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栗村修の“輪”生相談<117>20代男性「最大心拍数に近い数値を約1時間維持できてしまい不安です」

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いつも楽しく拝見しております。20代前半のファンです。

 今年の1月にロードバイクを買ってから土日や祝日に1日中走り込み、平日もなるべくローラー台などで練習しております。半年前にふとトレーニングの参考にと思い心拍計やパワーメーターを導入したのですが、今回は心拍数についてご意見をいただきたく投稿させていただきました。

 私の最大心拍数は胸バンドタイプのセンサーで計って205〜207くらいです。

 なのですが、以前参加したヒルクライムレースでは、開始からすぐに185から190近い心拍のまま1時間近く走っていたことがあります。ゴール前数キロからは200近くまで上がっていました。トレーニング本を読んだところ、最大心拍数に近い心拍で長時間維持できることはありえないと書いてあり不安になりました。

 普段のヒルクライムトレーニング中も同じような数値でしたので、レース特有の緊張なども関係なさそうでした。もちろん苦しいことは苦しいのですが、ゴールして数分も流して走れば120程度まで落ち着き、呼吸も問題なくなります。センサーを初めは疑ったのですが別の製品でも変わりなく、困り果てております。

 最大心拍数がまだ伸びしろがあるということなのか、それとも何か別の要因があるのでしょうか。

 心拍には個人差があるとのことですが、プロの選手にも心拍の高い選手や高いまま維持できる選手はいるのでしょうか? また、自分のような心拍数が高い(上がりやすい)人間が心臓を鍛えるにはどうすればよいのでしょうか。

 栗村さんのアドバイスを心からお待ちしております。

(20代男性)

 お困りとのことですが、ここはちょっと肩の力を抜いてみませんか?

 心拍数と、あと質問者さんも導入されたというパワーメーターは、近年トレーニングの指標としてスタンダードになっていますね。

 ただ、パワー値だ、心拍数だ、というとなんとなく科学的でものものしいんですが、あくまで、たくさんある指標のうちの2つに過ぎないんです。指標には、ほかにも、速度や距離、時間、獲得標高、ケイデンス…と、いろいろあります。その数ある指標のなかでトレーニングに有効なものとしてパワー値や心拍数が活用されているだけ…。

 ですので、ここはあくまでフラットに捉えることをお勧めします。

 「困り果てている」とのことですが、たとえば、ロードバイク初心者なら一回で走れる距離はせいぜい100kmくらいが相場ですよね。しかし、中にはいきなり200km走れてしまう人もいる。でも、「なんてことだ。いきなり200kmも走ってしまった…」と途方に暮れる必要はありませんよね。それと同じことで、質問者さんが困る必要はまったくないのです。

 パワー値と心拍数は指標としては有効です。例えば、高〜中強度のメニューなら、時間的に精密なパワーメーターを活用するのがいいでしょう。逆に、LSDなど低強度・長時間のメニューなら、細かいパワーの上下動をいちいち気にしてもしょうがないので、心拍計のほうが向いている面があります。

心拍数は指標の一つに過ぎず、速さ強さとは別物だ Photo: Yuzuru SUNADA

 ただ、心拍数にしてもパワー値にしても、大切なことは、それらは結果または手段に過ぎないということなんですね。目標じゃないんです。目標はあくまで、レースの成績とか、速くなること。真面目な人ほどカン違いしがちなんですが、レースでは、パワーも心拍数も、低ければ低いほど(それらに対して速度が高ければ)いいのです。闇雲にパワー値や心拍数を上げる走りが身についてしまうと、レースでは一瞬でバテてしまいますからね。

 さて、心拍数が高すぎて不安、とのことですが、このご質問についても似たことが言えます。つまり、190近い心拍数が1時間続いたのは、質問者さんの体の状態を示す指標であり、結果でしかないんですよ。質問者さんがそういう心臓を持っているというだけの話です。

 通常より高めという気もしますが、年齢を考えると、このくらいの心拍数で1時間走れるのは不思議ではありません。「220-年齢=最大心拍数」などの公式を見たことがあるかもしれませんが、心拍数には個人差があります。繰り返しになりますが、質問者さんが、190弱が1時間続く心臓を持っているというだけの話です。

 結果は、今後のトレーニングの指標になりますよね。質問者さんが190弱で1時間走れたという「結果」から、今後の心拍トレーニングの基準が割り出されることになるわけです。

 185から190の心拍数を1時間継続できたということは、ざっくりみるとこの数字が質問者さんの現時点での「LT値」ということになります。トレーニングについての突っ込んだ解説をするとかなり長くなってしまうので今回は省略しますが、質問者さんにとっての有益なデータがとれたわけですね。

 また、心拍数は、高ければ強いとか、低ければ強いというものではありません。最大心拍数が高くて弱い人もいれば、低くて強い人もいます。ただ、今回のデータは、上記の意味で今後のトレーニングには役立つでしょう。

 不整脈が出たなど、医学的な問題があったなら、お医者さんに相談すべきです。でもそうではなく、ちょっと心拍数が高いというだけならば、心配は要りません。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまで、タイトルを「輪生相談質問」としてお寄せください。

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