 長年マイヨジョーヌ争いを賑わせてきたアルベルト・コンタドール(スペイン)が現役引退。世代交代を印象付けるかのごとく、次々と新鋭が力を伸ばし、ツールの頂点をうかがう勢力図に変化が生まれてきている。

 そんな中で、ツール2018総合争いの軸となるのは、現役王者のクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)。さらには、昨年総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、同3位のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼールラモンディアル)、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)なども加わり、群雄割拠の様相となりそうだ。

ツール・ド・フランス2017第17ステージ。ステージ2位争いのスプリントを繰り広げる3選手。左からクリストファー・フルーム、ロメン・バルデ、リゴベルト・ウラン。最終的にこの3人が総合表彰台を占めた =2017年7月19日 Photo: Yuzuru SUNADA

 昨年のツールでは、初日の個人TTで雨の悪コンディションの中で上位に入り、ライバルに対して優位に立ったフルームが大会序盤にマイヨジョーヌを獲得。一度は手放したものの、大会中盤に奪還しそのままシャンゼリゼへと到達した。山岳とTTのバランスが誰よりも優れていたことが最大の勝因だったとはいえ、スプリントステージなどレース終盤に混戦となる中でもアシストに守られながら集団前方を常に確保し、中切れにあうライバルを尻目に数秒ずつアドバンテージを得ていたあたりも見逃せない。

 その意味では、マイヨジョーヌを目指すうえでは1秒でも取りこぼしが許されない。また、今度はチームTTとパヴェが復活し、よりチーム力や特殊なレース環境での適応力も試されることとなる。パヴェステージが置かれた2014年と2015年には、“予習”として北のクラシックに出場した総合系ライダーが存在したが、今年もその傾向が見られるかもしれない。

現在のグランツール絶対王者に君臨するクリストファー・フルームだが、サルブタモール異常値の理由を明確にしない限りツールへの出場は厳しいものとなる =ツール・ド・フランス2017第20ステージ、2017年7月22日 Photo: Yuzuru SUNADA

 現在のグランツールにおいて、すべてを兼ね備えているといえるのが絶対王者であるフルーム。山岳と個人TTはもとより、強力アシストともにチームTTでも上位を狙うことができる。パヴェは、不調にあえいだ2014年こそ落車負傷でリタイアしたが、2015年は安定した走りを見せてメイン集団でレースを終えている。

 それ以上に、不安要素がここ最近のフルームには付きまとう。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ中に基準値を超える値が検出されたサルブタモールについて、異常値の理由を明確にすることがUCIから求められている。現状ではレース出場が認められているが、異常値が検出された原因を早い段階で説明できなければ、昨年のリザルトが抹消されるとともに、数カ月から数年の資格停止となる可能性が高まる。そうなれば、すでに出場を表明しているジロ・デ・イタリアとともにツールへの参戦が不可能となる。これらをクリアし、ツール出場がかなえば、総合優勝候補筆頭に挙げられるはずだ。

2018年はツール1本に賭けるナイロ・キンタナ。チーム力を自身のマイヨジョーヌ獲得へとつなげたい =ツール・ド・フランス2017第14ステージ、2017年7月15日 Photo: Yuzuru SUNADA

 昨年はジロとツールで2冠を目指しながら、どちらも勝てずに終わったキンタナ。今年は復権を目指し、ツール1本に賭ける見通しだ。本来の力をもってすれば、ライバルを圧倒する山岳の走りが見られるはず。課題は個人TTだが、1ステージのみであることと、アップダウンに富んでいることから、彼自身もポジティブに捉える。チームが得意とするチームTT、そしてパヴェステージにも自信を見せる。これらがすべて噛み合えば、大きなアドバンテージが得られることだろう。さらに、昨年ツール総合4位のミケル・ランダ(スペイン)が移籍加入し、2人そろって共闘を宣言。これが上手くいけば、史上最強クラスのダブルエースが実現しそうだ。

総合優勝した2014年のツールではパヴェステージで圧巻の走りを披露。その再現を狙うヴィンチェンツォ・ニーバリ =ツール・ド・フランス2014第5ステージ、2014年7月9日 Photo: Yuzuru SUNADA

 2年ぶりにツールへと戻るのはニーバリ。昨年はジロ総合3位、ブエルタ総合2位と安定感のある走りを見せてきたが、印象的なのがアシストとの好連携。チーム方針で、シーズンインからほぼ同じメンバーでレースプログラムを組み、万全な状態で狙ったレースに臨んでいる。今年、彼の脇を固めるメンバーが誰になるのか。そしてツールに向けて、どんなプログラムを編成するのかが見もの。山岳・TTのバランスはもちろん、マイヨジョーヌを獲得した2014年に見せたパヴェでの快走が再現できれば、4年ぶりのツール制覇も見えてくる。

ツール2017総合2位のリゴベルト・ウラン。総合力で上位進出をうかがう =ツール・ド・フランス2017第9ステージ、2017年7月9日 Photo: Yuzuru SUNADA

 初のツール総合表彰台を昨年獲得し、“その気”になったウランは今年もツール出場を宣言。前回同様、山岳ステージでは上位フィニッシュを続けたい。個人TTでもトップ10入りができるだけの走力があり、さらに言えば今年のコースはウラン向きといえそう。チーム力の差が顕著となるチームTT、運も必要なパヴェステージでどれだけ前線に身を置けるかがポイントとなる。

地元フランスの期待を一身に背負うロマン・バルデは大会序盤の走りをポイントに挙げる =ツール・ド・フランス2017第10ステージ、2017年7月11日 Photo: Yuzuru SUNADA

 地元フランスの期待を一身に背負うバルデには、登坂力とともにダウンヒルという絶対的な武器がある。今年もフィニッシュめがけて一気に下るステージが複数あることから、チャンスは十分にあると見てよさそうだ。一方で、個人・チーム両方のTTが鬼門となる。どちらも苦手としていることから、この2ステージをどう乗り切るか。また、自身は「フランス北部の強風がプロトンを崩す要素になる」と分析。パヴェを含む大会序盤でマイヨジョーヌ争いの形勢が決まる可能性を指摘しているだけに、どんな対策を施して臨むのかも見もの。

昨年のツールは落車により無念のリタイアとなったリッチー・ポート。今年こそトラブルなく3週間を走りきることができるか =ツール・ド・フランス2017第6ステージ、2017年7月6日 Photo: Yuzuru SUNADA

 昨年は総合上位争いに加わりながら落車負傷で大会を去ったポート。2年前のツールでは、大会後半の山岳ステージでフルームらと好勝負を演じ、総合5位とまとめた。総合表彰台、さらにはマイヨジョーヌを目指すうえでは、過去にたびたび見られてきた大会序盤のトラブルは何としても避けたいところ。こちらは個人・チームともにTTでタイムを稼ぐことが計算できるだけに、3週間を通して上位戦線で走り続けられればチャンスを引き寄せられるはずだ。

 そのほかでは、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)も2年前の総合4位を上回る活躍が期待される。2年ぶりのツール参戦の意向を示しているイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)は、山岳だけでなく個人TTを得意としており、総合力で戦うことができる。昨年、山岳賞のマイヨアポワとスーパー敢闘賞を獲得したワレン・バルギル(フランス、チーム サンウェブ→プロサイクリングブレイズ)も総合成績を目指すと明言。地元ブルターニュのチームに環境を変えてツールを目指す。

 グランツール総合トップ10の常連となったルイ・メインティス(南アフリカ、チーム ディメンションデータ)、昨年の総合6位から順位アップを目指すダニエル・マーティン(アイルランド、UAE・チーム エミレーツ)、過去2度の山岳賞を誇るラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、山岳の走りはトップクラスのバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)といった面々も、大会序盤を乗り切ることができれば上位進出が期待できる。

動向が注目されるトム・デュムランはジロ・デ・イタリア総合2連覇を目指す意思を表明。ツール出場となれば連戦となる =ジロ・デ・イタリア2017第14ステージ、2017年5月20日 Photo: Yuzuru SUNADA

 昨年のジロ王者、トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)もツール出場が望まれる1人だが、昨年末にジロ2連覇を目指す意思を表明。1月上旬のチームプレゼンテーションでその説明をするものとみられる。もちろん、ツール出場となればマイヨジョーヌ争いの有力候補となるのは必至。ジロと合わせて、今後の動向を注視していきたい。

マイヨヴェール(ポイント賞)

 ポイント賞争いのメインとなる平坦ステージ。ステージ優勝争いはスプリンターが主役となる。近年は、ステージの難易度に応じてポイント配分を変えており、平坦ステージであれば上位選手に付与されるポイントが大きくなるように設定。緑のマイヨヴェールが、スプリンターの勲章としての地位を高めている。

昨年の失格を乗り越え、マイヨヴェール奪還を目指してツールへと臨むであろうペテル・サガン =ツール・ド・フランス2017第3ステージ、2017年7月3日 Photo: Yuzuru SUNADA

 その筆頭格は、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)。2012年から2016年まで連覇し、大会タイ記録の6連覇を目指した昨年だったが、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チーム ディメンションデータ)とのスプリント時のトラブルで失格。大会途中でのまさかの離脱となった。今年はジャージ奪還を目指す立場となる。

 戦法としては、ステージ争いに食い込むことはもとより、ステージ優勝を逃したとしても確実に上位でフィニッシュし、ポイントをしっかりと稼ぐ形。また、登坂力を生かして、山岳ステージで逃げグループに潜り込み、中間スプリントを確実にトップ通過しての「ポイント貯金」。逃げグループをともにするメンバーたちは基本的に、マイヨヴェールに関係していない限り先着を容認するため、おのずとサガンに高ポイントが舞い込む“システム”となっていた。2年ぶりにこの流れが見られる可能性が高い。

マイヨヴェール2連覇がかかるマイケル・マシューズ =ツール・ド・フランス2017第21ステージ、2017年7月23日 Photo: Yuzuru SUNADA

 昨年、サガンとマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ→カチューシャ・アルペシン)の大会離脱により、マイヨヴェールが舞い込む形になったマイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)。ステージ2勝をはじめ、再三の上位フィニッシュが決め手になったが、サガン同様に登坂力を生かしたポイント稼ぎができるあたりも強み。2連覇を目指すことになれば、スプリントに逃げに、サガンとの死闘が繰り広げられることになるかもしれない。

 そうなれば、脚質的に加わることができそうなのはジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)。ただ、モレマら総合系ライダーをそろえるチームにあって、どこまで“本気”になるかは未知数。チームオーダー次第では、総合エースのアシストに回ることも考えられ、その場合は負担になるポイント賞狙いを回避するだろう。

抜群の勝負強さを誇るマルセル・キッテルはステージ勝利量産でマイヨヴェール獲得を目指す =ツール・ド・フランス2017第10ステージ、2017年7月11日 Photo: Yuzuru SUNADA

 スプリンターの「正攻法」ともいえる、ステージ勝利量産でポイントを稼ぎたいのは、キッテルやカヴェンディッシュ、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)、さらには地元フランス勢のアルノー・デマール(グルパマ・エフデジ)、ナセル・ブアニ(コフィディス ソリュシオンクレディ)といった選手たち。なかでもキッテルの勝負強さは、このところのツールではピカイチ。昨年はステージ5勝を挙げ、大会終盤までマイヨヴェール最有力の位置にいながら、体調不良でリタイア。その雪辱なるか。

 今年のツールは第1ステージが平坦で、スプリント勝負が予想されている。マイヨヴェール争いにとどまらず、最初のマイヨジョーヌ着用者が誰になるのかも見どころの1つ。もしかすると、第1ステージを制した勢いでマイヨヴェール争いまで突っ走る、なんて選手が現れるかもしれない。

マイヨアポワ(山岳賞)

 頂上フィニッシュは5つ。その他の山岳ステージは、最後のカテゴリー山岳からフィニッシュへと下るコースレイアウトになっており、山岳逃げを得意とする選手にも十分チャンスがある。

ツール2017山岳賞のワレン・バルギル。マイヨアポワ争いはあらゆる可能性が秘められている =ツール・ド・フランス2017第18ステージ、2017年7月20日 Photo: Yuzuru SUNADA

 基本的に、山岳賞狙いを公言してツール入りする選手は少ない。昨年マイヨアポワを獲得したバルギルは春に負傷したため、大会前の時点で総合成績を諦めて山岳賞へと狙いをシフトしたが、このところの傾向からすると例外といえる。

 グランツールの山岳賞は基本的に、大会全体の流れと運が左右する。逃げを繰り返した末にポイントを重ねて山岳賞ジャージを獲得するケース。総合争いから大きく遅れたクライマーが狙いをシフトするケース。総合争いが活性化したことで逃げが決まりにくくなり、結果的に総合上位の選手が山岳賞も獲得するケース。

 逆に、山岳賞狙いでアタックを繰り返した結果、総合成績があとからついてきたなんてケースもある。昨年のバルギルは、結果的に総合10位でフィニッシュしている。

 そうした意味では、ありとあらゆる展開が考えられ、最も予想が難しい賞ともいえる。今年はどんなマイヨアポワ争いが見られるだろうか。

マイヨブラン(新人賞)

 25歳以下の選手が対象のホワイトジャージ。今年は1993年以降の生まれで、総合最上位の選手がジャージに袖を通す。

ツール2017ではサイモン・イェーツが獲得したマイヨブラン。今年は新たなヤングライダーがジャージを争うことになる =ツール・ド・フランス2017第21ステージ、2017年7月23日 Photo: Yuzuru SUNADA

 2016年はアダム・イェーツ、2017年はサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)と、兄弟での連続獲得となったが、今年から新人賞対象から外れる。また、イェーツ兄弟とマイヨブランを争ったメインティス、ジロの新人賞「マリアビアンカ」2連覇のボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、昨年ジロ総合10位のダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック→ボーラ・ハンスグローエ)、同11位のヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チーム エミレーツ)も1992年生まれのため対象外となる。

1993年生まれのジャック・ヘイグ。2017年はブエルタ・ア・エスパーニャで実績を積んだ =ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第20ステージ、2017年9月9日 Photo: Yuzuru SUNADA

 新たな「ヤングライダー」の台頭が望まれるが、近年の実績から有力視されるのが1993年生まれのジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、1994年生まれのティシュ・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル)、1995年生まれのローレンス・デプラス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)。いずれもグランツールでの実績を有し、ヘイグはブエルタ総合21位、ブノートはツール総合20位、デプラスはジロ総合24位を昨年マーク。彼らに共通するのは、アシストを務めながらのリザルトであることと、将来性を高く評価されている点にある。ツール出場となれば、その走りに期待が膨らむ。

 シーズンが本格化すれば、さらなるニューフェイスも台頭してくることだろう。

 4賞以外にも、ツールにはチーム内ステージ上位3選手のタイム合算で争われる「チーム総合」、全21ステージを通して印象的な走りを見せた選手に贈られる「スーパー敢闘賞」など、さまざまな名誉ある賞が用意されている。

日本人選手出場の可能性

 最後に、日本人選手ツール出場の可能性と、出場チームについて。

 昨年は新城幸也がバーレーン・メリダの一員としてツール出場。平坦ステージでのスプリントトレインの構築や牽引をメインに、アシストとしてチームに貢献。7回目の出場でもしっかりと3週間を戦い抜き、完走を果たした。

 今年はチームの絶対エースであるニーバリがツールを目指すことから、新城が出場するとなれば昨年とは違った役割が求められることになることが予想される。いずれにせよ、フランスを拠点に活動する点は変わらず、これまで同様にツールをメインターゲットの1つに据えることだろう。

8回目のツール・ド・フランス出場を目指す新城幸也。出場が決まれば、昨年と違った役割が求められそうだ =ツール・ド・フランス2017第21ステージ、2017年7月23日 Photo: Yuzuru SUNADA

 別府史之(トレック・セガフレード)は、2009年の出場以来9年ぶりのツール出場なるか。昨シーズンはチーム事情もありグランツールからは遠ざかったが、平坦・山岳を問わない堅実な走りとタフさはグランツール向き。今年35歳となり、年長ライダーとして精神的支柱の立場はチームに欠かすことができない。

チームの精神的支柱でもある別府史之。ツール出場が決まれば9年ぶりとなる =フレーシュ・ワロンヌ2017、2017年4月19日 Photo: Yuzuru SUNADA

 なお、新城のバーレーン・メリダ、別府のトレック・セガフレードともに、ツール出場の大前提であるUCIワールドチームに属する。昨年12月下旬に、この2チームを含むトップカテゴリー全18チームが確定し、今季をUCIワールドチームとして戦うことが決定した。ツールについても、出場が保障されている。

 自動選出される18のUCIワールドチームは以下の通り(カッコ内はチーム国籍)。

アージェードゥーゼール ラモンディアル(フランス)
アスタナ プロチーム(カザフスタン)
バーレーン・メリダ(バーレーン)
BMCレーシングチーム(アメリカ)
ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)
グルパマ・エフデジ(フランス)
ロット・ソウダル(ベルギー)
ミッチェルトン・スコット(オーストラリア)
モビスター チーム(スペイン)
クイックステップフロアーズ(ベルギー)
チーム ディメンションデータ(南アフリカ)
EFエデュケーションファースト・ドラパック(アメリカ)
チーム カチューシャ・アルペシン(スイス)
チーム ロットNL・ユンボ(オランダ)
チーム スカイ(イギリス)
チーム サンウェブ(ドイツ)
トレック・セガフレード(アメリカ)
UAEチーム・エミレーツ(UAE)

 残る4つの椅子(ワイルドカード)をUCIプロコンチネンタルチームが争う。フランスチームが優先的に選出される傾向にあり、戦力的に充実しているコフィディス ソリュシオンクレディ、ディレクトエネルジー、プロサイクリング・ブレイズ(旧フォルトゥネオ・オスカロ)は有力。昨年はベルギー籍のワンティ・グループゴベールが初選出されたが、戦力が整いつつあるデルコ・マルセイユプロヴァンス・カテエムや、新規結成のヴィタルコンセプトといったフランスチームも初出場を目指している。これらチームのシーズンイン後の戦いぶりも、ワイルドカード争いを見ていくうえでは重視すべきポイントだ。

◇         ◇

 <2018新春特別編・2>は、注目ステージを中心にレース展開を予想していきます。

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

サイクルジャーナリスト。自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、今ではロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。現在は国内外のレース取材、データ分析を行う。UCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」ではメディアオフィサーとして、チーム広報やメディア対応のコントロールなどを担当する。ウェブサイト「The Syunsuke FUKUMITSU

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